TRIGGER
――――――......ッッッ!
何だ、なにか。冷たい。
……ッい...オイッ!!!オイッ!!!
「オイッッッ!!!」
俺は聞こえてきた声が、現実のものだと気づき飛び起きる。
視界がぼやけてよく分からないが...。雨が降っていてここは、何処だ?
しかし、目の前の小太りの男に、質問するよりも早く。両肩を掴まれ、もの凄い剣幕で話しかけられる。
「アッ、アンタッッッ!!!TRIGGERなんだろッ!?何とかしてくれよッッ!!!」
「な、なんだ。誰なんだあんた」
「そんな事はどうで良いからッッ!!!とっととその銃で何とかしてくれッッッ!!」
そう言う男の視線の先には、俺の手に握られるように、緑に発光する、一見変わった銃があった。
銃を持ち上げると、白銀に光る、2発の弾が転がり落ちた。
「ッッッ!!!!早くしろよッッ!!!」
男に急かされ急いで、弾を見様見真似で詰める。
勿論、銃に弾を込めるなんて、初めてなのでかなり、手惑いながらだが、何とか装填できた。
「できましたッ」
俺は男にそう言って銃を見せた。
が、次の瞬間。目の前の男はカマキリを、人型にしたような化け物に、腹を引き裂かれ、内蔵が俺の目の前で宙を舞った。
「え、...」
あまりの出来事に、俺は何も出来ずにその光景を、ただ。眺める事しか出来なかった。
「ヒャッヒャッッ!!全く何奴も此奴もッ!逃げ惑うばっかりで、少しァ俺を楽しませてくれよ」
そう言ってギロリと俺を見下すように、化け物は睨みつけてくる。
「ニチャッ!なんだァ。まだ人間が、逃げ遅れていたのかァ。まぁ良い。腹ごなしにはちょうどいいか!」
そう言って、カマキリの化け物は、鎌に付いた先程の男の内蔵を啜り取る。
「ほらッ悲鳴を上げながら、無様に逃げるが良いッ!この鎌が綺麗になるまでなら、待ってやるぜ?」
俺は、逃げようにも脚に力が入らず、その場で何度も尻もちを着く。
「ぅ、うぁぁぁぁあぁッッ!!!」
脳がやっと状況を理解した様に、悲鳴を上げる。
すると、先程の男が斬られ被った血が、雨で滴り落ち、叫んだ口の中へと入ってくる。
「ヴッッ!?オェッッッ!!!ゴハァッッ!??」
鉄の味が何なのか、考え理解するよりも早く、予想がつき、えずいてしまう。
「ハァァ...。なんだぁお前。逃げ回る分さっきのデブの方が、まだ面白かったぜ」
そう言って化け物が、手の様な鎌を振り上げる。
俺はその瞬間、視界が遅くなり、走馬灯らしき物を見る。
と言っても、目覚めたばかりの記憶しかないので、先程の事が、繰り返しフラッシュバックするばかりだった。
だが、お陰で俺は。混乱状態から、拳銃の存在を思い出す。
すぐに銃口を化け物へと向ける。
「ッッ!!!???貴様ッッ!!!TRIGGERッッ!!!よせ!!!ヤメロォォォァ!!!」
驚いた拍子で、相手の攻撃が遅れたお陰もあり、俺が引き金を引く方が早かった。
引き金を引いた途端。目前に、目が眩むほどの銀世界が広がった。
恐ろしい衝撃波が起こり、目の前の景色は、一時見えなかった。
視界が晴れ、辺りを見渡すと、恐ろしい威力で吹き飛ばされた、跡地が残っていた。
ロケット弾。いや、それをも遥かに超える何かで抉り取られた様な跡だ。
だが、そんな威力の反面。俺は何事もなく、その場に崩れ落ちた体制で座ったままだった。
またもや、俺の脳内に、混乱が訪れる。
その場から取り敢えず、逃げ出そうかと思考が過った時。
「ほぉぉ。君がやったのか?」
急な声に振り返ると、凛とした黒髪ロングの女性が立っていた。
「え、ァッ。」
状況が理解出来ていない俺が、答えられるはずも無く、戸惑っていると。
女性は何かを察したように、1呼吸置いてから、話し出す。
「TRIGGER?なんだろ?」
またも言われてしまった、どうやら俺が持つこの武器は、TRIGGER?と言う物の目印になる様だ。
「分かりません...ただ襲われて、目の前で人が斬られてッッ!!無我夢中で撃ったらこんな事にッッ!!」
「君、もしかして、記憶が無いのか?」
「あ、はい。すいません...。そうみたいです」
一瞬怪しむような目を向けられたが、これは事実だ。
現に俺は、先程目覚めた記憶しかなく、その前の事は思い出せず。自分の名前すら分からなかった。
「そうか、まぁ良い。話はまた詳しく聞くとしよう。それより」
そう言うとその女の人は、しゃがみいきなり、俺を抱き締めてきた。
「ッッ!?チョッ何をッッ!?」
直ぐにでも、離れようと、手足をバタつかせたが。
「怖かったな。もう大丈夫。私がお前の面倒を見てやるからな」
何故かその言葉を聞くと、先程までの不安が消え、俺は安堵したように全身の力が抜けた。
そして、その人に包まれ子供の様に、泣きじゃくってしまった。
程なくして、大勢の顔もメットで隠した、サイバースーツの人達が駆けつけてきた。
そのうちの1人が、こっちに来て、傘をさしてくれた。
「大丈夫ですか?黒白様」
「あぁ、大丈夫だ。それに、今回の件には私は手を下してない」
その言葉を聞いて、表情は見えないが、半歩仰け反ったのを見て、驚いている事が読み取れた。
「ならば、その方も...」
「あぁ、TRIGGERだろう」
「承知しました。お連れになられるのですか?」
「そのつもりだが、なんだ?」
黒白さんが、威圧気味にそう言うと、男の人はその場に、片膝を着き座る。
「いえ、私からは何もございません。ですが、報告はさせていただきます。」
「あぁ、頼んだぞ」
この人達が誰なのかは、全く分からないが、どうやら俺は黒白さん、着いて行って良い事になったらしい。
「ま、そういう訳だ。このままでは風邪をひいてしまう。早く行こうか」
「はッ、はい」
俺は言われるがまま、黒白さんについて行くこととなった。




