表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/56

第9首

第9首お届けできました。

第9首


真夜中に

物音がして

目が覚めた

誰かが弾いてる

私のピアノ


短歌解説

 私が間接的に関わった実話です。

私の住んでいるH荘のわりと近所に新しいアパートが建ち、そこにSちゃんというサークルの後輩が住み始めました。しかし、運悪くそのアパートに霊道が通っていたのか( 第5首で話したゆらゆらが見えたところの近くに建ったのです)、もしくはSちゃん自身が霊をひきつけやすい体質だったのか、住み始めて1週間もしないうちにポルターガイスト現象が始まったようです。ラジオのスイッチが突然入ったり、テーブルの上に置いてあったコップが倒れたり、そして買ったばかりのグランドピアノが鳴り出したりと、様々な現象に見舞われたようです。

 でも、おおらかで細かなことを深く気にしない性格のSちゃんは、「ま、いっか」とそのアパートに住み続けました。

 アパートの部屋の中にグランドピアノがあると話したので、Sちゃんはもしかして音大生と思った人もいるかもしれません。

 いえいえ、違います。Sちゃんは音大生ではありません。

 ある日、サークルの時にSちゃんが、「先輩、私グランドピアノ買うんです。通販で」とうれしそうに報告してきました。

「グランドピアノ? 高いだろ。よく買えたね」

 と、言うと、

「安かったんですよ。8千円。来週には届くんです。だからピアノを置くために部屋を片付けないといけないから、今大変なんです」

 と、Sちゃんは笑いました。

『8千円でグランドピアノ? 詐欺なんじゃないのか?」

 そう思いましたが、すでに代金を払い込み済みだと言ったので、言わないでおきました。

 次の週、通販会社から無事グランドピアノが届きました。詐欺ではなかったようです。 ただし、通販カタログに載っていたとおりに、80センチくらいの少し大きめなおもちゃのピアノでした。

 カタログをよく見ていなかったSちゃんの失態でした。

 私は、グランドピアノが8千円で買えると思い込んでいたSちゃんの純粋な心に、ある種の恐怖を感じました。


残り91本


とにかくH荘の近辺では怪奇現象が起こりました。最近、H荘があった場所の付近に行くことがありましたが、家やビルが建ち並び、すっかり変わっていました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ