表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
106/131

第100話 紅焔の廟、攻略開始

第100話です。

楽しんでいってください!

 最後の町を出発してから2日。

ヴェーヴたちは巨大な火山のふもとに到着していた。


「師匠・・・あづい・・・。」


ヴェーヴはゼェゼェと荒い呼吸を繰り返す。

早朝に山を登り始め、すでに太陽は西に沈もうとしている。


「もう少しよ・・・。」


リリスも肩で息をしながら言葉を返す。


「ここのっ、遺跡って、どんな感じっ?」


「そうね・・・。」




 そうして上り続けること30分。

2人はようやく火山の頂上付近に到着した。


「おっきい・・・。」


ヴェーヴは思わず感嘆の息をこぼす。


火山に埋め込まれるように残る神殿。

山肌が黒いのと対照的に真っ白な外壁が今まさに沈もうとしている太陽の光を反射する。

その中は薄暗く、外からは何も見えなかった。


「中に入りましょうか。」


「うん!」


2人は息を整え、遺跡の正面に立った。

入り口から一歩、中に足を踏み入れる。

その瞬間、少しひんやりとした空気が顔をなでた。


リリスが魔法で光の玉を宙に浮かべる。

壁も外壁と同じく、真っ白で全くくすんでいない。


「なんで、こんなに真っ白なんだろ・・・?」


ヴェーヴは思わず呟きをこぼす。


「保存魔法の類がかかっているのかしらね。今のところ、理由は不明だそうよ。」


リリスはヴェーヴの問いに答えると、微笑みを浮かべる。


「足元に気を付けてね。トラップの類はないけど、段差は危ないわ。」


「わかった!」


ヴェーヴたちはその光を頼りに1本道を進み始めた。




 進み続けること、5分。

2人は広場に立っていた。

中央には1m程度の台が置かれ、その中央に球状のガラス玉がある。


「わぁ!すごい!天井高いなぁ。」


ヴェーヴが真上を見上げている間に、リリスは壁際に歩み寄り、荷物を下ろした。


「・・・?どうしたの、師匠?」


「今日はここで寝ましょうか。」


「えぇ!?」


彼女は手を動かしながら口を開く。


「この先、かなり長い通路を歩くことになるのよ。」


「え、でも、ここって遺跡だよね?」


「そうね。」


「安全なの?」


リリスは何でもないように答える。


「ここは魔物も出ないし、外よりも安全なくらいよ。」


その間にも、焚火が用意され、そこに鍋が載せられる。

長期保存ができる木の実や野菜を入れ、リリスは調味料と水を注ぎ入れた。


食欲を刺激するいいにおいがヴェーヴの鼻腔をかすめる。

彼女はふらふらと近づき、その場に座った。


「あら、危ないんじゃなかったの?」


リリスがクスリと笑う。


「むー。ごはんはずるい・・・。」


ヴェーヴが不満げに頬を膨らませた。


 あっという間に食事が出来上がり、2人は並んで焚火の近くに座る。

今日の夕食は黒パンとスープだ。


「「いただきます。」」


そうして、遺跡の中で食事が始まった。





 「おやすみ!」


「おやすみなさい、ヴェーヴ。」


王都を出てから1か月前後。

毎日続けてきたやり取りを繰り返す。


ヴェーヴはぼんやりと天井を見上げ、やがてゆっくりと目を閉じた。




 『おーい!』


遠くで、声が聞こえる。


『おーい、ちびっこー!』


徐々に声が近づく。


「早く起きろー!」


ヴェーヴは耳元で聞こえた大声に跳び起きる。

紫色の空。

水面のような地面。

そして――


「はぁ、わたくしに起こさせるだなんて、いいご身分ね!」


むすっとした顔で腕を組む女性。

ヴェーヴは彼女を見上げ、ハッと目を開いた。


「エリュシアさんだ!」


「そうよ!・・・あら?わたくし、名乗ったかしら・・・?」


エリュシアは一瞬首を傾げる。


「まぁ、いいか。それにしても、遅かったねー?」


「へ?」


「遺跡につくのが。1か月もかかるなんて思わないじゃない。」


エリュシアは煽情的な笑みを浮かべ、ヴェーヴの瞳をじっと見つめる。


「・・・紅焔の廟(こうえんのびょう)についたのは、ほめてあげるわ。」


ヴェーヴはエリュシアを見上げ、首を傾げる。


「今日は、なんで話に来たの?」


「ん?・・・あぁ!わたくしとしたことが、忘れてた。」


彼女は姿勢を正し、ヴェーヴにまっすぐ向き合う。


「あなたたちが今いるのは、紅焔の廟の入り口。台の上にある球は見た?」


「うん!透明な奴だよね?」


「そう。それにはヴェーヴが触れなさい。」


「え、なんで?」


「・・・やったらわかる!」


エリュシアはどこか投げやりにそう言うと、再び口を開く。


「その先に、わたくしが残したものがあるから、それを回収して。」


「・・・それだけ?」


「それだけ。」


その時、前回と同じように空間に切れ目が入る。


「じゃ、頑張れー!」


エリュシアが手を振る様子をぼんやり眺めながら、ヴェーヴは暗闇に沈んでいった。

ついに100話です!

いつもありがとうございます。

これからもまだまだ続いて行くので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ