6話 嘘つき同士
大変お待たせしましたm(_ _)m
「……白、雪?」
瑠璃は動揺していた。
勝負は白雪が負けてしまうと思っていたからだ。
それがまさか白雪が実は氷の国の王族で、一輝も七星 ひかるも倒してしまうとは普段の白雪からは想像出来ないことであった。
「大丈夫ですかっ!? 瑠璃ちゃん!! 怪我はっ!!?」
けれど白雪は瑠璃の動揺を余所に、はっと瑠璃を振り向くと瑠璃の身体の心配をし始めた。
「……だ、大丈夫です。そ、それより、白雪は氷の国の王族だったんですか?」
今、重要なのはそこではない。
瑠璃は白雪の腕を掴むと、目を合わせた。
「……ごめんなさい、瑠璃ちゃん。私嘘をついてました。私は氷の国の王族の生き残りです」
白雪は一瞬泣きそうな顔をすると、誠意を表すように頭を下げた。
「そう、ですか……そう、なのですね」
白雪が氷の国の姫……
それは予想外の事実の筈なのに、何故か胸にストンと落ちた。
前々から白雪はチグハグに思える面があったのだ。
筆記で1番の成績ながら、平民でも知っているような知識は知らない。
平民の筈なのに、食事のマナーや貴族の子女が受ける教養はあった。
貴族の私生児か何かだと思っていましたが……まさか亡国の姫君とは……白雪、全く貴方は予測不能にも程があります。
「や、やっぱり怒ってますよね……もう、私何かと友達は嫌に……」
瑠璃の無言を怒りととったのか、白雪は顔を青ざめさせて狼狽した。
「ぷっ、貴方って人は本当に、おバカですね!」
瑠璃は白雪のそんな様子に思わず笑ってしまった。
本当におバカです、白雪は。
そんなんだから、頭のいいバカだと言われるんですよ?
だってーー
「えぇっ!? 今言うことですか、それっ!!?」
「そんな事ぐらいで、止めるわけないでしょう?
寧ろやめられたら私が困ります。裁判に持ち込んででも、止めるつもりはありません!」
私は白雪に出会って救われた。
今回もまた白雪が私を救ってくれた。
2度目だ。
それなのに、何で友人を止めたいなんて思うというんでしょうか?
……本当に、白雪はおバカですね。
「で、でも私、もっと早く瑠璃ちゃんを助ける事が出来たのに、見てただけで、何も、何もしないで……」
「私の無実が分かるように気を使ってくれましたし、辛い時は傍にいてくれました。それで充分じゃないですか。白雪達は私の為に動いてくれました。今だって……本当は、まだ表に出る筈じゃなかったんでしょう? 貴方達のおかげで私は救われました」
貴方達を見てればそれくらいは分かります。
本当はこうして自分の身分を明かすのは、もっと先の事だったんでしょう。
けれどそのリスクを犯しても、白雪は私を助けてくれた。
だから、白雪が謝る必要はありません。
「「で、でも」それに白雪が嘘つきなら、私も嘘つきです。しかも、もっとたちの悪い大嘘つきです」
「そんな事ありません!!」
瑠璃の言葉を、白雪は直ぐ様否定した。
「本当ですよ。だって私は苛めや恐喝何でもありの最低最悪の悪役令嬢ですから」
過去は消えない。
今がどうであれ、私は最低最悪の悪役令嬢だったのは事実だ。
私のした事で、今も心に傷を負った子は沢山いる。
けど、私は白雪にその事を言ったことはなかった。
白雪にそんな最低な過去を知られたくなかった。
だから、私も嘘つきだ。
白雪にいい面ばかりを見せようとしていた。
「……瑠璃ちゃんは、悪役令嬢何かじゃありません。美人さんで、とっても優しい女の子です」
「ふふ、ありがとう。でも、隠してたのも本当だわ。……こんな、私でも友達で居てくれるかしら?」
だから、今度は本当の私で友達になろう。
私はもう逃げたりしない。
「勿論です!」
白雪が満面の笑みを浮かべて抱き付いて来るのを、よろつきながらも受け止める。
「じゃあ、おあいこね」
「はい!」
トクトクと心臓の音が聞こえ、その温もりに今迄張り詰めていた気が弛み、目から涙がこぼれた。
「……ありがとう、白雪、ありがとうっ」
瑠璃の白雪への感謝の言葉は、嗚咽混じりになってしまった。




