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子育て?超越者(ヒュペリオン)  作者: 樽腹
第四章 超越者
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第3話 仲間


エアの話はまだ続く。


超越者には記述の力とは別にもう一つ、支配の力がある。

自分が倒した相手を『記憶』から再生して使役するのだ。

記憶から呼び起こされて再生された存在は超越者の『手駒』として支配される。


その存在は超越者が生きている限り束縛される。


そこに明確な意思と思考はなく。


ただ超越者の意のままに動く忠実な僕になるのだという。


《虫も殺せぬ聖職者が、超越者の手によっては笑って敵の首を撥ねる悪魔に変わる》


そして──


《この世界は『記憶』の世界。己が体験した全てが、己の目に映る像となって現れる世界なのです》


一番衝撃的な事実だった。



...じゃあ、あの世界とみんなは...。



「──俺達を呼んだか?」


振り向けばそこに居る。



愉快で頼もしいハイオーク達と、それを率いる首領(ドン)


雄々しくも何処か愛らしい狼達、先頭に立つのは二匹の白雪狼。


俺に寄り添っていた白黒の子供二匹が真っ先にラヴィネの両親に向かって駆け出した。


遅れて二匹の蜃気楼大蛇(ミラージュボア)がやって来る。


俺の大事な仲間たちだ。


「ぬ、オーク将軍(ジェネラル)白雪狼(スノウウルフ)じゃと...?タリオンよ...お主はもう支配の力を──」


《既に手駒を集めていたのですね》


「違う」


そんな力知らない。


俺達は確かにあの時語り合ったのだ。


殺しあったみんなが確かに何かを知り、共有しあって仲間になった。


誰もが皆新しく出来た仲間(ステラ)の身を案じて、俺に託してくれた。


...手駒なものか。


「はっはっは!世界の抑止力に人間も、揃いに揃って目玉が節穴揃いではないか」


イルダナフさんとワンダさんが顔を見合わせた。


《む...貴方達はいったい...手駒に明確な意思など──》

「知った事か!俺達は俺達だ...俺達は自分の意思を持ってこの(タリオン)の力になるのだ!」



首領が力強く拳を掲げ。

オークと狼が高らかに吼える。


「わぉぉおん!!」「ぴゃああ!!」


二匹の子供も釣られて可愛く吼える。



太陽と三つの月の下で、確かに聞いたあの遠吠えだ。



みんな持ってるものはボロく。


打ち合うだけで壊れそうな物ばかりで。



エアのような力も、二人の英雄に叶う程の強さも無い。



けど、俺にはどんな者よりも何よりも頼もしく。




...そして嬉しかった。




「いよいよ、俺達の力が必要なんだな?」


「ああ...」


でも、良いのか?

俺は、この期に及んで未だに怖気付いていた。


これから死に向かわせる事。すなわち俺と同じ力を持つ者との戦いだ。


もう一度死んでしまったら二度とは──


「心配するな。例え死のうが消滅しようが...どんな状態になろうとも、お前が生きている限り俺達は不滅だ」


首領オークは拳を握って胸を叩き。


「捨て駒にしろ」


力強く言い放った。


「躊躇うな。確実に勝利を掴みとれ。俺達を切り捨てる場面になれば、確実にそれを利用して活路を開け。そして──」


そしてそれを前に突き出した。


「...皆で勝とう」

「ああ...!」


俺達は拳を突き合わせた。

再びみんなが吼える。


「エアさん」


《...はい》


覚悟は決まった。


「教えてくれ、相手の事を」


どういう手駒を持っているのか。

その性格、使った記述の力、道具、戦い方。

弱点。

癖。

体格。

種族。


どんな些細な事でもいい。





ケセルナの街を守る、負けられない戦いが始まろうとしていた。


(´ω`)此処まで読んで頂きありがとうございます!

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