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第1話

レインは土下座をする男を凍てついた眼差しで見下ろす。

「金はどうした? 金は?」

「ひいっすみません。すみません。あと一日だけ待って下さい。すみません」

男は後ろにいた少女をレインに差し出した。

少女は、何が起きているのか理解できていないようだった。

レインは少女に目をやる。

ボサボサの髪にみすぼらし格好をしている。

「娘を差し上げますので、あと一日だけ待ってもらえませんか!?」

レインは鼻で笑い飛ばそうとしたが、少女はレインに対してにこりと笑った。

レインは妹を思い出した。

腹違いの妹を。

「明日まで待ってやろう。明日まで必死に金を掻き集めるんだな」

男は目を見開き、床に額をつけた。

「ありがとうございます! ありがとうございます!」

レインの元に部下が紙を差し出した。受け取ったレインは男に紙を飛ばす。

慌てて紙を掴み取る男に、レインは言う。

「ガキと縁を切る書類だ。それにサインしろ」

「は、はい」

男はサインして、レインに差し出す。それを部下が受け取る。

レインは何も分かっていない少女に目を向ける。

「名前は?」

少女はレインを見上げる。

「ビビ。お兄さんは?」

「レインだ」

ビビと名乗った少女はレインの手を掴んでにこりと笑う。

レインはその手を振り払うことはしなかった。

男はそれを目を見開いて見ていた。

冷酷非道。

それが借金取りであるレインという男である。

男は口元を緩めた。

そりを部下が冷めた眼差しで見ていた。


レインが少女と手を繋いで現れたことに、御者は顔には出さず、驚いていた。

ドアを開けるのが少し遅れ、レインは眉を寄せる。

御者は頭を下げ、レインとビビと部下は馬車に乗り込み、御者はドアを閉めた。

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