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TRIGGER  作者: コロン
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2

俺は暖かい感触から、ゆっくりと目を覚ます。


「お、起きたか?」


声が真上から聞こえてきて、上を向くと。俺を覗き込むように、黒白さんの顔が映る。


「どうした?」


俺の顔を不思議そうに見る、黒白さんを他所に。俺は急いで、黒白さんの太ももから頭を退ける。


「すッすいません!!いつの間にか寝てたみたいで...」


「あぁ、気にするな。記憶も無くあの状況だ、疲れていても仕方がない」


俺は黒白さんの隣の席に、座り直しながら、自分の状況を思い出した。


俺は今、サイバースーツの人が操縦する。プロペラの2つ着いた、軍事ヘリのような乗り物の中だった。


窓の外を眺めると、かなり高度が高く。暗い町が下に見えた。


だが、そんな街並みよりも。俺の視線を奪う物が街の上空に浮かんでいた。


「あれが気になるか?」


「はッ、はい…」


黒白さんが、俺の覗いている窓の方に近づき、一緒に覗き込む形になった為。


ほんの少し当たる黒白さんの胸に、俺は緊張しながら、悟られないように返事する。


「あれは原子核(げんしかく)と言ってな。私が知る限り、私達TRIGGERの力の源にもなるが、敵にもなる」


「え、ど。どう言う事ですか」


あの空中に浮いて、紫に光る巨大な、液体にも見える物体が。俺達の力の源でもあり、敵...、なのか?


「悪いが、私もそこまで詳しくないんだ。またその手に詳しい奴と、後で会わせるから、ソイツから聞いてくれ」


「分かりました」


俺はまだ何も理解出来ていないが。


黒白さんが、こう言うのであれば、必要以上に言及する必要が無いと思い、質問したい気持ちを押し留める。


その後も、ヘリは飛び続け。その間にも大きさも色も違う、原子核を幾つか見つけては、通り過ぎて行った。


俺は、黒白さんから借りた。双眼鏡で原子核を眺めていると、黒白さんが話しかけてくる。


「そんなに面白いか?原子核は」


「はい、なんか。よく見れば見る程、独特な。個性があるような...」


「まぁ、パッと見は綺麗だが。あまり良い物じゃないぞ?」


「そうなんですか...」


黒白さんの声のトーンからして、何か、複雑な感情がこもっている様に聞こえた。


俺は、原子核ばかり見ていると。黒白さんが不快な気持ちになるかと思い、視線を落として、街並みを見ることにした。


外は夜なのか真っ暗で、街並にみは、街灯1つ付いていなかった。


なので俺は、人が誰も住んでいないのかと、勝手にそう思い込んでいた。


だが、よく目を凝らすと。動く人々の姿が、双眼鏡越しに映る。


「あ、あの人達は皆こんな暗い中で、普通に見えてるんですかッ。もしかして、皆TRIGGERだったり...」


普通の人間なら、原子核の明かりで僅かに、見えているのだとしても。


明らかに街は暗く、手探りで歩いてもおかしくない暗さだ。なのに、街にいる人達は平然と生活しているように見えた。


「んー、残念。その逆だな」


「その逆...?」


俺が困惑していると、黒白さんはフッと笑う様に教えてくれた。


「下に居るのが、TRIGGERではない。普通の人間なんだ」


「え、でも。外は真っ暗ですよッ。明かりがある様にも見えませんし」


「私もそう見える。此処には、原子核の光が届いてるだろう?」


「届いてはいますけど...」


届いていると言っても、蛍光色の、花火の明かりの様なものだ。


鮮明に映るわけでもなく、ふんわりと照らしている様にしか俺には見えなかった。


こんな光の強さじゃ、1歩先すら見えるかどうか...。


「普通の人間の目には、原子核は太陽のように映るんだ」


「ッ!?あ、あんな。独特な発光体がですかッ」


「知人や、調査の結果から得た情報だと、どうやらそう見えるらしい。不思議なものだな」


「そう...ですね」


「...怖くなったか?」


俺の心境を察する様に、黒白さんは話しかけてくれる。


「はい...」


化け物に遭遇したり、変な銃を持っていたり、普通の人間とは違ったりと、どんどん現実離れが激しくなっていく。


そして、周りとの違いが浮き彫りになり。俺はそんな状況に、また恐怖を覚えつつあった。


すると、途端に周りの景色が明るくなる。


驚いて窓の外を観ると、今までとは景色が一変し。建物や、乗り物までもが、まるで別世界の物で溢れかえっていた。


「どうやら着いたようだな、ようこそTRIGGERの集う町へ?って所だな」


俺の不安を思ってか、黒白さんは席を立つと、俺の頭を片手で、クシャクシャにする様に撫でる。


「安心しろ、お前は私が守ってやる」


そう言うと、反対を向いて扉を開ける。


俺も付いて行こうと、急いでベルトを外していると、黒白さんが、ヘリから降りると同時に何か言った。


「おかえり...」


プロペラの音で掻き消され、聞き取れなかった俺は急いでヘリから降り、少し先に行っていた黒白さんに追い付く。


「さっきなんて言ったんですか、聞き取れなくて」


「んー、何か言ってたか?」


「確かに何か言ってた気が...」


「やっぱり、外の空気は気持ちいいなって言ったんだ。ほら、深呼吸してみるといい」


俺は、黒白さんの真似をして、両手を広げて大の字になる様に。上を向いて思い切り息を吸う。


『スゥーーーーーーーーッッッ...ッはぁぁァーーーーァァ...』


黒白さんと一緒に息を吐き切ると、確かに心做しか、少し気持ちが楽になった気がした。


「さ、これから忙しいぞー。へばらない様に付いてくるんだぞ?」


「は、はいッッ!」


「フフッ、いいぞー、その意気だ」


そうして、俺はTRIGGERの集う街を、案内してもらう事となった。



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