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子育て?超越者(ヒュペリオン)  作者: 樽腹
第四章 超越者
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第8話 匂い


...いきなり困った事になった。


無駄な時間を使っている余裕などないのだが、腕はガッチリと押さえ込まれている。


「離してくれませんか?」


おもっくそ振り払っても良いが。

その場合こいつの着弾点となる筈の、錬金協会の建物の安全が保証できない。


──なお珍獣(ココ)の安全は考えないものとする。


「嫌」


おぉい...


こいつが警備隊(おまわりさん)でなければ...うぐぐ。

そもそもこいつはなんで此処に居るんだよ。


「今日一日ギルドの警備を任命されました!おまけにあとで貴方に謝っとけと隊長とみんなに言われました!」


そ、そう?


まあ仮にも街の治安を預かる警備隊が、善良な一般人に故意に斬りかかった訳だし当然──


「──知った事か!です!」


俺の腕をがっちり抱え込んだままドヤ顔で決める珍獣。


首領とは違い格好良さのかけらもない。


「わたしは自分の意思で貴方を葬...逮捕するのです!」

しかも今こいつ言い直したぞ。


アインさんは何故こんな害獣を野に放すような事を...ああ、二匹ともダメだぞ。


仮にも相手は警備隊(おまわりさん)だ。


無闇矢鱈に攻撃したらダメ...そういう事は誰にも見つからない場所か、揉み消してくれるアインさんの見てる前でやろうな?


「まあそれは後のお楽しみということで、質問なんですが...」


後のて...やっぱり葬る気か?葬る気なんだな?


「...何故貴方から、ルンナちゃんの匂いがするんですかね?」



...


...は?


こいつは何を。


「すんすん...ルンナちゃんから揮発した汗の匂いと石鹸のにおいに。髪を洗う時に使う香油の...うへへ...」


俺の身体を嗅ぎまわり、ルンナさんの残り香を追ってトリップする害獣(ココ)


おまわりさんこの人です。

...って、こいつがおまわりさんじゃねーか!


「でも、何故か泡立実の匂いに......と、ともかくルンナちゃんの持ち物の匂い混じってるの!遂に本性を表したわね!」


こいつ確かに犬耳と尻尾生やしてて犬っぽいと思ってたが、嗅覚まで犬並みとか。


確かにルンナさんから、アルナさん謹製の護身用魔道具を手渡されたが。

まさかそういうのまで嗅ぎ分けるとは思いもよらない。


掴んでいた手を離して、あちこち嗅ぎ回る。


「きゅうぅん...」「ぴゃ...」


自由になった筈だが、俺の用事は害獣(ココ)が立ちはだかるその先にある錬金協会。


どうにかしてお帰り願わなければならないのだが...その鬼気迫る様子にラヴィネとステラもドン引きだ。


「おまけに手なんか握って貰ったりしたでしょ!!これはもう完全に事故に見せかけて消すしかな.........え?」



ん?

急に動きを止め、ある一点をじっと見つめ。


その視線の先──




「──おとうちゃん」ぽつりと呟いた。



俺の掌を...



...あ



しまった!



犬並みという時点で気づくべきだった。



ワンダさんの娘という事は当然...知っている筈だ。

産まれてから死に別れるまでずっと嗅いでいた匂いなのだから。




「なんで貴方から...お父ちゃんの匂いがするの?」



肉親の匂いを嗅ぎ間違える事など無い。





「答えて!!」


(´ω`)此処まで読んで頂きありがとうございナス!

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