第147話 ゆうちゃん
517:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:14:08.37 ID:V7mQ2kLs0
母親から最近聞いた話です。
俺じゃなくて私は女で、今29歳。
三歳から五歳くらいまで、「ゆうちゃん」という友達と毎日遊んでいたらしい。
近所にも幼稚園にもそんな名前の子はいなかった。
母が、
「ゆうちゃんって誰?」
と聞くと、私はいつも、
「ここにいるよ」
と言って、自分の隣を指さしていたそうです。
よくあるイマジナリーフレンドだと思っていたらしい。
518:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:14:55.21 ID:c4Hn8DzP0
幼児あるある
519:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:15:31.69 ID:F2xR7vMa0
その年なら珍しくないな
520:517:2026/08/06(木) 22:17:46.82 ID:V7mQ2kLs0
母も最初はそう思っていた。
私は一人っ子で、父は帰りが遅かった。
母が夕飯を作っている間、一人で遊ぶことが多かったから、寂しくて友達を作ったんだろうと。
ただ、少し妙なことがあった。
積み木で遊んでいる時、私が両手を膝の上に置いて、
「ゆうちゃんの番」
と言う。
すると、離れた場所にあった積み木が倒れたり、箱の中でカタカタ動いたりした。
母が見ると止まる。
台所へ戻ると、また音がする。
ある時、母が廊下からこっそり見ていたら、床に置かれた積み木が一個だけ、滑るように私の方へ動いたらしい。
私が手を伸ばして届く距離まで来ると止まった。
521:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:18:29.04 ID:m9Jt3QwC0
床が傾いてたんじゃね
522:517:2026/08/06(木) 22:20:11.53 ID:V7mQ2kLs0
521
築年数の古い借家だったから、母もそう考えた。
ビー玉を転がして調べたけど、積み木が動いた方向とは逆へ転がったそうです。
それでも母は、子供が何か仕掛けたんだと思うことにした。
一番説明がつかなかったのは、私が階段から落ちた時のこと。
523:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:20:47.86 ID:K6pA1sXe0
おい
524:517:2026/08/06(木) 22:23:08.19 ID:V7mQ2kLs0
その家には急な階段があった。
私が四歳の時、母が一階で掃除機をかけていたら、二階から私の声がした。
「ゆうちゃん、待って」
母が階段を見た時、私は一番上の段から足を踏み外した。
頭から落ちたらしい。
母は階段の下にいたけど、とても間に合う距離じゃなかった。
ところが私は、階段の途中で一度、ふわっと浮いた。
母の言い方では、
「服の背中を誰かにつままれて、一瞬だけ吊られたみたいだった」
そのまま体の向きが変わって、尻から数段落ちた。
病院で診てもらったけど、腰に青あざができただけだった。
525:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:24:02.55 ID:b3Yv8NqL0
ゆうちゃん有能すぎる
526:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:24:39.31 ID:R7dM2hFu0
守護霊みたいなもんか
527:517:2026/08/06(木) 22:27:16.43 ID:V7mQ2kLs0
母もそう思ったらしい。
私を助けてくれるものなら、無理に否定しない方がいいと思った。
それからは私が誰もいない場所へ話しかけても、
「ゆうちゃんによろしくね」
くらいに返していたという。
ただ、階段から落ちた日の夜、私は熱を出した。
高熱ではなく、風邪の症状もなかった。
布団の中でずっと天井の隅を見ていた。
母が「ゆうちゃんがいるの?」と聞いたら、私は首を振った。
それから、
「今日のは、ゆうちゃんじゃないよ」
と言ったそうです。
528:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:27:57.60 ID:m9Jt3QwC0
じゃあ誰が助けたんだよ
529:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:28:14.82 ID:F2xR7vMa0
急に嫌な話になった
530:517:2026/08/06(木) 22:30:43.29 ID:V7mQ2kLs0
母も聞いた。
「じゃあ誰だったの?」
私は、
「知らない。ゆうちゃんの後ろにいた人」
と答えた。
母はそれ以上聞かなかった。
私が怖がっているようには見えなかったかららしい。
むしろ誰かに言い聞かせるように、天井の隅へ何度も、
「もう大丈夫」
と言っていたという。
531:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:31:26.41 ID:q5Cu8WxA0
ゆうちゃんにもさらに保護者がいるんじゃね
532:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:32:03.74 ID:H8zK4pVs0
助けてくれたなら悪いものじゃないだろ
533:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:32:49.56 ID:L1nR6eTd0
そもそも何で落ちたんだ
誰かを追ってたんじゃないのか
534:517:2026/08/06(木) 22:35:18.30 ID:V7mQ2kLs0
533
そこは私も気になった。
母の記憶では、私は確かに、
「ゆうちゃん、待って」
と言いながら階段へ走ってきた。
でも落ちたあと、私は母に、
「ゆうちゃんが押したんじゃないよ」
と何度も言ったそうです。
母は誰もそんなことを聞いていないのに、と思ったらしい。
その日から、ゆうちゃんは来なくなった。
535:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:36:02.93 ID:c4Hn8DzP0
助けたやつが連れていったのか?
536:517:2026/08/06(木) 22:38:27.68 ID:V7mQ2kLs0
ゆうちゃんと遊ばなくなった代わりに、私は夜になると寝室の隅へ話しかけるようになった。
母が聞き耳を立てると、
「お母さんには言わないから」
「もう来なくていいよ」
「ここは私のおうちだよ」
と言っていた。
母が部屋へ入ると、私はすぐ寝たふりをした。
朝になって聞いても何も覚えていない。
それが二週間くらい続いた。
ある夜、私が泣きながら母の布団へ入ってきた。
「上の人が降りてきた」
と言ったらしい。
537:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:39:11.46 ID:K6pA1sXe0
上って二階か?
538:517:2026/08/06(木) 22:41:08.23 ID:V7mQ2kLs0
母もそう思って二階を見に行った。
父は夜勤でいなかった。
窓も全部閉まっていたし、押し入れにも誰もいない。
母が寝室へ戻ると、私は布団を頭までかぶっていた。
「誰もいなかったよ」
と言うと、布団の中から、
「二階じゃない」
と答えたそうです。
その翌月、父の転勤で引っ越した。
新しい家では、私が誰もいない相手と話すことはなくなった。
成長するにつれて、ゆうちゃんのことも、その家のことも完全に忘れた。
539:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:42:36.53 ID:R7dM2hFu0
そこで終わってれば守護霊の話だったのに
540:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:43:09.82 ID:b3Yv8NqL0
何で今になって母親が話したんだ?
541:517:2026/08/06(木) 22:46:17.54 ID:V7mQ2kLs0
実家を片づけていたら、昔の8ミリビデオが何本か出てきたからです。
父が撮影した、私が幼い頃の映像だった。
業者に頼んでデータ化した。
誕生日や運動会の映像に混じって、あの借家の居間で積み木遊びをしているものがあった。
父が撮っていて、母は台所にいる。
画面の中の私は、積み木を二つ並べてから、
「次、ゆうちゃんね」
と言った。
しばらく何も起きない。
すると私はカメラの後ろを見て、
「お父さん、見ないで」
と言った。
父が笑いながらカメラを床へ向ける。
映像には床と私の足だけが映っている。
その状態で、積み木同士がぶつかる乾いた音がした。
542:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:47:05.29 ID:F2xR7vMa0
映像に動くところは映ってないのか
543:517:2026/08/06(木) 22:49:27.96 ID:V7mQ2kLs0
映っていない。
父がカメラを戻した時には、積み木が三つ重なっていた。
父は私が積んだと思ったらしく、
「上手だね」
と言っている。
私は首を振って、
「ゆうちゃん。見てないとできるの」
と答えた。
その映像自体は、母から聞いた話と同じだった。
問題はその次です。
画面の右端に階段が映っていた。
二階から、誰かが一段ずつ下りてくるような音が入っていた。
映像の中の私は、それを聞くと積み木をやめた。
階段の方を見て、
「まだ来ちゃだめ」
と言った。
足音は止まった。
その直後、誰も触っていない積み木が一つ崩れた。
私は小さな声で、
「ゆうちゃん、隠れて」
と言った。
544:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:50:18.72 ID:q5Cu8WxA0
ゆうちゃんが怖がってる側なのかよ
545:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:50:57.48 ID:m9Jt3QwC0
上のやつから隠れてたのか
546:517:2026/08/06(木) 22:53:42.83 ID:V7mQ2kLs0
母は、その映像を初めて見たと言った。
父にも見せたけど、撮影したこと自体を覚えていなかった。
父は階段の音について、
「古い家だから軋んだだけだろう」
と言った。
私もそう思う。
音だけなら、木材が鳴った可能性がある。
ただ、もう一本、階段から落ちた日の映像があった。
事故そのものを撮ったものではない。
病院から帰ったあと、母が私の様子を記録するために撮影したらしい。
私は居間の座布団に座って、母から質問されていた。
547:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:55:36.70 ID:V7mQ2kLs0
母が、
「階段で何があったの?」
と聞く。
私は、
「ゆうちゃんと遊んでた」
と答える。
「どうして落ちたの?」
「呼ばれたから」
「ゆうちゃんに?」
そこで私は黙った。
母がもう一度聞くと、
「ゆうちゃんの声で呼ばれた」
と言った。
548:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:56:21.39 ID:H8zK4pVs0
本人じゃないのに声を真似したってこと?
549:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 22:56:44.07 ID:L1nR6eTd0
それで本物のゆうちゃんが助けたんじゃね
550:517:2026/08/06(木) 22:59:18.46 ID:V7mQ2kLs0
映像の中で母も同じことを聞いた。
「じゃあ、ゆうちゃんが助けてくれたの?」
私は首を振った。
「違う。大きい人」
「大きい人って誰?」
「ゆうちゃんの後ろにいる人」
「その人が助けてくれたの?」
私はしばらく考えてから、
「落とさなかっただけ」
と答えた。
母が意味を聞いても、私はもう答えなかった。
画面の外を見ながら、
「ちゃんと返すから」
と一度だけ言った。
そこで映像は終わっている。
551:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:00:07.25 ID:c4Hn8DzP0
何を返すんだよ
552:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:00:56.72 ID:K6pA1sXe0
助けたんじゃなくて貸しにされたのか
553:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:01:29.24 ID:R7dM2hFu0
ゆうちゃんが先に取られた?
554:517:2026/08/06(木) 23:04:13.58 ID:V7mQ2kLs0
ここからは現在の話です。
私には四歳の娘がいます。
夫と三人で実家から車で一時間ほどの場所に住んでいる。
ビデオを見た翌週、娘が一人で積み木遊びをしていた。
私が夕飯を作っていると、居間から、
「次はゆうちゃんね」
と聞こえた。
手が止まった。
娘の幼稚園に「ゆう」という名前の子は何人かいる。
だから偶然だと思った。
居間へ行って、
「誰と遊んでるの?」
と聞いた。
娘は自分の隣を指さして、
「ゆうちゃん」
と答えた。
555:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:05:01.42 ID:b3Yv8NqL0
名前教えたんじゃないのか?
556:517:2026/08/06(木) 23:07:11.40 ID:V7mQ2kLs0
555
娘がいる時には昔の話をしていない。
ビデオも見せていない。
私が母と話したのは実家で、娘は夫と外出していた。
ただ、どこかで会話を聞いた可能性までは否定できない。
私も子供の想像だと思うことにした。
「ゆうちゃんはどんな子?」
と聞くと、娘は、
「小さい女の子。ずっと待ってたんだって」
と言った。
それから積み木を一つ持ち上げ、
「でも一人じゃないよ」
と付け加えた。
557:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:07:48.69 ID:F2xR7vMa0
後ろの大きい人か
558:517:2026/08/06(木) 23:10:22.64 ID:V7mQ2kLs0
私は聞かない方がいいと思った。
でも娘が自分から言った。
「ゆうちゃんの後ろに、大きい人がいる」
私は娘を抱き上げて、台所へ連れていった。
その日の夜、夫に全部話した。
夫は子供は大人の反応を見ながら話を作るから、過剰に反応しない方がいいと言った。
私もそう思う。
積み木は全部箱へしまった。
娘はその後、ゆうちゃんの話をしていない。
559:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:11:16.08 ID:m9Jt3QwC0
それならもう触れない方がいい
560:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:11:49.72 ID:q5Cu8WxA0
娘の周りで変なことは起きてないのか?
561:517:2026/08/06(木) 23:14:37.26 ID:V7mQ2kLs0
一つだけ。
昨日、洗濯物を持って階段を下りていた時、娘が下から急に走ってきた。
ぶつかりそうになって、私が足を滑らせた。
手すりをつかめず、後ろへ倒れた。
その時、背中の服を強く引かれた。
階段の途中で止まった。
夫は仕事でいなかった。
娘は私から三段下にいて、手は届いていなかった。
私が振り返ると、階段の一番上に誰かいるような気がした。
でも何も見えなかった。
娘は上を見たまま、
「まだこの人じゃないって」
と言った。
562:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:15:11.42 ID:K6pA1sXe0
何がまだなんだ
563:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:15:43.05 ID:H8zK4pVs0
誰を待ってるんだよ
564:517:2026/08/06(木) 23:17:26.88 ID:V7mQ2kLs0
娘に誰が言ったのか聞いた。
「ゆうちゃん」
と答えた。
「何がまだなの?」
と聞くと、
「返す子が違うって」
と言った。
それ以上は聞いていない。
今日、母に電話した。
階段から落ちたあとの映像で、私が「ちゃんと返すから」と言っていたことを話した。
母はしばらく黙っていた。
それから、
「あなた、あの家を出る前の日にも同じことを言ったのよ」
と言った。
その時の私は、母のお腹へ向かって話していたらしい。
母は引っ越しの二週間後、妊娠していることに気づいた。
でも、その子は生まれなかった。
その話を私は今日まで知らなかった。
565:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:18:09.12 ID:R7dM2hFu0
待ってくれ
566:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:18:42.67 ID:c4Hn8DzP0
ゆうちゃんって、その子なのか?
567:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:19:30.26 ID:L1nR6eTd0
時系列が逆だろ
妊娠する前から遊んでたんだろ
568:517:2026/08/06(木) 23:21:54.80 ID:V7mQ2kLs0
567
そうです。
だから母も、ゆうちゃんがその子だとは思っていない。
性別もわからなかった。
「返す子」が何を指しているのかもわからない。
ただ、電話を切ったあと、娘が寝室から出てきた。
もう寝たと思っていた。
娘は私に、
「お母さん、ゆうちゃんを知ってるの?」
と聞いた。
知らないと答えた。
すると娘は安心したように笑って、
「よかった。ゆうちゃんも、お母さんを知らないって」
と言った。
569:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:22:37.91 ID:F2xR7vMa0
じゃあお前が遊んでたゆうちゃんと別なのか?
570:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:23:03.64 ID:b3Yv8NqL0
名前だけ同じものが来てる可能性
571:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:23:41.50 ID:m9Jt3QwC0
声を真似して呼んだやつがいたって話を思い出せ
572:517:2026/08/06(木) 23:26:18.93 ID:V7mQ2kLs0
娘は今、私の隣で寝ています。
夫が帰るまで一人にしたくないので、居間に布団を敷いた。
さっき二階から、積み木が床に落ちる音がした。
積み木は全部、二階の子供部屋の箱に入れてあります。
見には行っていません。
音は一個ずつ、階段の方へ近づいてきています。
娘が寝言で、
「お母さん、見ないで」
と言いました。
これを書いている間に、音は止まりました。
階段の一番上です。
573:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:26:52.71 ID:K6pA1sXe0
夫に電話しろ
574:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:27:16.88 ID:q5Cu8WxA0
娘連れて家から出ろ
575:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:27:58.42 ID:H8zK4pVs0
階段見るなよ
576:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:29:34.06 ID:R7dM2hFu0
投稿主いるか?
577:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:31:07.25 ID:L1nR6eTd0
返事ないな
578:本当にあった怖い名無し:2026/08/06(木) 23:32:19.83 ID:c4Hn8DzP0
釣りでいいから戻ってこい
579:517:2026/08/06(木) 23:35:46.59 ID:V7mQ2kLs0
夫と連絡がつきました。
今から帰ってきます。
階段には行っていません。
娘が起きました。
階段の上を見て、さっきから手を振っています。
誰に振っているのか聞いたら、
「小さい方のゆうちゃん」
と言いました。




