第12話 太陽と月の下で
「見えてるのか...?」
「ぴゃあ!」
立ち上がって両手でおのれを抱える俺を見上げて、リンクスの子供は何を思ったのか。瞬きをして身体を揺すって、するりと両手の拘束から抜け出す。
「あ、え?」
衝撃のあまり身体と心が剥離して付いて行かず。両手から抜けるということは当然落ちる訳で「危なっ、い?」
落ちる瞬間、俺の右手に尻尾を巻き付け。
「おお...」感嘆の声をもらすオークの前で、落下する力を利用して。
まるで振り子のように黒い身体が弧を描き。
巻きつけた尻尾を離して上へ。「「!」」蛇達も驚いている。
宙を舞ったのちふわりと...
何事もなかったかのように、俺の肩に着地した。
子供だというのに、何という身体能力。
「ぴゃあぁぁあ」気づけばあのエンジンのような音を喉から出して。
肩からそのまま俺の顔へこつん...頭をぶつけてぐりぐりと押し付ける。
ぐるるる
こつん こつん
うりうり、ぐりぐり。
絹のように艶やかで滑らかな毛が俺の頰や首にぶつかり、スリスリと肌をする。
ごく稀に舐める。
ぺろぺろ、ざりざり。
舌はざりざりする。うん、これは猫。
かぷり。
甘噛みでも、ちょっと痛い。
「あははは、ちょ、待って!待って!うへへはあは!!」
とてもくすぐったくて。
思った以上に猫で。
瞳が何故あるのかわからないけど。
俺はこの世界の中で、心から笑っていた。
「「...」」
蛇達が木の陰から出てきてこちらにやって来る。釣られてオーク達もやって来て蛇二匹と肩を並べあう。
「わん!わんわん!」
「!ぴゃあ!」
俺と肩に乗ってるリンクスの子供を見るや吠えるラヴィネ。その背後には無数の狼と二匹の親。
肩から身体を伝ってするりと降りた黒い子が、そのまま駆けて来た白い子目掛けて突進する。
「わふっ!わん!!」
「ぴゃああ!」
みんなに見守られじゃれ合う二匹の女の子。
巧みに尻尾を使いこなすリンクスの動きをかわし、前足をうまく使って襲いかかる前足を抑えてかぶりつく白狼。
もみ合い、ごろごろと地面を転がり、離れては再び飛びかかってはぶつかり合う。
「きゃんきゃん!」「わおおおん!」
「わん!」「ぴゃあああ!」
騒ぎを聞きつけやって来た子狼達も混ざって大乱闘だ。
周りが囃し立てる中、二匹の蛇が俺のすぐ隣までやって来た。
「「......」」
青みがかった緑の鱗に黒い斑紋がまばらについた大蛇だった。
綺麗に生え揃った鱗が、今は月明かりと太陽の光を受けて七色に煌めいている。
「...ああ、これからもよろしくな?」
「!しゃー」「!(こくこく)」
それと、すまなかった。
頭を下げたままの二匹をそっと撫でる。
蛇達は何処か嬉しそうだ。
俺達は再び子供達の大運動会に向き直った。
今はもう誰が敵で誰が味方か分からず、みんなもみくちゃだ。
「ふふ...騒がしいな」
「...ああ」
だけど悪くない。
煌く星に三つの月と太陽の下。
白と黒を筆頭とした子供達のじゃれ合いはいつまでも続いていた。
((((´ω`))))とてもさむい
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