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子育て?超越者(ヒュペリオン)  作者: 樽腹
第四章 超越者
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第11話 魔術結晶



【移層】で世界を跨げば錬金協会は目と鼻の先だ。


それはまるで、地球のビルのような建物だった。

違うところがあるとすれば、コンクリというよりはペンキで塗ったような。

たったひとつの石を切り出したかと思える程に、綺麗な建物であることと。大きな煙突に木造りのドア...そして窓の少なさだ。


ドアに貼り付けられた真鍮のような色合いのプレートに何か文字が彫り込まれている。

判子で打ち込んだように整った文体だが、やはり残念なことに俺に意味は分からない。


「ごめんください」「わん!」「ぴゃぁ」


俺達は大きな扉を開けて中に入った。


薬草の匂いに混じった酒とは違う。アルコールのような匂いが、俺に地球の病院を連想させ。

ガラスの容器に入った液体から錠剤、粒状の薬などが棚に詰め込まれて所狭しと並び。

ショーケースのようなガラス張りのケースに備えられた用途の分からぬ金属製の何かが、フロアのあちこちに鎮座している。

中にはゴミ箱みたいな傘立ての中に杖が数十本纏めて置かれていたりも。


棚の中の薬品は日光に弱いのか、窓には遮光カーテンのようなものが引かれ。

照明の魔道具は薬品に直接光があたらないような配置で光を放っている。

その並べられたケースや薬品の前には決まって木札で出来た値札が立てかけてあった。


奥まった場所にあるカウンターでは眼鏡を掛けた女性と同じく、眼鏡を掛けた男性が帳簿を片手にペンを持って事務作業をしていた。

事務所みたいな場所の奥には階段があって。


おそらく一般的に立ち入る事が出来るのはこの一階部分のみだろう。


白を基調としたローブを羽織る二人のその姿から、恐らくこの建物に勤める錬金術士か。


...先ほどから声が聞こえないくらい集中している。


俺達は近付いてもう一度声を掛けた。


「あの──「「すみません!!あともう少しだけお待ち下さい!!!」」──アッハイ」



ちょうど一分くらいのところで二人が同時に手

を止め帳簿とペンを置いて天を仰いだ。

そして眼鏡の女性はそのまま机に突っ伏して動かなくなっ...


...寝とる。


男は帳簿を閉じるとカウンターまでやってきた。


「...お待たせして申し訳ありませんでした。ケセルナ錬金協会にようこそ」


七三分けの髪に整えられた顔立ちの男だった。

しかし目の下に出来た隈がひどくて、本当に大丈夫なのか心配になってくる。


ラヴィネがカウンターに備えてあった椅子に飛び移って行儀よくおすわりした。


...椅子の上に乗った事を叱るべきか、おすわりしたことを褒めるべきか。


「あはは...元気なワンちゃんですね」

「すみません...まずはこれを」


俺はラヴィネを撫でながらギルドで渡されたネームプレートのようなカードを見せた。

銅板に似てるが異なる質感と重さで不思議なものだ。


「ああ、本日から我々錬金協会の狩人(ハンター)として活動するようになったのですね。申し訳ありませんが紹介状か証明をお持ちでしょうか?」

「此方を...」


俺が渡したアルナさんの紹介状を見て、一瞬ギョッと目を見開いて固まり。

そして何度も此方を見ては読み進め、震える手で紹介状を閉じて此方に寄越した。


「ほ、本日はどのような御用件で」


話が早くなるのは助かるが、後日要らぬ誤解を解くのに手間が掛かりそうだ。

俺はアルナさんに聞いた魔道具の中で、シンプル且つ強力な代物を尋ねた。


「魔術結晶の火と風と光属性の良いやつを十個ずつください。あと上回復薬二十個と解毒剤を十個ずつ。低級万能薬三つを...代金はこれで」


俺はアルナさんに手渡された白金貨を三枚カウンターに置いた。

男は白金貨を見るや棚から帳簿を捲って何度も頷き、店の奥へと駆けていく。



──坊主はまだ自分の力で魔法を扱う事は出来まい。


そう言ってアルナさんは紹介状を書きながら俺に教えてくれた。


使い捨てになるが、一瞬の内に中級以上の爆破系範囲魔法を展開する。

本来なら魔法使いの杖に嵌め込まれ、加工されて永続的に使用されるものだ。


理屈は分からないが、これを投げて使う事で俺どころかスライムですら攻撃魔法が使える事になる...というよりは、衝撃で爆破して中身に封じられた属性の力が一気に開放。


その結果、攻撃魔法に近い威力が出せるようだ。


見習いの練習用に使われるもっとも小さな代物ですら銀貨数枚にもなる加工前の結晶は、取り扱いに充分注意しなければならない。


俺は屋敷から出る前に、今から戦う事になる手駒のモンスターに付いて聞いていた。



まずはこの白金貨三枚で今から言う代物を揃えな──



「お待たせしました。残念ながら光属性は此処最近の需要で8個しかありませんでしたが、よろしいでしょうか?」

「構いません。ただしその分火属性を二つ追加で」

「承知しました」


男が再び店の奥へ。

今の買い物で、地球の日本円にしておおよそ三千万。


だがそんな高価なものも、これからの戦いで一瞬のうちに使い切るだろう。


エアから聞いた敵の手の内と、自分の持つ記述の力と手札を比較して考える。


首のペンダントに込められた力と、護身用というにはあまりにも殺傷力の高いルンナさんの魔道具。


たった今手に入る魔術結晶に回復薬と解毒剤に万能薬。



それでもまだ足りない。




次はギルドの万屋だ。


(´ω`)此処まで読んで頂きありがとうございます!

ブックマーク評価感想などよろしくお願いしナス!

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