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リコルディア① 確定申告

いらっしゃいませおきゃくさまこんにちはー!

第九次元人の「あなた」へ。からダリア─太陽系第三惑星人戦記─お読みになられる「あなた」に、前提知識としてのエピソード群を焼かれた世界(バーントアンバー)のリコルディアとしてお届けします。


「こっちもお願いしまーす。」

ちゅき、じいいい、ぽっ。


「はい、開きましたよみかさん。」

「ありがとうございまーす。」


届いた封筒は、ぜんぶで3通。


「うー、やりたくないよー。」


心からの気持ちを、口にする。


「記入が必要なところはお手伝いしますから。」


ぱたり。

扉を閉めて、職員さんは出て行く。

ごおお、ぱあああ。

窓の外では、車が何台も走って行く。

乗用車も、社用車も、貨物トラックも。

みんな、それぞれの仕事を、学びを、まいにちを生きて、未来へ繋げるために、走ってゆく。

かちゃ、り。

じー、じー、ざざ、ざー。

スイッチを入れたラジオがノイズを流す。

ダイヤルと選局ツマミをいじる。

きゅうぅ、じー、じじ。

「ふぁぁぁ、ふんふーん♪」

ノイズ8割、歌2割ほどで、声にならない声のラジオを流す。

わたしはお料理のお店を任された時期があったので、ひとの話し声には敏感だ。

お客さまの話し声のトーンから、お店の照明やお料理、スタッフのみんなの接客態度がわかる時がある。

キッチンでは、指示やお料理の提供に向かうスタッフを選んだりもする。

お店で、お客さまと直接触れ合うのだから、精いっぱいの笑顔と、態度で、お料理と、それに適したお飲み物、つまりお酒をお料理のエピソード、産地などと合わせてご紹介したり。お客さまそれぞれの雰囲気から必要なこと、お楽しみいただけることを、色々なことをスムーズに対応するためには、スタッフさんそれぞれに。プライベートで悲しいことがあっても、つらいことがあっても、それでも精いっぱいのお店のスタッフでいてもらえるように、とにかく、そういうことを考えるために、口を開いて、言葉を交わす。

「ざざざ、たらら〜♪」

だから、身障者として介護施設様にお世話になってからも、個室でラジオをつける。

意味の聞き取れないノイズまじりの声は、あの頃に戻れたような気がするから。


「やっぱり、やりたくないよ〜。」


わたしには、ナイン、ナイン・エルナの生活を、戦いを、恋を、そして舞ちゃんや舞ちゃん2、太陽系第三惑星人と太陽系第三惑星人2のみんなの、クエーサーズとの戦いの続きを描かなきゃいけない。そして。


「べべれれううむ、ぐぷるえれうぶ。」


また聞こえる。

第十三次元人の、カヌメナーアの声。

わたし、おおとろべふこが物心ついて、最初に欲しがったのはラジオ。

おもちゃだったけど、選局のつまみを動かして、おもちゃの収録された音が鳴るのが好きだった。

「ぶぇれむむむる、べぷれううみ。」

地球人の、人型二足歩行する人間、人類、地球人の中には、耳から入る音に、音程に色がついて、脳内で視覚化される、っていうのがある。

「おおおるれろろ、れうろ。」

わたし、おおとろべふこには。

ラジオから聞こえるノイズの中に、時々。


「早く続きを書け、次の熱量移動が起きる前に。」


ノイズの混じった音、声の中にある言葉と。

顔が見えた。


「うっさい。確定申告しないとなの。」


わたし、ただの地球人、第四次元人、おおとろべふこ(ペンネーム)の聞くラジオノイズ、脳内で色が付くその音は。

マス目の縦と横に書かれた数字から予測されるマスを塗りつぶして答えを出す遊びのように、ドット絵のように。

小さい頃、買い与えられたおもちゃのラジオで遊び始めた頃から、顔と文字が視覚化されていた。


「ううー、上から見てるなら代わりにやってよぉ〜。」


ざざ、じー。


都合のいい時だけわたしに指示してくるくせに、わたしの問いかけには無視をする。

その理由もわかってる。

彼女または彼、その概念があるかも怪しいそれは、わたしが「あなた」に選んでもらう道の先の、答えを知りたいから。

「ダリア」の世界で「あなた」ナイン・エルナは、選択肢を選んで登場人物の反応の変化を楽しむことが出来る。けれど、物語の流れを変えることは出来ない。

作者のわたしが書くお話の中で「あなた」が選んだ選択肢と、結末が変わらないことを知った上で選ぶその選択肢を。

彼女まなは彼、第十三次元人カヌメナーアは、その思考プロセスを知りたがっている。

それ、その個体は、ナイン・エルナの相対する、「ダリア」の世界を焼いた個体とは別のもの。

地球人の感覚で言えば、小さい頃のわたし、今のわたしへ、ラジオノイズとしてメッセージを送ってきたそれは、研究者に当たるんだと思う。

「あなた」とわたしが違う四次元の地球人であるように、ナインの戦う、「あなた」が立ち向かう相手も違う個体だと、そう捉えてもらえればいい。


「みかさーん、朝の洗顔ですよー。」

「あーんこの時間だけが救いだよー。」


個室にいる時は、ラジオノイズばかり聞いてる変人。

そう思われているわたし、おおとろべふこは確定申告と、身体検査で今月と来月は大忙し。


リコルディア① 確定申告


「やりたくないよぉ〜!」

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