第4話 ネグロ2
何言ってんだコイツは。俺にとってはお前の方が物凄く厄介に見えるけどな。
時間を止める事が効かないってのがどれだけ俺を絶望させると思ってんだ。俺が一番得意な戦法だぞ。やられないから。
マスクの男に勧められ、俺との戦いを避けるのか残りの二人は壁際に寄った。たく、観察されながらタイマンかよ? クソゲーだ。
対する相手、マスクマンはマスクを首元まで下げ、警戒を更に強める。こんなに警戒されてたら不意打ちもクソも有りはしないもんな、めんどくせぇ。
「お前らの目的は? 何でここの世界を滅ぼしてないんだ? アシュレイドは各世界を壊そうとしてるか何かじゃなかったですかね」
「それを聞いてどうする。今は目の前の敵に集中したらどうだ人間。俺に殺されないとでも思っているのか?」
「むしろ逆。めちゃめちゃ思ってる。俺のコントローラーが効かないなら勝ち目無いからな。お前何のコントローラー使ってんだ?」
「俺のコントローラーは無い」
あらま嘘んって言いたいけど、確かに変身はおろか身体の何処にもコントローラーは見当たらない。
嘘はついてないって事なんだろうけど、そしたら物凄い強敵じゃないかな。今確実に倒さなきゃ。
マスクマンを撃破出来たとして、次は残りの二人に同時に攻めて来られる気がするんだよな。早く皆来ないかなぁ。
何とか突破口を早めに考えてみるけど、残念ながら何も浮かばない。そしてそんな隙に警棒みたいな物を取り出したマスクマンは先を俺に向ける。
竦んでしまいそうな程殺意の込められた瞳に怯えてるって訳じゃないけど後ずさる俺。こんな主人公が居たらどんなものだろうか。ダサ過ぎる。
「行くぞ人間!」
「ういっす」
一先ず《サシルベ・ブレード》を出し、放たれる突きを捌いていく。かなり押され気味な様子。
これでも頑張って特訓とかしてたんだぞ? カロインの方でだけども。何してたかって? 腕立て伏せ100回とサシルベ・ブレードを振る練習。
まあ、身体能力的にはプラスだったんだろうけどアシュレイド相手にはあんまり意味なかったのかも知れない。
「ふんっ!!」
俺が躓いた一瞬の浅い隙を見逃す事なく棒で突いて来るマスクマンだが、当然俺だって喰らいたくないから刃で防ぐ。だけど尻餅ついた状態なので流石に連撃を全て弾く事は出来ない。
「いてぇ!」
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太腿に強く叩きつけられた俺は反射的に刃を振り上げ、そのままバック。
多分だけど、今ズボン捲ったら痣が出来てるんじゃないかってくらい痛い。
警棒って鉄か何かか? それと同じだとしたら俺よく立ってられるな。ただ右脚ガクガクいってるけど。
「お前このやろ痛えじゃねぇかチクショー。そんなもんで脚叩くんじゃねーよ本当によ」
「刃を振り回すお前に言われたくないんだがな」
「ですよね」
分かってるよ、どっちかっつぅと自分の方が危険人物なんだってことくらい。
相手は棒だけど俺の場合刃物だからね、てかお前達相手に刃物ダメなんてある訳ないよね? お前らは世界すら破壊してんだからね? よく俺達んな危険な奴等と戦ってるよね。凄い凄い。
ネグロ王も巨漢も俺の動きをじっと観察し続ける。そうしておけば次自分らが戦うかも知れなくなった時に有利だからな。
残念だけど俺のこと観察したくらいで大して何も変わらないんだがね。悲しいことに。
「お前のことどうやったら倒せる?」
「知るか。自力でどうにかしたらどうだ?」
「難しい注文でございますね」
自力でどうにかしろって言われてもさ、何が効くのよあんた一体さ。
例えばストップが効かないだろ? シャドウも効かないだろ? 時間を飛ぶのはどう? 防がれたらもう絶対勝ち目無いからな俺。
アシュレイドはチートキャラばかりでしょうか。そしてビワの連中はアシュレイドと実力の差があり過ぎるかな。こんなのカテナイカテナイ。
俺は左腕の《サシルベ・ブレード》も装備し、俺は集中して目を血走らせる。怖い? 怖い?
俺とマスクマンがじりじりと近づき、激突! となる直前に扉が勢いよく開いた。
他の人間達が入って来ちゃったか!? と不安になる俺と、勢いよく開いた扉に驚いたっぽいマスクマンの間を音速で抜けるクナイ。
「扉の向こうにいる人間は一体麻酔で眠らせておいた。無事かアウドラ」
「シルフォ! と、ココア!」
「一足先に片付けて来たぞ、これからが勝負だ!」
ココアとシルフォが来てくれたから一体一の勝負が出来るようになった。これで視線に警戒する必要が無くなったな。良かったわ。
ココアさん、相変わらず女物の水着スーツですね。シルフォさん、変態が居たら発狂しそうな程セクシーなスーツですね。コスプレですか?
ダブルパンチを両頬に喰らい気合を入れ直したので勝負再会だ。
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まず俺はマスクマンから少しずつ後ろに遠ざかって行く。シルフォ達の元へ行くんだ。
クソ厄介なマスクマンだとしても、流石に敵三人の元まで追って来るようなバカじゃない。シルフォにはクナイや手裏剣、ココアにはブラスターがあるしな。
「なあ、あのマスクマンは俺のコントローラーが効かないんだ。ココアかシルフォ頼めるか?」
「なら接近されても充分に相手出来る私がやるとしよう」
マスクマンの相手はシルフォがしてくれるらしく、一足先に敵の元へ向かって行く。サンキュ。
俺とココアは互いを見、無言で相手を決めた。
俺がボスで、ココアが巨漢をやることになったんだ。何せ俺は接近戦しか出来ないからな、パワー差で不利なんだ。結局はボスとやるしかねぇとは、参ったね。
そう言えばリーダーのロプトがまだ着いてないけど、何してんだ? そんなに強いのか最初に居た奴は。
今はボスに集中しなきゃいけねぇからんな事一先ず無視だ無視。ボスは何を使って来るのか分からないから、不安だけどやってやらぁ。
「あんた何のコントローラー使うの? 俺のはもう見たんだから見せてくれよ教えてくれ」
「ふっ、良いだろう」
ネグロ王は壁から離れると腕を組んだままゆっくりと近づいて来る。今までのボス達とは威圧感が比べ物にならないくらい無いが、王としての貫禄はあるみたいだ。ただの偽物の癖によ。
コイツの所為でこの世界の、この国の王は死んだんだろうな。コイツの所為で住民達は俺達の敵をしているんだろうな……なんて思ったら、何かイラっときた。
アシュレイドに騙されてる人間達は俺達の言葉を聞き入れようとはしもしないけど、それは全て仕方の無いこと。人間達は王が入れ替わったなんて知らないんだからな。
だからってこの仕打ちはねぇだろうけどまあ良いよもう良いよ何も考えないぞ俺は。
ただただ、このじじいをぶっ倒すだけだ!
「行くぞじじい。まずコントローラー教えやがれ」
冷静に行きましょう、じゃないと殺されちまう確率が凄く高いからな。
「……ん?」
今、扉の近くで何か動いた様な気がしたんだけど、後ろ向きだからよく分かんなかったな。何だったんだ? 敵だとしたらちょっと面倒だな。
俺が背後に警戒していて集中が途切れていると、急に前方が光ったのが分かった。
「サウンド・コントローラー……グローズオン!」
変身しおった爺様。




