第61話 夜の団地
1: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 00:58:11.11 ID:danchi61
仕事帰り、団地の敷地を抜けて近道しようとした。
夜の団地は静かで、どの窓もカーテンが閉まっている。人の気配がほとんどない。
エレベーター横を通り過ぎようとしたとき、三階の端の部屋の窓が スッ…… と開いた。
誰かが顔を出すのかと思ったが、窓の奥は真っ暗で何も見えない。
その暗闇の中から、コン……コン…… とガラスを叩く音がした。
まるで「こっちを見て」と言っているようだった。
嫌な気配を感じて足を速めると、背後で ガラッ!! と窓が大きく開く音がした。
振り返ると、三階の窓から 白い腕 がだらりと垂れ下がっていた。
肘から先だけが、ぶらぶら揺れている。
腕は不自然に長く、関節が逆に曲がっていた。
次の瞬間、その腕が ビクッ……! と跳ね、こちらを指さした。
走り出そうとした瞬間、団地の廊下の奥から
カツ……カツ……カツ……
と、裸足とは思えない硬い足音が近づいてきた。
誰かが階段を降りてくる。姿は見えない。
足音だけが、自分のいる地面へ向かって一直線に降りてくる。
三階──
二階──
一階──
足音が止まった。
団地の角から、さっきの白い腕だけ が地面を這うように伸びてきた。
指先が自分の足首に触れそうになった瞬間──
団地のどこかの部屋で赤ちゃんの泣き声が響いた。
その瞬間、腕は霧のように消えた。
翌日、団地の管理人に話すと、管理人は顔を曇らせて言った。
「……あの部屋、もう誰も住んでませんよ。前の住人が、窓から……」
そこで言葉を濁し、続けて小さくつぶやいた。
「夜になると、“落ちた時の続きを探してる”って噂があります」
3: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:03:10.88 ID:danchi61
関節逆に曲がってるの、“落ちた時の形”なんだろうな。
4: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:05:44.11 ID:ura
指さしてくるのが一番怖い。完全に“見えてる”。
5: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:08:01.55 ID:danchi61
階段の足音だけ降りてくるの、存在の仕方が異界。
6: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:10:22.77 ID:ura
赤ちゃんの泣き声で消えるの、理由ありそうで逆に怖い。
7: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:12:55.33 ID:danchi61
団地ってマジで“溜まる”からな。こういう話多い。
8: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:15:33.11 ID:ura
落ちた時の続きを探すって表現、静かに刺さる。
9: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:17:44.88 ID:danchi61
夜の団地は異界の入口。
10: 本当にあった怖い名無し:2026/12/04(金) 01:20:12.77 ID:ura
主、よく逃げ切ったな。あれは“触れられたら終わり”のやつ。




