アミュス・パメルその6
私は学園長になった。
とても簡潔だけど、その通りなのだ。
最初はみんな受け入れないと思っていた。
特に副学園長とか。
でも、何故だかみんなすんなりと受け入れて、私はすんなりと学園長になってしまったのだ。
なんだかんだ、そんなにやる事もないと思っていたのだけど、とても――とても忙しい。
今も後ろで、ゼラ前学園長が見ている中で、大量の書類に囲まれている。
「アミュス学園長。そこ間違えてますよ」
「は、はい~」
ゼラ前学園長は厳しい。
というか、ゼラ前学園長はこんなに忙しいのに、どうやって子供達と交流していたのだろうか?
「おお!やってますねえ」
部屋に入ってきたのはベルテッダさんだ。
この人の事は、ちょっとよくわからない。
私を置いてけぼりにして話が進んで、気が付いたら私の護衛になっていたのだ。
ベルテッダさんは、最初は口調も乱暴だったし、見た目も乱暴そうだった。
今は、口調は少し丁寧になったし、ピシッとした服を着ている。
"悪い人ではない"のだと思う。
私の書類は手伝ってはくれないけど。
結界の事だけど、私は一枚追加した。
なんか、魔法が強い人達みんなで貼っているそうだ。
一枚くらい壊れてもいいようにとのことらしい。それもそうか。
これは楽だし、たいした負担にもならない。
魔族の方は、これからは私が倒さないといけないらしい。
でも、私は相手を騙すことは出来ないから、ベルテッダさんがやるとか……。
それを聞いた時のベルテッダさんは、「絶対にやらないからな」と言っていたけど、拒否権はないそうだ。
いつか平和になるといいのだけど……。
♦
夜になると、疲れて部屋に戻る。
部屋は変わってしまったけど、今まで通り窓を開けて空を見上げる。
「お兄ちゃん、今日も忙しかったです。助けてください」
いっそ逃げ出してしまいたいくらいだ。
でも、そう言うわけにもいかないだろう。
みんな困るだろうし。
そういえば、窓に紙を投げ入れていたのは、ベルテッダさんだそうだ。
あの紙に困らされたのだけど、もうそういうこともないだろう。
そう思っていたのだけど、やはり紙が――私の部屋に投げ入れられてきたのだ。
その紙には、こう書かれていた。
頑張ってね。
直感だけど、これはベルテッダさんが投げ入れたものではないだろう。
誰がくれたものかわからないけど、明日も頑張ろう。
そう、思った。