星
何処とも知らぬ世界。
満点の星空。
その星空とは配置も、色も、全て違う星空を見せる建物の中で。
一つの星が現れ、一つの星が消えた。
禍々しい星が、青白い星に向かう軌道で動いていたのを、部屋の主は思い出していた。
そうして、青白い星のとなりに新しく現れた星をゆっくり眺め。
「ほう...ほう...ほう!」
さも面白そうに何度も頷いては、手元にある本を捲った。
「ううむ...『死人使い』が消えて...新参者が残り──あれはいったいなんだ?」
時に顔を付けるほど本を持ち上げて覗き込んでは、首を伸ばして星の海を仰ぎ見る。
新参者のすぐ隣。新しく生まれた暗緑の星は、ただ静かに輝いていた。
「何と、名付けるべきか......」
部屋の主は楽しそうに呟きながら、傍らに置かれた極彩色の羽で作られたペンを取り出し。
「吹けば消えるような星だが、生き長らえた七色の新参者にも『名前』を与えねばなるまい。はっはっは...面倒な事だ」
目の前のまっさらな頁を前に目を閉じ。
言葉とは裏腹に涼しげな笑みを湛えて、思考を巡らせる。
「...そういえば」
ふと思い出したように目を開いて、視線をずらす。
「近づいて居たな...確か、『君主』と──」
其処に一つの小さくとも強い光を放つ赤い星が、二つになった星へ近づいていた。
「...くっく、この数巡で新しい超越者が何人も生まれたが。はてさて、どうなるか...な」
そして、その小さな光を追うように、部屋の主が見据えたその先。
──三つの輝きを足してもなお、届かぬ程の輝きを秘めた星が。
ゆっくり、ゆっくりと、確実に近づいていた。
「やはり、消される定めか...それとも......」
最後の呟きは誰とも知らず。ただ闇に消える程に小さく、掠れていた。




