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時代の風

「日本を今一度、せんたくいたし申候」

『坂本龍馬』は、海を見つめながらそう言った。

ゲームとは思えないリアルな海が目の前に広がって、ザバーンと砂浜に立つ龍馬の足元に波がかかる。

「あんた、ええかげん服をきたらどうだい?いつまで、ふんどし一枚で立ってるつもりだい?」

 背中から声をかけたのは、『おりょう』という名前の金髪美女だった。

『ひたらせてやれよ、おりょう』

『てか、おりょう金髪まじ?』

『なんで、金髪なんだ?』

「起きたらこの格好だったんだ。服屋はどこだ?」

 振り向いた龍馬がおりょうにそう、問いかける。

「つれてってやるよ、あれにのりな」

 そう指さしたさきには、馬がいた。2人で馬に跨り、颯爽と町へと向かう。

「ところで、なんでお前はここにいたんだ?」

 そう問いかける龍馬に、おりょうはニヤリと笑って答える。

「女のカンさ」

 町につき、馬から降りると。おりょうは、手を出して「お代」と言ってちゃっかり金を請求した。

『金とんのかよ』

『宿で、働いてるんじゃないの?』

 龍馬が金を払うと、おりょうは服屋の隣りを指して、「わたし、ここで働いてるから、いずれまた会うよ」と言って、また馬に跨って去っていった。

 チラッと龍馬は隣の宿を見た。『寺田屋』と、のれんに書いてあった。

「確かに、お世話になる予感しかしないな」

 そうつぶやいて、龍馬は呉服屋ののれんをくぐった。中には、ふくよかな体型の人の良さそうなニコニコ顔の店主が奥に座っていた。

「やあ、いらっしゃい。ああ、あんたもバクで服がなかったくちかな」

「そうなんだ。しかも、海のど真ん中に転送されたよ」

「それは、大変だったな。まあ、初期の金だとあまり選べないシンプルなものばかりだが、まあ、ゆっくり選んでくれ」

 床の丸い縁の中に入ると、色々な和服が画面の右側に表示された。もっている金で買えるのは、無地のやつしかなかった。

「これにするか」

 結局、無難な上下黒にした。

「お代はまけとくよ、半額でいいよ」

 優しい店主は満面の笑みでそう言ってくれた。

『いい人だ』

『よかったな』

「ありがとう。金ができたら、また来るよ。ところでブーツを売っている店を知らないか?」

「うーん、隣りに下駄を売ってる店あるから、そこで聞いてみたらいい」

 もう一度、お礼を言って店を出た龍馬は、隣りの下駄の店に入る。

 中には、粋なというのか、黒地に紅色と檸檬色の線が斜めに入った着物を着た切長の目の男が、キセルのタバコを吸いながら、作業をしていた。

「いらっしゃい、ああ、ブーツならあるよ」

「ほんとか?いや、なんでわかったんだ?」

「今日きた龍馬という名前のヤツに、もう、10回ぐらいきかれた」

『なるほど』

『龍馬何人おんねん』

『10人は龍馬いるってことだな』

 そこに、男が暖簾をくぐり入ってきた。

 名前は『勝海舟』

「やってるか?……ああ、11人目の坂本さん?」

『サッカーできるやん』

『龍馬でサッカーチームwww』

『この時代にサッカーねーだろ』

 その後、龍馬は他の龍馬達もいる『亀山社中』へと案内された。

「それだけ龍馬がいれば、新しい風がふきまくりだな。嵐になりそうな予感がする。かなり波乱があるだろうが、時代は確実に前へ進むだろう」

 店からでる2人の背中に、服屋の店主はそう呟いて笑った。彼の名前は、『織田信長』時代は違えど、色々な改革をした人物である。



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