第17話 街役場で
「アルナ様に御付きの方もすみません...ほら、挨拶はー?」
「わんわん...ばいばい」「はーい、またねー」
役場の待合場から立ち去る親子を見送る。
「ほっほっほ、じゃあな」
「わふっ」
ラヴィネは俺の膝の上で大人しく座って尻尾をゆっくり左右に振っている。
赤いバンダナ?を首に巻いたラヴィネはまだまだ子供。
真っ白でふわふわな毛並みに大きさと可愛らしさからして小さめの中型犬にしか見えず。
通りすがりの人々から、暖かな眼差しで見守られていた。
今も身元保証に魔獣登録をしたそのあとに、同じ待合場の椅子に座っていた親子を相手に撫でられてたし。
うん、人の背丈ほど体高のある狼に成長するとは思えない。
「将来的には大きくなる筈なんだけどなあ」
「ぅぅ...」
たしたしと前足でお手のような仕草で俺を叩いて抗議をするラヴィネをひっくり返してお腹を撫でる。
ルンナさんが羨ましそうな目で見てるのであとで撫でさせてあげてな?
「きゅう...」仕方ないなあって感じで目を細めて尻尾をぶんぶん回す。
一方、同じバンダナを尻尾に巻いたステラはというと、
うとうと...ハッ?(キュッ)
「いいから君はもうねてなさい」「...ぴゃ...」
うとうとしながら時々キュッと首を締め付けるのはマジで勘弁してもらいたい。
人が住む場所になっても、寝れるあたり神経が図太いというかなんというか...。
まあ機敏に何にでも反応する程神経質じゃないしこれは有難い。
...あるいは環境が変わり過ぎて、気疲れで眠気が増しているのかもしれない。
なんにせよ落ち着ける場所に早いとこ連れて行ってやりたい。
「アルナ様にタリオンさんお待たせしました」
男が手に数枚の羊皮紙とタグを持ってこちらにやってきた。
ラヴィネが反応して身体を起こし、俺の横にキリッとした顔で行儀良く座る。
...うーん、これはだけん。「ぅぅぅ」
こらこら指をはぐはぐしない。
「こちらが魔獣登録証明書に登録タグになります。白雪狼のラヴィネと、ええと...フォレストパンサー亜種のステラですね」
「ありがとうございます」
「いえいえ、証明タグは他所の街に入る場合に必要になって来るので無くさないようお願いします。再発行の場合ひとつにつき銀貨一枚になっております」
アルナさんにステラの事をなんとか誤魔化せないかと直前で相談したところ。
フォレストパンサーが姿的に一番似てるということで、それで登録した。
控えめに言って詐称。
はっきり言うと犯罪である。前科一犯。
わたわたするルンナさんが可愛くて。
「あとでしっかり説明しな...?」にっこりと笑うアルナさんの笑顔がとっても怖かったです。
あと目が笑って無かった。
...うぅ、墓穴掘ってるのかなあ。あんな怖い笑顔相手に誤魔化せないしトボけられねえ...!
「はい、こちらは身元証明の証書と仮の住民証明ですね。登録から一年は税は免除となっておりますが一年を越えたあたりで税が発生するのでご了承下さい」
身元保証の詳しい話から薄々気付いてたたけど、この街での仮の身元保証が外れての成立は住民って事になるのか。
「あとタリオンさんの御職業は狩人という事なのですが。ギルドで仕事をなされる場合、護衛や戦争に赴く傭兵業や、遺跡やダンジョンの探査に関わる仕事、場合によっては製造業もございます。ですが、そう言った職を越えた活動は何ら制限される心配はありませんので、お気軽にとは言いませんが沢山の仕事をこなして、ギルドで一層の活躍を宜しくお願いします」
ふむふむ。
...
やっぱあるじゃんッ!迷宮ッッッ!!
「坊主?」
「?」
「あ、いやなんでもありません」
...と、まあ、ひとまずそれは置いといて。
待合場でアルナさんから聞かされていたが、製造業や商家に輸送といった全てを繋いで仕事を仲介する場がギルドなのだそうだ。
知識と経験。
人材と商材。
暴力と知略。
魔術と技術。
全てを繋げて見合った金と労力とモノをやり取りする場所。
それがギルド。
いったいどんなところなのか。
『ごーーーん』『ごーーーん』───
そこに、正午を知らせる鐘が鳴り響いた。
役場の人が休憩中の立て札を立てると、周りの人が思い思いに一斉に動き出した。
「ふむ、ギルドへ寄る前にちょいと飯にするかい」
ざわめく待合場をあとに、アルナさんが杖で肩を叩きながら歩き出した。
そういや鹿ジャーキー以外食べて無かったな。
...この街の料理か。
いったいどんなものなんだろう?ちょっと楽しみだ。
(´ω`||風邪早く治ってクレメンス...
此処まで読んで頂きありがとうございナス!




