プロローグ:3異世界に行こうとしたら無理矢理転移させられました。
「はい。完成してますよ」
少年の質問に答えた女神が真っ白な空間の中空を見つめる。すると、一部分の景色が歪んで宇宙空間が現れた。その中心部では地球に似た惑星が青々と輝いている。
「新世界アースツー。あなたが地球の書物やゲームに影響されて剣と魔法の世界を作れと言うから、仕方なく作りました。正直嫌々でしたけど」
「そうか……」
何か女神の言葉にトゲがあるのが気になるが、そこは華麗にスルーして礼を言う。
「作ってくれてありがとう」
「もっと感謝してくれても良いんですよ。魔法の使用やモンスターの創成は勿論、人間を含めた各個体の能力をデータ化して見れるようにしろとか、地球からの転生者を呼べる設定にしろとか、異世界召還の魔法をアースツーの人間に使えるようにしろとか、他にも細かい設定が色々と……本当に面倒くさかったんですからね」
「ああ、わかったわかった。感謝するから、とりあえず行ってくる」
「ちょっと待った!」
早速アースツーに行こうと足に力を踏み入れたら呼び止められたので、少年は眉間にシワを寄せて女神を見る。
「何だよ。もう……」
「アナタ。アースツーまでどうやって行くつもりですか?」
「いや、普通にジャンプしてだけど」
気配を辿ってみたが、ここからアースツーまで光の速さで約5000兆年。少年なら一瞬で行ける距離だ。
だが、少年の言葉を聞いた女神の目がみるみるつり上がって三白眼になる。
「本当にこの歩く大災害は! そんなことしたら、アナタが移動した衝撃で他の宇宙どころかアースツーそのものが無くなっちゃうでしょうが! 私の長年の努力を無駄にする気ですか!? 1000億年ですよ! 1000億年!」
「わかったわかった。じゃあ、転移魔法を使えば良いんだろ」
「ダメです」
「えー……」
少年が不服の声をあげるが、女神は無表情で淡々と喋りだす。
「アナタ。遥か昔に私が作った世界に冒険だとか言って勝手に行って、挙げ句の果てにその世界の住民とトラブルを起こして、その世界どころか信じられないくらいの数の宇宙を一緒に吹き飛ばしましたよね」
「いやいや、それはあの時ハゲた冒険者のおっさんが絡んでくるから」
「人に絡まれたくらいで世界を壊す人を監視もつけずに踏み入れさせるわけにはいきません」
「じゃあ、どうするんだよ……お前が一緒についてくるのか?」
「いいえ。私が選定したアースツーの人間のもとへアナタを転移させます」
女神が手をかざすと少年の足元に光輝く魔方陣が現れた。
「……まあ、いっか……」
何か無理矢理転移させられたみたいで少し気にくわないが仕方がない。呟いた少年の全身が光に包まれ、光が収まると目の前の景色が変わっていた。
「ここは……城の中か」




