第28首
第28首お届けできました。
第28首
暗がりで
こちらをじっと
睨んでた
あの女には
会った気がする
短歌解説
私の知り合いのKから聞いた話です。
ある飲み会があったときに、話の流れで迂闊にも私に霊感があることを言ってしまいました。ただし、何度もお伝えしたように、私は霊の気配を感じるだけで、霊と波長が合ったときだけ姿が見える弱い霊感しかもっていません。
でも霊感がない人には、霊能者はみんな同じに思えてしまうのでしょうか。
「俺に何か霊が付いていないか視てくれないか」
Kが真剣な面持ちで頼んできたのです。
お酒も入っていたので、その状態では霊感が働かないと言ったのですが、Kはそれでもいいから視てくれと言うのです。
あまりにもしつこいので彼の背後に目をこらしました。やはり何も見えませんし、気配も感じませんでした。霊の気配がするならお酒を飲む前には気付くはずですが、店に入った時にもそんな気配はどこにもありませんでした。
「霊なんかついていないと思うけど、何でそんなふうに思うようになったんだい?」
そう尋ねると、彼はそう思うようになったいきさつを話し始めました。
「一週間前だったかな。その日は残業で遅くなって、自宅近くのバス停に降りたときには11時過ぎていた。で、そこから歩いて自宅に向かっていたんだけど、何か背後に人の気配を感じて振り向いたんだ。そしたら、電柱の横に女が立っていて俺の方をジッと睨んでいたんだ」
「その女は、白いワンピースを着て腰ぐらいまである長い髪で顔が隠れてなかったか?」 一緒に話を聞いていた別の知り合いのBが茶々を入れました。
「それじゃ、貞子じゃん。そんなんじゃないよ。ワンピースは着てたけど、真っ赤なワンピースだった。髪も肩ぐらいまでだったし、目鼻立ちもはっきりしていて美人だった」「ラッキーじゃん。それ霊じゃなくて、おまえに一目惚れした女がおまえについてきたんだよ」
Bが軽口を叩きました。
「俺のことをジッと睨みつけていたんだぞ。その女とは10メートルくらい離れていたが、憎しみを込めた険しい表情をしているのが分かったんだ」
「それじゃ、元カノとかじゃないのか。ん、まてよ。美人がおまえと付き合うはずないか。前言撤回」
「ひでえな。俺も美人と付き合ったことはあるぜ。でも、その女は会ったことがあるような気もするけど、誰だか分からないんだ」
「Kはなぜ、その女が霊かもしれないと思ったんだ?今までの話から考えると普通に人だと思うけど」
私が問うと、Kが一呼吸置くようにビールをあおりました。
「その女に声をかけようかと思ったんだけど、どう声をかけたらいいか分からなくて、また前を向いて歩き始めたんだ。でも2,3歩歩いたときに、やはり気になって振り返ったんだ。そうしたら女は消えていた」
「電柱の影に隠れたんじゃないの」
Bが言いました。
「うまく隠れたとしても、どこかははみ出して見えるよ。それに俺は確かめるために電柱に近づいてみたんだ。怖いからすぐそばまでは行けなかったが、遠巻きに電柱の裏側が見える所まで行った。でも女はいなかった」
「霊の可能性はあるな。でもおまえに取り憑いた霊ではなくて、その場所にいる、いわゆる地縛霊じゃないかな」
私は見解を述べました。
「そうか、地縛霊か。だったら安心だな。良かったなK。俺も、その美人の霊を見に行こうかな。どの辺りで見たんだ?」
Bが笑いながら言いました。
「冗談じゃない。行ったらダメだぞB。地縛霊は自分に関心を示してくれた者には取り憑くときがあるんだから。取り憑かれたら、最悪の場合はあっちの世界に連れて行かれるぞ」
私は慌てて忠告しました。
Kが見た女が、本当に霊だったのかどうかは分かりませんが、地縛霊だとしたら、どうしてその女の霊は、その場所にとどまっているのでしょうか?
真相は分かりませんが、憎悪の表情をしていたのなら関わっては駄目なものです。
Kが女を見た場所も、目撃談が増えたら、いつか心霊スポットになるのかもしれませんが、私は決して近寄りたくはありません。
残り72本
貞子だったら見に行ったかもしれません。
恐怖心 < 貞子に会えるワクワク感




