第13話 おばあちゃん
首輪を袋にしまってアインさんは話を切り出した。
「とまあこの話はまた後日にするとして。次にルンナ嬢と熊に、今後の君の話かなあ...うーん、もうそろそろ来ると思うんだが」
「──!...っ──!!?」
ん?なんか入り口の方が騒がしいな。
「ぴゃ...」「わふっ」
この子達もしきりに入り口の方を気にしている。
そして騒がしさの元凶と思われる足音が近づいてきたかと思えば、突然ドアが開いた。
「糞ガキは何処だい!!はようお前が指揮してルンナを──」
「おっ、お、おばあちゃん...!」
この人がルンナさんの言ってたおばあちゃんだろうか?
見るからに上質な濃紺のローブを身に纏い、背筋と足取りはしっかりしてる筈なのに木で出来た杖を持ち。
皺くちゃで節くれだった指にはいくつもの宝石が散りばめられた指輪を嵌め。
挙句白く長い髪から覗く瞳と、身に纏う気配の鋭さときたら...それはもう大空の頂点たる猛禽の如く。
...まるで昔ながらの童話に出てくる魔女や魔法使いのようだ。
そんな彼女が、ルンナさんを見るや。まるでさっきまでの触れれば切れるような気配と目の鋭さは何処へやら。
涙を浮かべて駆け寄り、座ってるルンナさんの顔をその胸に抱きしめる。
「おお、ルンナや...!無事で良かった...いつまで経っても帰ってこんで、ほんとにもう...はぁあぁ」
「ご、ごめんなさい...おばあちゃん」
特に抵抗をするわけでもないルンナさんが、何処となく嬉しそうで。
老婦人が、その艶やかな銀の髪に頬ずりして、優しく孫の背中を叩く。
何故だろう。
...何故かルンナさんが、とても羨ましく思えた。
しばらくして、ルンナさんを解放した老婦人は元の目つきの鋭さでアインさんを一瞥する。
「お前にしちゃ、珍しく良い仕事したじゃないか」
「俺はいつだって優秀ですよっと...まあ、今日はちっと勝手が違いましたがねえ」
「ほざきな」
犬っ娘が気づいたように立ち上がった。
部屋の戸棚からカップを出して机に置いて、その中にポットの中身を注ぎ入れる。
「んん?アグロの忘れ形見とは別に、もう一人居るねえ...誰だい?おまけにこぉんなかわいい子供達を連れて」
老婦人はルンナさんから離れ。
しゃがんで白黒二匹の目線に合わせると、そっと手を差し出した。
「きゅぅぅ...」「ほっほっほ...めんこいのう」
ラヴィネは差し出された指を嗅いで、そのまま撫でられ。
「くるるる...」「おや、あんたは飼い主一筋かい?大丈夫、怖いことなどないよ」
「......」「おお、ありがとな」
ステラだけは心を許さない筈だったが、どういうわけか頭を撫でる事を許したようだ。
「んん、良い子だねえ...」
...この老婦人、出来る。
其処にアインさんが声をかけた。
「ああ、紹介するよ。今詰所の入り口で鎮座してる熊を仕留めた張本人でルンナ嬢を助けた...」
「た...タリオン、です」
「ほう...あんたが?」
二匹から離れてつま先から頭のてっぺんまでじろじろと見られる。
鋭い目つきが少し怖くて思わず上ずった声で名前をあげてしまった。
それに驚くことだが、このおばあちゃん...アインさんよりほんのわずかに強い。
理由は何故かわからないけど、そう感じる。
「ばあさんには、タリオンの身元の保証人になってもらいたくってね」
身元の保証?はて...?
「...ルンナをこっちに返さずに引き止めてたのはこういうことかい?」
「いやぁ...ははは」
睨まれたアインさんは誤魔化すように頭をかいて目線を逸らした。
「...ふんっ、おい坊主」
そこへ急な飛び火...ぼ、坊主って俺か?
「は、はい...」
「今日からあんたの面倒を見るババアでアルナつうケチな錬金術師さ。よろしくな?」
「よ、宜しくお願い...します?」
...んん?面倒を見るって...どういう事なんだろう?
「おい糞ガキ、この子にちゃんと説明したのかい?」
(´ω`)此処まで読んで頂きありがとうございナス!
すみません風邪をひきましたのでしばらく更新が遅れます。何卒ご容赦を




