第5話 森を抜けよう
|´ω`)葉っぱ一枚で跳ぶ姿はまごう事なく変態
「はっはっ...」
隣をとてとて歩くラヴィネの息遣いが聞こえる。たまに俺を追い越しては、ペースを合わせる為にゆっくり歩く。
離れたかと思えば、木におしっこをふりかけマーキングして戻ってくる。
時折俺の周囲をくるりと回るなどして忙しない。
連日狩りに連れて行き見本を見せ、時に走らせて足腰を鍛え。
食後やオヤツに骨と追い魔石もやって顎を鍛えた。
その成果はしっかり出てきてるようだ。
だから魔石がどんどん減ってくんだとかいう現実からは全力で目をそらす。
こ、子供の成長には欠かせないものだから、うん。
問題はどんな時でも常に俺の顔を見ていて、笑うように目を細め、耳を伏せてるところか。
外敵や脅威に対する警戒が全くない。
おまけに尻尾もぶんぶん振ってる。
こらこら遊びに行くんじゃないってば。
でもまあ、二時間くらい通してよく歩いた。偉いぞ。
「きゅぅぅん」
ご褒美に撫でると甘えた声を出して頭や首を押し付けてくる。めたくちゃかわいい。
ふふふ...ちょっと早いが魔石をやろう(馬鹿)
このペースで歩くと森を抜けるのに半日。村に辿りつくのにもう三分の一日と言ったところか。
今の歩く速さ的に時速5km以上出てるので、距離にして凡そ70から80kmくらい。
休憩と食事を適度に挟む事を考えると無理に行けないし。さらに村に辿りつく時の門厳や睡眠を考慮すれば...歩くだけでまるっと一日の距離だな。
往復一日は走れば行けなくもない、か。
そういやこの世界の距離とか時間と言った尺度を表す単位は何ていうのだろう?
...爺ちゃんから教えて貰った筈だが、なんか曖昧だ。
時間も太陽の位置と影の長さで測ってるがこれも正確とは言いがたい。
うーん、腕時計が欲しい。
借金を返す際に質というか泣く泣くオークションで手放したが、セイコーのスプリングドライブ...高かったなあ。
人知れずため息が漏れる。
ラヴィネが魔石を食べ始めたので軽く休憩。
水袋を傾け直接口を付けずに水を飲む。
口からの雑菌で水を腐らせないようにする為だ。
鞄から洋梨擬きを半分に割って食べる。断面には殺菌作用のあるハーブをぺたり。
魔石を食べ終えたラヴィネに、左手をお椀代わりにして水をあげた。
ぴちゃぴちゃと嬉しそうに水を飲む。けど飲むうちに舌で跳ねた水が顔に掛かっている。
水を飲むのはちょっと下手くそだ。
飲み終えたらフスッと鼻を鳴らして、ぶるぶると狼ドリル。
ペロリと口を舐め回して白い顔は元どおり。
水袋をしまって、俺達は再び歩き出した。
魔石を金と交換出来るか?
必要な道具。下着に衣類。布団。食料に調味料はあるのか。
宿は?言葉や文化は?
首輪をバレずに入る事は出来るのか?
色んな事が頭の中をぐるぐる回っては、消えていく。
俺は森を抜けるまでの間、ずっとあれこれ考えながら歩き続けた。
ラヴィネはまた尻尾をぶんぶん振って、俺の顔を見ながら歩いてる。
注意散漫な一人と一匹だが、幸いというべきか
危険な魔物や動物に出会う事はなかった。
問題は森を抜けた後だった。
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