プロローグ2:女神様に会いに行ったら激おこでした。
宇宙が消し飛んだのは誤算だったが、まぁ仕方がない。頭を切り替えて次にやるべきことを考えよう。
真っ暗な空間でポンッと手を叩いた少年は、そこであることを思い付く。
「そうだ。女神に会いに行こう」
世界の管理者である女神なら、消し飛んだ宇宙の復元も簡単に出来るはず。ついでに他の用事もあるし。そうと決まれば善は急げだ。
女神のいる世界はここから10億光年先にある異空間。転移の魔法を使わずとも普通に一瞬で行ける距離にある。
「と、いうことで」
少年は宇宙が崩壊した真っ暗な空間を姿が消えたかと思う程の速度で移動する。その衝撃で世界の法則が乱れ、目の前に真っ白な異空間が出現。そこに足を踏み入れる。
「相変わらず何も無いところだなぁ」
真っ白な空間をゆっくり歩いていると、遠くに白いローブを来た金髪の女性が見えてきたと思ったら、いきなり大声で怒鳴られた。
「ちょっとアナタ! 何てことをしてくれてるんですか?」
「いや、宇宙のゴミを片付けようとしたら、くしゃみが出てついうっかり……」
「ついうっかりじゃないでしょう!」
何かめちゃくちゃ怒っているが、言い訳をしても仕方がないので歩みを止めずに説明したが、女神は納得していないようだ。
「一体いくつの宇宙が消滅したと思っているんですか!?」
「いくつって……1個か2個くらい?」
正直なところ、くしゃみで吹き飛んでしまった宇宙の数なんて分からない。
女神の美しい顔がますます険しくなる。
「1個や2個じゃなくて1兆個! 1兆以上の数の宇宙が消滅したんですよ! どうしてくれるんですか!?」
「どうしてくれるんですかって……お前が直せば良いだけの話じゃ……」
そのつもりでここに来たのに何を言ってるんだこいつは?
首を傾げる少年に嫌気が差したように女神が頭を押さえた。
「……ったく! この歩く大災害は……他人事だと思って……!」
「いやいや、歩く大災害って……ちょっとひどくない?」
「で、結局のところ何をしに来たんですか? ただ単に宇宙の復元だけをお願いしに来たワケじゃないでしょう」
「……まあな」
少年の抗議を華麗にスルーした女神に若干苛立ちを覚えつつも、もう1つの用事に取り掛かる為にグッと我慢して話を進める。
「例のヤツはもう出来たのか?」