表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/22

第7パート:渋谷スクランブル ― 滝沢ミラの午後

■放送本編:

 午後四時。

 渋谷スクランブルスクエア。

 その特設ステージに集まった観客の視線が、一斉にひとりの女性へ向かう。


■ナレーション:

 世界的なサステナブル・ラグジュアリーブランド『Élan Mirable』を率いる

スーパーモデル・滝沢ミラ。

 Forbes Japanが選ぶ “今年最も影響力のある女性” に輝いた彼女が、この日、一ノ瀬直也をゲストに迎えた。


 観客席からどよめきが起こる。

 ミラのステージ挨拶のあと、一ノ瀬直也が登壇する。

 黒のスーツに、ネイビーのネクタイ。

 ライトに照らされた瞬間、空気がわずかに変わった。


ミラ:

「皆さん、今日のテーマは “持続可能な美しさ” です。

 それは、地球も人も同じ。

 私が今最も尊敬する方を、お招きしました。」


 会場が静まり返る。


直也:

「持続可能性という言葉は、“綺麗ごと” のように聞こえることがあります。

 でも私は、それを “未来を諦めない力” と同義だと思っています。」


 ミラが微笑み、頷く。


ミラ:

「あの人が地球のどこかで未来を動かしていると思うだけで、私の心はいつでも満たされます。」


■ナレーション:

 ファッションとテクノロジー。

 異なる領域で生きる二人。

 だが、その根にあるのは “世界を少しでも良くしたい” という同じ願いだった。


■ディレクター内省:

 ……ちょっと待て。

 滝沢ミラまで落ちているのかよ?

 こいつ、どんなカリスマの生まれ変わりだよ。


 カメラのモニターで、あの目線を見た。

 完全に “恋愛ドラマの最終話” 。

 これ、報道ドキュメンタリーじゃなくて恋愛ドキュメンタリーじゃねぇか。


 でも――分かる。

 言葉の端々に、彼女の尊敬と恋慕が混ざってる。

 コイツの前では、誰もが “自分の理想” を語りたくなる。

 まるで、理想を口にしても許される世界を作ってしまうみたいにな。


 それが一ノ瀬直也の一番怖いところ。

 “現実を動かせる存在” だから大人になっても理想とか夢を諦めない。

 そんな奴、現実社会ではバグだ。

 でもバグがシステムを進化させることもある。

 ……やっぱ、こいつは『現象』だよ。


 でもさ、コイツは絶対危険だ。

 特に政治家からすればこれは圧倒的な脅威だぜ。

 だってコイツが自分の選挙区で出馬宣言したら、その瞬間に問答無用で “ハイ終了” だ。

 どんなに人気ある政治家も絶対コイツには勝てないね。

 ――いや、もう絶対それを当て込んで策謀する政党とかバカヤローが続発するだろうな。

 次の国政選挙から常に潜在的脅威となるよ、コイツは……。


■放送本編(続):

 イベントの終盤、会場のスポットライトがミラと一ノ瀬直也を照らす。

 二人が並んで観客に手を振るその瞬間――。


■ナレーション:

 この日も、彼の時間に “終わり” はなかった。

 イベント対応を終えると大手町のオフィスに戻って深夜まで執務をする姿があった。

 そして翌早朝には、東北・八幡平へ。

 新しい地熱井の稼働状況を視察するために。


■放送本編(締め):

 カメラは、渋谷の夕景を抜け、北へと続く新幹線の線路へとフェードしていく。


 《Next Scene:八幡平・実証モジュール視察》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ