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第114話 アイスランド王国


「……それで、現状はどうなっているのかね?」


 葉巻を咥えながら指先でテーブルを叩く。

 英国宰相ウィンストン・チャーチルは相当にイラついていた。


 1943年11月某日。

 閣僚たちは緊急の円卓会議で首相官邸(ナンバー10)に集まっていた。


「アイスランド王国では左派政党に対する期待が高まっています。このままだと左派政党の単独政権が誕生しかねません」


 改造内閣で留任した外務大臣アンソニー・イーデンが、アイスランド王国の政局を報告する。今回の円卓会議の議題はアイスランド王国に関することであった。


『政府の対応は弱腰に過ぎる! イギリスの経済侵略に対して、我らは毅然とした態度を取る必要があるのです!』

『……イギリスは我が国に何ら利益をもたらさない! デンマークも頼りにはならない! 我々は新たなるパートナーを見つける必要があるのだ!』


 現在のアイスランドでは対英感情が悪化していた。

 その原因は英国漁船団のタラの乱獲なので、英国の自業自得と言うべきなのであるが。


「現政権は未だ落しどころを探ってはいるようですが……」

「それはジョークの(たぐい)かね? 特使にあんなのを寄越しておいて、落しどころも無いだろう」


 アイスランド特使の態度を思い出してしまい、チャーチルは忌々し気な表情となる。王国首相ビョルン・シャールソンは一縷の望みをかけて特使を派遣したものの、交渉はあっさりと決裂していた。


 アイスランド側は英国に一方的に経済侵略を受けたという認識であった。

 その一方で、英国側は一方的に領海を拡大された被害者という認識であった。客観的に見ればどちらも間違ってはいない。


 両国の認識の差は大きすぎた。

 この状況で交渉しようというのなら、双方から譲歩案を出してすり合わせるしかない。


 にもかかわらず、アイスランド側は譲歩案を用意していなかった。

 英国側はまがりなりにも譲歩案を用意していたにも関わらずである。


「そもそも、交渉の場で感情を爆発させるようなヤツを特使に送ってくる時点で交渉する気がないだろうに。まったくもって腹立たしい……!」


 どう考えても非はアイスランド側にあった。

 にもかかわらず、国際社会はアイスランドに同情的であった。


「でも原因は、ぼーやなんだろ? アレが無ければこんな事態にはならなかったんだし」

「「「……」」」


 MI6長官シドニー・ライリー海軍大将の放言にその場の全員が沈黙する。

 まさに、そのものズバリであった。


 漁船団がアイスランド近海に押し掛けたのは、タラの安定供給のために他ならない。急激なタラ需要の爆発によって、需要と供給のバランスが崩れて相場が暴騰することになった。


『アイエエエエエエ!? ナンデナンデ!? リハビリも兼ねてお忍びでフィッシュアンドチップスを食べに行っただけなのに何でぇぇぇぇぇぇぇ!?』


 その直接的な原因が、テッド・ハーグリーヴスであることは否定しようが無い。

 ハイド・パークで、フィッシュアンドチップスを食べているところを激写されてしまったことが全ての発端であった。


『即刻、写真集の発禁をするんだよっ!』

『そんなことをすれば、ドーセット公爵家が介入したことがバレてしまいます。いらぬ腹を探られかねませんぞ?』

『あきらめなさいよテッド。なかなか良く撮れているじゃない』

『そうですよテッドさん。これはお宝ですよ! 保存用と観賞用と布教用で3部確保しました!』


 本人に許諾を得ずに販売された写真集が爆売れしたことによって、フィッシュアンドチップスの人気が爆発した。おかげで、ロンドン中のフィッシュアンドチップス屋が空前の利益を得ることになったのであるが……。


『おい、なんで店が開いてないんだ!?』

『どこでランチすれば良いんだよ!?』

『この値段ボリ過ぎだろう!?』


 材料のタラが市場から枯渇してしまったことで、軒並み店じまいに追い込まれた。(まれ)に営業していても、値段がとんでもないことになっていた。


 フィッシュアンドチップスは英国の国民食と言っても過言では無い。

 これが食せないとなれば、大多数の国民が飢えてしまう。


 飢えは革命を誘発しかねない。

 たとえ理不尽な理由であっても、為政者としてタラの安定供給に努めるのは当然の義務と言える。


 しかし、英国近海のタラは既に取りつくしてしまっていた。

 あらゆる手段を検討したものの、タラの好漁場であるアイスランド近海で操業するしか無かったのである。


「……えー、話を戻します。国内の左派勢力はアイスランド共産党マルクスレーニン主義派に集約されています。今月下旬に開催される総選挙では第一党になる可能性が非常に高いです」


 咳払いして、イーデンが強引に話題を戻す。

 アイスランドの政局はもはや待った無し。シドニー・ライリーの茶々入に付き合っている時間などない。


「デンマークから圧力はかけられないのかね? 仮にも元宗主国だろう」


 アイスランド王国は元はデンマーク領であった。

 旧宗主国として圧力をかけることが出来るかもしれないと、チャーチルは期待していた。


「アイスランドはデンマークを憎んでいるので期待薄でしょう。それ以前にデンマークの対英感情も控えめにも良いとは言えません。暗に秘密協定の破棄を仄めかされましたし……」


 この世界のグリーンランドの南半分は英国の租借地であった。

 旧アメリカ合衆国の亡命政権を受け入れるための土地として、英国とデンマークの両国が秘密協定を結んだことが嚆矢(こうし)となる。


 すったもんだのあげく、グリーンランド南端のナルサルスアーク飛行場はカナダを救援するための橋頭保として転用された。同飛行場が米連にとって目の上のたん瘤であったことは想像に難くない。


『射程に入り次第、各艦の判断で砲撃開始! 腹黒紳士の寝床を更地にしてしまえ!』

『『『アイアイサー!』』』


 今年の4月にナルサルスアーク飛行場は米連海軍により攻撃を受けた。

 サウスダコタ級戦艦10隻の16インチ砲120門の砲撃は、飛行場を跡形も無く消滅させてしまった。


 これだけならば大した問題では無かった。

 租借させた土地で何が起ころうが、それは借主の問題なのであるから。


 問題は砲撃で多数の現地民が犠牲になったことであった。

 それとて、自業自得と言えなくもない。


 しかし、デンマークの国民が衝撃を受けた理由は新聞で掲載された写真が原因であった。灰燼(かいじん)と化したナルサルスアーク飛行場の写真には、五体バラバラだったり焼け焦げた死体が多数映っていたのである。


 真っ当な感性の人間が、こんなのを見せられて平常でいられるわけがない。

 デンマークの対英感情の悪化の戦犯はマスゴミであった。


『遂に我らの時代が来た!』

『アイスランドはこれから劇的に変わる。いや、変えてみせる!』

『我がアイスランド中興の祖となるのだ!』


 1943年11月。

 総選挙の結果、アイスランド議会(アルシング)ではアイスランド共産党マルクスレーニン主義派が第一党となった。


『うわぁ、生前に見たような光景だなぁ』

『やっぱ左巻きの連中ってロクでもないな』

『クソ民○の連中は思い出すだけでも腹が立つよな』


 選挙の勢いはそのままに、年末になるとアイスランド王国に本格的な左派政権が誕生した。このことを知った平成会のモブたちは、生前のトラウマ――悪夢の民○党時代を思い出して嘆いたという。


 実際、現地メディアが好意的に報道する様子は史実21世紀初頭の日本の生き写しであった。アイスランド王国民の笑顔がいつまで続くかは、この時点では誰も知りようが無かったのである。







「ダメだ、どこにも埋蔵金なんて見つからない!?」

「どうするんだよ? あれだけ大見得切って、やっぱりありませんでしたなんて言えないぞ」

「探し方が悪いんだ。もっと、こう、違ったアプローチをだな……」


 アイスランド首都レイキャビーク。

 その中心部に位置する首相官邸(ストヨンナラズダ)では、左派政権の閣僚たちが途方にくれていた。


 いくら予算を精査してみても、彼らが信じ込んでいた埋蔵金は影も形も無い。

 自らの手でアイスランドを変えてみせると意気込んでいたものの、現実は非情であった。


『まずは政府の予算の無駄を徹底的に省きます。そのうえで浮いた予算を国内開発に回します!』


 アイスランド王国で初の本格的左派政権が誕生した際、アイスランド共産党マルクスレーニン主義派の党首は自信満々に言い放っていた。その様子を元与党議員たちが呆れた様子で見守っていたことは言うまでも無いことだろう。


 左派政権の閣僚たちは政争は得意であったが、政治に関する知識もスキルも貧弱であった。いざ政権を担当すると、否が応でも現実に直面してしまったのである。


「失礼、お困りのようですな」


 ノックして入室してくる一人の男。

 誰あろう、トロツキーの政治的右腕であるジェームズ・パトリック・キャノンであった。


「同志トロツキーが、あなた方の崇高な思想をお手伝いしたいとのことです。まずは話だけでも聞いてもらえませんか?」


 左派政権の仕掛け人であるキャノンは、未だに国内に滞在していた。

 観光と称してあちこちを見物して回り、アイスランド王国への知見を高める努力を怠たらない。暗躍しているとも言うが。


「経済支援をしてくれるだと!? それが事実ならば、大変にありがたい話だが……」

「当然タダでは無いのだろう?」

「イギリスのように経済侵略するつもりじゃないのか!?」


 米連による経済支援の話をキャノンから聞いた閣僚たちは半信半疑であった。

 あまりにも話が美味すぎる。


「我々は腹黒紳士のようなことはしませんよ。2つの提案を受け入れてさえいただければ、ね」


 キャノンの提案に閣僚たちは警戒する。

 レイキャビークを租借とか言い出したら、全力で却下するつもりであった。


「まず一つ目。国内の土地を租借させていただきたい。もちろん、経済支援とは別途租借料はお支払いします」

「何処を租借するつもりだ?」

「レイキャビークの西にあるケプラヴィークです。そこを租借させていただきたい」

「あんな場所を欲しがるなんて物好きだな。あそこは何もない場所だぞ?」


 しかし、キャノンが提案した租借候補地は原野しか存在しない場所であった。

 閣僚たちが拍子抜けしたのは言うまでも無いことだろう。


「先に言っておくが、我々は一切の便宜は図らないぞ?」

「それはもちろん。租借させてもらえれば、後はこっちで全てやりますので問題ありません」


 ケプラヴィークの租借はすんなりと決定した。

 租借料で多少揉めたものの、最終的には99年間租借することが決定したのである。


「そして二つ目。我が軍のアイスランドへの駐留を認めていただきたい」


 しかし、二つ目の条件が問題であった。

 この時代に外国の軍隊を首都に近い場所に駐留させることなどあり得ない。


「それでは侵略ではないか!?」

「我らは愛国者であっても売国奴ではない!」

「ふざけんな!? ヤンキーゴーホーム!」


 当然ながら閣僚たちは猛反対であった。

 このままでは売国奴のレッテルを貼られかねない。しかし……。


「やれやれ、無知は罪とはよくぞ言ったものだ。所詮は政治ごっこの連中か?」


 先ほどまでの温和な紳士面とは一転して、キャノンは挑発的な態度をとる。

 案外、こちらのほうが本性なのかもしれない。


「な、なんだとぉ!?」

「我々の崇高な理想を邪魔建てするならば、恩人であるあんたでも許さんぞ!」

「アイスランドを正しい道に導けるのは我々だけなんだぞ!」


 見え透いた挑発にあっさり乗ってしまうのもどうかとは思うが。

 閣僚たちのレベルの低さにキャノンはあきれ果てていた。


「馬鹿なおまえらにも分かるように説明してやる。この国に今まで軍隊が無かったのは何故だ? それはデンマークの庇護があったからだろう」

「「「……」」」


 キャノンの説教に閣僚たち完全に気圧されていた。

 政治ごっこしていただけの人間に、ガチ政治家の説教は覿面(てきめん)であった。


「だが、おまえらが政権を取ったことでデンマークとの関係は完全に破綻したわけだ。この状態で誰が国を守ってくれるんだ?」

「「「……」」」


 またしても無言の閣僚たち。

 この程度のことも考えていなかったのかと、キャノンは頭を抱えたい気分になった。


「こ、こんな国を侵略する価値なんてない。だから攻めてくるヤツなんているはずがない……」


 閣僚の一人が絞り出すように発言する。

 お花畑も甚だしいが、左巻きな連中に安全保障を語らせるほど無意味なことは’ない。


「侵略する価値の有る無しはおまえが決めるんじゃない。侵略する側が決めるんだ。そして、この国には侵略する価値がある。アンダスタン?」

「「「……」」」


 閣僚たちは泣きそうな表情になっていた。

 こんなはずでは無かったと激しく後悔する。もちろん既に手遅れであった。


『アメリカ連邦はアイスランド王国と対等な関係の同盟を締結する!』


 1944年1月。

 アメリカ連邦書記長レフ・トロツキーの宣言は世界中に衝撃を与えていた。


 両国の同盟は日本では米氷同盟と呼称されることになった。

 あくまでも対等の関係と喧伝されてはいたものの、実際は両国の規模が違い過ぎるので対等の関係にはなり得なかった。


 米氷同盟の主な内容は以下の通りであった。


・ケプラヴィークの99年間租借(自動延長あり)

・民間航路の開設

・アイスランド王国への経済支援

・米連軍のアイスランド駐留許可


 事実上、アイスランド王国が米連の手に落ちた瞬間であった。

 国民に納得してもらうべく、左派政権はあの手この手で同盟の必要性を訴えていくことになるのである。







「よーし、いいぞ! そのまま(なら)してくれ!」

「砂利が足りん。もっと分厚く敷かないと、しっかりした舗装にならんぞ!」

「建材はそっちに下ろしてくれ。時間が無い、急いで建てるぞ」


 1944年1月下旬。

 原野しかないはずのケプラヴィークは、大量の建機が稼働する騒音で満たされていた。


 作業をしているのは米連海軍の建設工兵隊(シービー)であった。

 史実でも猛威を振るった圧倒的な建設スピードで、あっという間に形になっていく。


「おい? なにか音が聞こえないか?」

「音って何が? 騒音なら今でも嫌というほど聞いてるだろ」


 建機から発する音とは明らかに違う単調な爆音。

 滑走路で作業するシービーの下士官の耳は異音を捉えていた。


「そうじゃない!? この音は……って、上っ! 上だっ!?」

「上……って、どわぁぁぁぁぁ!?」


 相棒の声で空を見上げれば、大型機が着陸態勢に入っていた。

 慌ててその場を離れたのは言うまでも無いことだろう。


「あれってパンナムじゃねーか!? なんで民間機がこんなところにいるんだよ!?」


 機体に描かれたマークを目ざとく見つけた下士官が叫ぶ。

 陸海軍共用の飛行場に民間機が着陸することなどあり得ないことであった。


「なんだ知らなかったのか? ここは民間空港としても機能するんだぞ」

「知らねーよ!? そんなことは!?」


 史実のケプラヴィーク国際空港は外国の軍用航空基地として始まり、冷戦期は米軍が駐留していた。アイスランド領内にあるにもかかわらず、米軍によるパスポートチェックがされて国民には大変に不評であった。


 この世界においては、米氷同盟で米連軍の駐留と民間路線の開設が必須となった。条件を満たすには軍民両用飛行場にするのが一番手っ取り早い。


 そんなわけで、ケプラヴィーク飛行場も史実と似たような経緯を辿ることになった。しかし、史実よりもマシな点もあった。


『パスポートも無しでアメリカに渡航出来るってサイコー!』

『アメリカで買い物してもノーチェックで持ち込めるのは素晴らしいな』

『運賃も安価だから気軽に旅行出来るな』


 ケプラヴィーク―ニューアーク間の航路は、なんとパスポート不要であった。

 持ち込みもノーチェックで運賃も安く抑えられていたこともあり、アイスランド国民はこぞって利用することになった。


『酒が呑める酒が呑める酒が呑めるぞーっ!』

『バドワイザーの味を覚えてしまったら、アイスランドの酒は呑めないな……』

『バーボンも良いぞ! あの独特の風味がたまらん!』


 特に人気になったのが酒飲みツアーであった。

 20年ほど前までアイスランドでは禁酒法が施行されており、現在も度数の強いアルコールを飲むことが難しかった。


 アメリカならば好きなだけアルコールを飲むことが出来る。

 アイスランドの飲兵衛どもが、ケプラヴィークを目指したのは言うまでも無いことだろう。


『10時間も酒が呑めないとか拷問だろう!?』

『往復で20時間も酒が呑めないとか死ねというのか!?』

『座りっぱなりで気持ち悪い……』


 酒飲みツアーのネックは時間がかかり過ぎることであった。

 ケプラヴィーク―ニューアーク間は距離にして4200km近く。パンアメリカン航空(パンナム)の主要機材であるダグラスDC-4では11時間もの長旅になってしまう。アル中に酒を呑まずに長時間座っていろというのは拷問であろう。


『乗客の皆さま、ただいまアイルランド領空を越えました。これよりお酒解禁となります』

『『『いやっふぅぅぅぅぅぅぅぅっ!』』』


 狂喜乱舞する機内の飲兵衛たち。

 スチュワーデスがウィスキーやビールを乗客に注いでいく。


 アル中どもの不満に対するパンナムの解答はシンプルだが効果的なものでもあった。機内での飲酒を解禁したのである。


 機内にはペイロードが許す限りのあらゆる酒が積み込まれた。

 その反面で個人手荷物が制限されることになってしまったが。


『うっ、アルコール臭い……』

『あのアル中どもめ!? こりゃたまらん、換気装置を回せ!』


 なお、酒飲みツアーに用いられるDC-4は特別仕様であった。

 機内と操縦席は二重扉で隔てられており、操縦席には協力な換気装置が装備されていた。


 ここまでやっても操縦席にアルコールが侵入してくるのを防ぐことが出来なかった。酷いときには半ば酩酊(めいてい)状態で操縦するパイロットがいたほどであった。


 そんなわけであるから、酒飲みツアー用のDC-4は通常仕様の機体に比べて事故率が高かった。着陸時に事故が多発することになったのは、間違いなくパイロットが酔っぱらったせいであろう。


『……』

『お客さま? おっ、お客さま!? し、死んでる!?』

『『『な、なんだってー!?』』』


 問題はそれだけにとどまらなかった。

 酒飲みツアーの乗客に突然死が多発してしまったのである。


『ぱっと見、チアノーゼが起きているな』

『肺動脈に血栓(けっせん)が出来ているな』

『血がドロドロだ。これは詰まりやすくもなるだろう』


 この問題は流石に放置出来ず、即座に調査のメスが入った。

 死亡した乗客に文字通りメスが入れられたのである。


 徹底的な調査の結果、乗客の直接的な死因は肺塞栓症(はいそくせんしょう)と判明した。

 肺塞栓症は血栓が肺の血管に詰まってしまう病気であり、重症であれば死に至る。


 調査はさらに進められ、肺塞栓症に至った原因まで調査された。

 その結果は恐るべきものであった。


 狭い座席に長時間座って足を動かさないと血行不良が起こり血液が固まりやすくなる。その結果、血栓が血管内を流れて肺に詰まって肺塞栓などを誘発してしまう。


 死亡した乗客の血液は大量の飲酒でドロドロになっており、血栓発生のリスクを跳ね上げた。いわゆる史実のエコノミー症候群である。


 この事実を知ったパンナムはただちに酒飲みツアーを中止した。

 しかし、時すでに遅しであった。


『事実を知っていたのにも関わらず利益優先で対策を怠った。これは社会正義的に許されるものではない!』

『パンナムはただちに遺族に補償するべきだ!』

『生きている乗客にも治療費を負担すべきだ!』


 パンナムは乗客と遺族から集団訴訟されることになった。

 賠償金額は莫大なものとなり、世界最大のフラッグキャリアの経営を傾けてしまうことになるのである。







「そろそろ頃合いだろう。巻き上げるぞ!」

「アイアイキャプテン! 巻き上げ始めまーすっ!」


 アイルランド近海。

 一方的に領海と宣告された海域では、英国のトロール船が操業中であった。


『こちらはアイスランド王国沿岸警備隊だ! 違法操業をやめろ!』


 遠巻きにしている小型船のスピーカーから怒鳴り声が聞こえてくるが、トロール船の船員たちはスルーする。彼らからすれば、また始まったくらいの感覚でしかない。


『貴様らは我が国の領海内で違法操業をしている。とにかくやめろください!』


 網の巻き上げが始まって、もうすぐ魚が船上に上がってくる。

 外野の戯言(ざれごと)に付き合っている暇などない。


「よーし、上がってきた! 今回も大量だぜぇ!」

「んんっ? 今回は雑魚も混じっているなぁ」


 巻き上げられた網の中身が甲板に吐き出される。

 今回はタラだけでなく、雑魚も多めであった。


「選別急げよ。タラ以外は捨ててしまえ」

「えぇ? こいつも高く売れますよキャプテン?」

「倉庫に余裕が無い。相場も高止まりしているし、ここはタラ一択だろう」

「それもそうっすね」


 船員たちはタラ以外の魚を船外に投棄していく。

 もったいない光景ではあるが、放置しておくと肝心のタラを獲る邪魔になってしまう。


「おい、箱が足りねぇぞ!?」

「もっと氷持ってこい!」


 甲板に積み上げられるトロ箱。

 氷も山ほど用意されているが、あっというまに無くなっていく。


 ちなみに、トロ箱のトロはトロールを意味している。

 マグロのトロでは断じて無い。


 この世界の英国と日本では既に発砲スチロール製のトロ箱が使用されていた。

 従来の木製トロ箱よりも軽量で扱いやすいので船員たちからは好評であった。


「鮮度が命だ。さっさと倉庫に放り込めぇ!」

「おいぃ!? 船が傾いているぞ!? バランスを取れ!」

「手すきの機関員を呼んで来い! バケツリレーでトロ箱を運ぶんだ!」


 大量のタラを船員たちは必死に(さば)いていく。

 トロール船の甲板は、まさに戦場であった。


『やめろって言ってんだろ! おまえらがそんな態度なら、こっちにだって考えがあるぞ!』


 それ故に、最後通牒っぽい警告が飛んできてもスルーしてしまった。

 これまでも何もしてこなかった。どうせ何も出来ないだろうと船員たちは高を括っていた。


「きゃ、キャプテン!? 前方から船が接近してきます!」

「なんだと? どこに隠れていやがった!?」


 船員から報告を受けた船長は、船首から双眼鏡で観察する。

 レンズ越しに見えたのは巡洋艦であった。しかも、彼我の距離は急速に縮まっていた。


 タラを取るのに夢中だったことが発見を遅れさせた。

 しかし、件の巡洋艦が巧みに隠れていたことも発見が遅れた理由であろう。


 船長が知る由は無かったが、接近してくるのは米連海軍の大西洋艦隊に所属するブルックリン級巡洋艦『オールバニ』であった。アイスランド本島から南海上10kmに位置するヴェストマン諸島の島影に隠れて待機していたので、トロール漁船からは直前になるまで視認することが出来なかった。


 オールバニはアイスランド王国政府の要請を受けて出動していた。

 このようなことが可能なのは、米氷同盟の恩恵に他ならない。


 米氷同盟は対等な同盟と世界に喧伝されていたが、その実態は大きく異なる。

 両国の国力差は隔絶していたし、そもそもアイスランドにはまともな軍隊が存在しない。


 アイスランド王国は米連に国防を丸投げすることになった。

 当然ながら作戦指揮権は存在しない。


 しかし、米連軍に協力を要請する権限は付与されていた。

 アイスランド王国政府が協力を要請すれば、米連軍は従わざるを得ないのである。


「おいっ、巻き上げが終わるまでどれくらいだ!?」


 一縷の望みをかけて船長は作業の進捗を確認する。

 上手くすれば、直前で網を巻き上げてトンズラ出来るかもしれない。


「網の中に魚が入り過ぎてスムーズに巻き上げ出来ません!」

「あと10分はかかります!」


 しかし、返って来た答えは絶望的なものであった。

 どう考えても回避は間に合いそうにない。


「ぬぅ……」


 船長の全身から冷たい汗が噴き出る。

 最新の大型トロール船はアイスランド王国沿岸警備隊の小舟なんぞ歯牙にもかけないが、相手が巡洋艦では分が悪すぎる。


 レンズ越しに見えた巡洋艦の船首は正面を向いていた。

 それは意図的に衝突させるつもりであることを意味していた。


 トロール船が1000(トン)程度なのに対して、向かってくる巡洋艦はどう見ても1万tクラス。まともにぶつかったら、こちらが海の藻屑になるのは間違いない。


「くそっ、網を切り離せ! このままだと衝突してしまうぞ!」


 事ここに至って、船長は決断した。

 タラは惜しいが、また獲ることも出来よう。命あっての物種である。


「くそっ、緊急投棄装置が動かねぇ!?」

「網をぶった切れ! 手斧持ってこい!」

「急げ急げ! 時間が無いぞ!」


 船員たちが大慌てで網を外しにかかる。

 時間が無いと見るや、手斧を持ち出して網をぶった切っていく。


 しかし、その行動はトロール船にとっては最悪の行動であった。

 大量の魚が入った網を切断したことで発生した急激な重心移動によって、船体は激しく動揺する。


「「「どわぁぁぁぁぁ!?」」」


 激しい揺れで甲板に居た船員は軒並みひっくり返ることになった。

 そんなことをしている間にも、トロール船と巡洋艦の距離は縮まっていく。


面舵いっぱい(ハードスタボ)!」


 船長が舵輪を握った時には既に指呼の距離になっていた。

 必死になって舵輪を回すものの、船足が止まっていたせいで舵の効きは絶望的に悪かった。


「衝突するぞ!? 衝撃に備えろ!」


 船員たちは手近なものに必死にしがみつく。

 目に入る景色は完全に巡洋艦で埋め尽くされていた。


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」


 必死の操船で真っ二つは裂けたものの、船腹どうしが激しく接触。

 その衝撃で船員たちは投げ出された。


「損傷チェック急げ!」

「誰か落ちたぞー!?」

「浮き輪持ってこい!」


 阿鼻叫喚と化したトロール漁船を尻目にオールバニは悠々と去っていく。

 投げ出された船員の救助、接触で破壊された機器の修理など諸々エトセトラ。とてもタラ漁どころでは無くなってしまった。


 1944年2月以降、アイスランド近海で操業する英国の漁船団は災厄に見舞われた。この出来事は後世において『アイスランドの懲罰』と呼称されることになる。


『回避っ! 回避ぃぃぃぃぃぃっ!?』

『間に合わん! 飛び込めっ!』

『嗚呼、俺の船が真っ二つに……』


 沿岸警備隊の小舟をディスっていた英国の漁船団は、米連海軍の軍艦に蹴散らされることになった。衝突で損傷する程度ならばマシなレベルで、転覆させられることも多々あった。酷いケースだと真っ二つにされることもあったという。


『ざまぁ見ろ!』

『気分がすっとしたぜ!』

『米連軍は頼りになるな!』


 この出来事にアイスランド国民が快哉を叫んだことは言うまでも無いことだろう。おかげで左派政権の支持率は爆上がりすることになったのである。







「編集長ぉ! ゲラ上がりました!」

「見せて見ろ」


 首都レイキャビークにある全国紙『モルグンブラティ』の編集部。

 アイスランドで最も忙しい職場と噂される場所は、夜遅くになっても喧騒が絶えなかった。


「……よし、これで良いだろう。輪転機を回してくれ」


 編集長は内容を一通りチェックするとゴーサインを出す。

 ゲラを持った記者は時間も惜しいとばかりに印刷所へ飛び出していった。


『左派政権支持率は80%を維持 主な原因は失業率改善か』


 翌日のモルグンブラティ紙の一面トップは左派政権の成果を強調していた。

 アイスランド王国唯一の日刊紙であるため、大多数の国民が目を通すことになった。


 その内容は左派政権を全面的に評価する内容であった。

 べた褒めしていたので、評価というよりは礼賛(らいさん)に近い。


 左派政権誕生までは何があっても褒めちぎり、問題や失態には報道しない事由を行使する。そのやり口は史実21世紀初頭の日本の政権に対する報道に極めて酷似していた。


 史実2009年の日本では左派政権――もとい、お花畑政権が誕生した。

 多数の国民が既存メディアに踊らされた結果と言える。


 しかし、ネットでは政権の危険性は早い段階で認識されていた。

 SNSをはじめとしたウェブメディアの発達に反比例した既存メディアの失墜もあり、日本国民はお花畑政権を引きずり下ろすことに成功したのである。


 アイスランド王国の国民には情報ソースが新聞しか存在しない。

 これでは情報の正確性を論じる以前の問題であろう。


 史実21世紀とは違い、この時代の新聞の社会的信用は非常に高い。

 これではアイスランド王国の国民に対する洗脳と言われても否定のしようがない。


 数少ない救いは、活動家と化してしまった史実21世紀の記者よりはマシな職業倫理を持っていたことか。少なくとも嘘記事は書かない。かと言って、真実を全て書くとも限らないが。


『失業率は過去最低レベル かつてない好況』


 一例を挙げれば、モルグンブラティ紙の経済記事であろう。

 タイトルだけなら決して間違っていない。


 現在のアイスランド王国には、大規模な缶詰工場をはじめとした水産加工工場が多数建設中であった。工場建設のために建設業界が活況を呈したのは言うまでも無い。


 建設作業員が不足気味で常に大規模な募集がかけられていた。

 工期に間に合わせるために引き抜き合戦が常態化するほどであり、失業率は劇的に改善することになった。


 水産加工工場が本格稼働すれば新たなる雇用が生まれるわけで、これだけならば決して嘘記事というわけでない。しかし、この記事には肝心なことが書かれていなかった。


『土地とインフラの無償提供だと!? こんな暴挙許されるわけないだろう!?』

『ほほぅ? まだ立場ってのを分かっていないようだなぁ?』

『お、仰せに従いますぅ……』


 現在のアイスランド王国の好況は左派政権と米連の密約によるものであった。

 密約というよりは圧力と言うべきだろう。


 税制上の大幅優遇やインフラ提供により、アイスランド王国には多数の米連企業が進出することになった。まさに経済侵略なのであるが、こういった負の側面には報道しない自由が行使された。


『イギリス漁船団 這う這うの体で逃げ帰る』

『我が国の漁業資源を守るための最終手段』

『アイスランド王国の正当なる主権の行使』


 モルグンブラティ紙は、英国の漁船団の乱獲に対しては過激な記事を書き続けた。ありとあらゆる表現手段を用いて、米連の軍艦が英国の漁船を蹂躙するのを正当化していた。


 英国の漁船団がアイスランド近海でタラを乱獲しているのは事実であった。

 この記事を読んだ国民たちが、左派政権を支持したことは当然のことだろう。


『モルグンブラティ紙 ハースト・コーポレーションの傘下に』

『株式100%取得 事実上の子会社化』

『米連から新たな執行役員が入国』


 ちなみに、モルグンブラティ紙は米氷同盟が発効される前に米連資本に買収されていた。極々小さい記事扱いで、誰も事の深刻さを理解することは出来なかったのであるが。


『アイスランド国民にプロパガンダ戦を仕掛けるのだ。そのためには新聞を乗っ取るのが手っ取り早い』


 モルグンブラティ紙の買収にはトロツキーの強い意向が働いていた。

 アイスランド王国民は、知らずのうちに米連のプロパガンダに晒されていたのである。


『ハネムーン期間の審判 国民は左派政権を支持』

『過去最高の内閣支持率 民意が正当に反映された結果』

『アイスランド新時代 国民の賢明な選択』


 ハネムーン期間を過ぎた左派政権は歴代内閣最高の支持率を叩き出すことになった。モルグンブラティ紙だけでなく、週刊誌などでも政権の実績を特集されたことも政権支持率に良い影響を与えたと言えよう。


『政策一つ通すにも米連の顔色をうかがう必要があるのがつらい』

『俺たちの理想はこんなものじゃなかったはずなのに……』

『もう辞めたい。でも、辞めさせてくれない……』


 大多数の国民から支持されたというのに、左派政権の閣僚たちは喜ぶことが出来なかった。彼らにとってリアルな政治は最早拷問でしかない。昔の自分たちが如何にお花畑であったことを後悔しても、もはや遅すぎた。


 現状のアイスランド王国は米連の傀儡政権で経済植民地でしかない。

 しかし、大多数の国民はそのことを重大視しなかった。


 明日をより良くしたい。

 国民が政治に興味を持つ最大の理由はこれに尽きる。


 日々の生活に困窮するからこそ、政治になんとかしてもらいたい。

 リアルな日々をより良くしてもらうために国民は選挙に向かう。これこそが近代政治――民主主義の動力源と言えよう。


 逆説的な言い方をすれば、生活が満たされた国民は政治に興味を無くしてしまう。そのような状況で忍び寄るのが、お花畑的な左派思想である。史実の日本がまさにそうであった。


 結局のところ、生活が保障されれば右も左も国民にとってはどうでも良い。

 思想主義や政治形態など二の次、三の次に過ぎない。


『アイスランド王国の主権を尊重し、漁船団を撤退させる』


 1944年4月下旬。

 英国政府はアイスランド近海で操業する漁船団の全面撤退を宣言した。


 アイスランド王国の国民が快哉を叫んだことは言うまでも無い。

 左派政権の支持はますます高まることになった。


 しかし、この一件の裏側で進行していたことに気付いた者は誰もいなかった。

 虎の尾を踏んでしまったことに誰も気付いていなかったのである。







「まさか米連が糸を引いていたとはな……」


 ナンバー10の執務室。

 報告を受けたチャーチルは、ため息といっしょに葉巻の煙を吐き出していた。


「左派政権の危険性は前政権の時から警告はしていたのだがな。あまり深刻に受け取ってはいなかったようだ。お国柄というやつかもしれん」


 報告するシドニー・ライリーも疲れた表情であった。

 MI6はアイスランド王国の政情を注視しており、前政権に警告を送っていた。


 史実同様と同じく、この世界のアイスランドも左派政党が多かった。

 一つ一つは少数政党ではあったが、左派思想が成り立つ土壌であったことの証左とも言える。


「やつらの準備は入念だった。あそこまでやられると、もうどうにもならんよ」


 MI6が左派政権に米連が関与していることに気付いたときには既に大勢は決していた。手際の良さは流石と言うべきか。この世界においてもトロツキーの政治手腕は健在であった。


「事ここに至っては、アイスランドに拘る意味は無いだろうな」

「おいおい、タラが無いとフィッシュアンドチップスが食えないぜ?」


 現在のアイスランド近海は米連海軍が遊弋(ゆうよく)中であった。

 英国の漁船団は何度も危ない目に遭わされており、衝突で船体を損傷させられていた。最悪沈められてしまうこともあった。


『漁船を見落とした』

『そちら側から衝突してきた』

『人命救助に対して感謝して欲しいくらいだ』


 米連側は偶発的な事故と主張していた。

 ふざけているとしか思えない。


 対抗してロイヤルネイビーをアイスランド沖に派遣するという選択もあった。

 しかし、チャーチルはその選択を()としなかった。


「対抗しても良いが、それをやると代理戦争になりかねん。米連を直接殴れないのに戦力を派遣する意味がない。国際世論も(うるさ)いし」


 現状でも国際世論はアイスランドに同情的であった。

 そのような状況で海軍を派遣しても、火に油を注ぐことになりかねない。


「あのパイポ野郎ならば、上手く世論を味方に付けるだろうな……」


 シドニー・ライリーも、この一件が米連のプロパガンダに使われることを危惧していた。今や政治的モンスターと化したトロツキーならばやりかねない。


「心配せずともタラは確保するさ。ちょっと漁場を変えることになるがな」


 チャーチルは不適に笑う。

 先にシュートサインを切ってきたのは米連側である。で、あるならば容赦する必要はどこにも存在しない。


「そろそろ頃合いだろう。巻き上げるぞ!」

「アイアイキャプテン! 巻き上げ始めまーすっ!」


 1か月後。

 ニューファンドランド島の南東沖では英国のトロール船が操業中であった。


「ここまで傾くたぁな。大漁だぞ!」

「ボーナス期待して良いですか!?」

「おぅよっ! わかったらキリキリ働けっ!」

「「「アイアイキャプテン!」」」


 北アメリカ大陸東海岸の大陸棚にある海面下の台地群がグランドバンクである。

 カナダ・ニューファンドランド島の南東沖の大西洋に広がり、その水深は海面下25m~100mにおよぶ。


 北から流れるラブラドル海流と南から流れるメキシコ湾がぶつかる潮目の海域で、浅く複雑な海底地形もあいまって世界有数の好漁場になっている。史実21世紀では乱獲による漁業資源の枯渇が著しい海域ではあるが、この時代では獲るだけ獲れる宝の山のような場所であった。


「ん? 船長、何か聞こえませんでしたか?」

「気のせいだろ。それよりも網の様子をみておけ!」


 船長は音の正体を知ってはいたが、敢えて船員には知らさなかった。

 いらぬことを言って不安にさせる必要は無い。


「やっぱり聞こえる。空耳じゃないっすよ!?」

「黙れ! 目の前の作業に集中しろ!」


 さすがに断続的に聞こえてくる音には閉口せざるを得なかったが。

 説明が面倒なので、ひたすら船員を叱咤(しった)するしかないのであった。


 音の正体は、ロイヤルネイビーによる潜水艦狩りであった。

 海域に派遣されたハーミズ級軽空母から発艦したソードフィッシュ隊が容赦のないサメ狩りを実行していたのである。


「対潜レーダーに反応あり! 機首を回すぞ!」


 対潜用ASVレーダーの反応をパイロットは見逃さない。

 哨戒針路を飛んでいたソードフィッシュは、ただちに反応のあった場所へ急行する。


「弾丸装填!」


 パイロットがスイッチを押し込むと同時に発生する唸るような音。

 弾倉から弾丸――もとい、砲弾が装填された音であった。


 ソードフィッシュの改良型であるMK.4は、モリンズM型57mm自動砲を搭載していた。その自重は816kgにもなり、電動ラック式の弾倉には22発の砲弾が搭載可能であった。


「潜望鏡視認! ターゲットインサイトぉ! 喰らいやがれぇっ!」


 レーダーによる索敵と、パイロットの技量を乗せたトリガーが引かれる。

 その瞬間、砲身がロングリコイルで大きく後退して反動を吸収する。同時に57mm徹甲弾が解き放たれた。


 攻撃を喰らった潜水艦は最後まで何があったか分からなかったであろう。

 潜望鏡深度にいたのに、いきなり船殻をぶち抜かれたのであるから。


 史実の57mm徹甲弾は水中数mでもUボートの船殻を撃ち抜いたという。

 緊急浮上すれば助かったかもしれないが、攻撃された瞬間に急速潜航を命じていたことが命取りとなってしまった。


「海面に大規模な泡を確認! 撃沈確実ですっ!」

「よぅし。元の航路に戻るぞ」


 撃沈確実と判断したソードフィッシュは、定められた哨戒ルートに復帰する。

 グランドバンク周辺海域では同じような光景があちこちで繰り広げられていた。


 撃沈された潜水艦は米連海軍所属のポーパス級潜水艦であった。

 アイスランド沖の意趣返しをされた米連側は、直ちに報復攻撃を仕掛けていたのである。


『漁船程度なら潜水艦で充分だろう。こっそり沈めれば不幸な事故で済ませられる』


 幸いというべきか、グランドバンク海域から米連の漁船は締め出されたので敵味方の区別に困ることはない。それ故に、トロツキーは海域を限定した無制限潜水艦作戦を目論んだ。


 その結果は悲惨という一言に尽きた。

 わずか1週間で5隻のポーパス級潜水艦が撃沈されて米連海軍関係者は頭を抱えることになった。


 なりふり構えなくなった米連海軍は、遂にグランドバンクに本格出動することになった。それこそがロイヤルネイビーが狙いだということに誰も気付くことは出来なかったのである。







「くそっ、この霧じゃ何も見えやしねぇ」

「ぼやくなぼやくな。そいつは腹黒紳士も同じだろう」


 サウスダコタ級戦艦『イリノイ』の舷側(げんそく)

 水兵たちは周辺にたちこめる濃い霧に思わずぼやいていた。


 この時期のグランドバンク海域では霧は珍しいものではない。

 日本の三陸沖のように、暖流と寒流の合流する潮目では霧が発生することが多いのである。


 特に温暖な風が寒流の上を吹く春から夏にかけては、グランドバンク海域は煙のような霧に覆われてしまう。この状態では目視による観測はほぼ不可能と言っても良い。


「……おい、なんか音が聞こえないか?」

「おまえもか。何か嫌な予感がするぞ」


 ヒュルヒュルと聞こえてくる、何処かで聞いたような音。

 その正体に気付いた瞬間、二人の目の前で盛大な水柱が上がる。


『総員戦闘配置! 繰り返す総員戦闘配置! これは演習ではないっ!』


 スピーカーから聞こえてくる艦長の声で、クルーたちは慌てて持ち場に走る。

 その間にも霧の中から砲撃が加えられていた。


「くそっ!? どこから砲撃している!?」

「分かりません。発砲炎すら観測出来ません!?」


 イリノイの艦橋(ブリッジ)は混乱の最中にあった。

 完全な不意打ちを喰らったうえに、反撃しようにも敵の居場所が分からない。これほど恐ろしいことも無いだろう。


抜錨(ばつびょう)! 最大船速で霧を突っ切れ!」

「待ってください艦長。周辺には他の艦も停泊しています。下手に動けば接触する可能性も……」

「このままではなぶり殺しだ。責任は俺が持つから、とっとと動かせ!」

「あ、アイアイサー!」


 停泊していたイリノイは砲撃を避けるべく動き出す。

 このまま座視ていては沈められる。艦長の判断は間違ってはいない。


『前方に友軍駆逐艦! 距離50!』


 しかし、それが良い結果につながるかは別問題であろう。

 見張りからの報告を受けた時には、既に手遅れであった。


『総員退艦! 急げ! 総員退艦しろーっ!』


 ポーター級駆逐艦『フェルプス』では既に退艦命令が出されていた。

 船鐘(せんしょう)が狂ったように鳴らされ、海兵たちが大慌てで海に飛び込んでいく。


 しばらくしてから聞えてくる金属質で耳に残る大音響。

 4万t越えの戦艦は、3千tにも満たない駆逐艦を容易く切り裂いていく。波間に浮かぶフェルプスのクルーは、それを茫然(ぼうぜん)と見ていることしか出来なかった。


『回避だっ! 回避しろーっ!』

『馬鹿野郎!? こっち来るなぁ!?』

『こ、こんなことで艦を失うことになるのか……止むを得ん。退艦命令を出せ!』


 暴走(?)に巻き込まれて沈没したり、それを避けようとして僚艦と接触したり。米連海軍側の混乱は拡大の一途であった。


「くそったれ! まだ撃ってくる場所は特定出来んのか!?」


 元凶たるイリノイの不幸は続いていた。

 霧の中を突進しているというのに、既に数発被弾していたのである。


見張り(ワッチ)は昼寝でもしているのか!?」


 艦長が怒鳴ったところで事態は好転するはずもない。

 そして、致命的な瞬間が訪れた。


「ダメージレポート! いや、直接見てこい!」


 激しい衝撃音と共に、船足が落ち始める。

 艦長の命令でブリッジから海兵たちが飛び出していく。


『機関部に被弾! ボイラーは無事ですが主機が半壊、ドライブシャフトも折れて速力が出せません!』


 機関部直通の伝声管が、大声でがなり立てる。

 イリノイの艦尾に命中した砲弾は、装甲を抜いて左舷側のタービンとスクリュー軸を粉砕していた。


『艦が傾斜します! 注水が間に合いません!』

『3番砲塔被弾! バーベットが歪んで旋回不能!』


 絶望的な報告は続く。

 船足が落ちてしまえば(まと)でしかない。このままではなぶり殺しであった。


「さすがは16インチ砲搭載戦艦。存外にしぶといな」


 HMS『エイジャックス』のCICで艦長は感嘆していた。

 レーダー上の輝点(イリノイ)は未だに動き続ける。15インチSHS(スーパーヘビーシェル)は確実に命中しているはずなのだが。


「しかし、船足は落ちています。もう少しといったところでしょう」


 艦長とは対照的に副長は冷静であった。

 光学砲戦メインだった艦長とは違い、レーダー畑を歩んでいた彼は画面越しからでも敵艦の様子が手に取るように理解出来た。


「……足が止まりましたね。」

「止まったな」


 この時のイリノイは艦の傾斜によって、退艦命令が発せられていた。

 もちろん、二人がそれを知る由は無かった。


「……消えましたね」

「消えたな」


 艦が傾斜したことで開口部から海水が侵入、まだ生きていたボイラーに触れたことで水蒸気爆発が発生した。船腹に大規模な破孔が生じ、そこから流れ込む大量の海水によってイリノイは急速に沈没した。もちろん、二人が以下略。


 味方駆逐艦を豪快に真っ二つにしたこと。

 悪名ではあるが、これだけでもイリノイは歴史に名を遺す価値があった。


 これに加えて、レーダー砲撃で撃沈された史上初の戦艦という事実もある。

 しかし、この事実は長らく公開されることは無かった。


 損害を受けた米連側が黙り込むのは分かる。

 ここまで一方的に攻撃を受けたのだから恥でしかない。


 では、英国側が発表しなかったのは何故か?

 その理由は戦果の確認が出来なかったからということに尽きる。


 エイジャックスのイリノイに対するレーダー砲撃。

 ダメ押しでソードフィッシュ隊による夜間レーダー雷撃。


 MI6は米連側の損害を分析していた。

 推測と言っても、入念な情報収集による分析なので確度は高い。


 しかし、肝心の物証が存在しなかった。

 イリノイは霧の中で撃沈されたせいで目撃者が存在しない。生きていたとしても箝口令を敷かれているだろう。


 雷撃を成功させたソードフィッシュ隊も同様であった。

 極めて困難な気象条件で雷撃を成功させたものの、闇夜で濃霧という状況では敵艦の具体的な艦種など分かるはずもない。


 濃い霧が発生するグランドバンクでは米連海軍の損失が相次ぐことになる。

 あまりにも一方的なやられっぷりに、9月上旬には作戦が中止されることになった。


『日本海軍の師匠なのだから、弱いはずは無いとは思っていたが……』

『さすがにここまでとは思いもよりませんでしたな』

『海軍は当面の間使い物にならん。しばらくは再建に専念せざるを得んだろう』

『それがよろしいかと。少なくとも両国の海軍を同時に相手にする愚は避けるべきでしょう』


 二大海軍国家にボコボコにされた米連は海軍戦力の再建と刷新に注力することになる。しかし、それは米連が’大人しくしていることを意味しない。海軍がダメならば陸軍で挽回するべきとばかりに、新たな作戦の準備を進めることになるのである。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


オールバニ


排水量:9700t(基準) 

全長:185.4m 

全幅:18.9m

吃水:6.9m

機関:バブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼水管缶8基+パーソンズ式ギヤードタービン4基4軸推進

最大出力:100000馬力

最大速力:33.6ノット

航続距離:15ノット/10000浬 

乗員:868名

兵装:47口径15.2cm3連装速射砲5基

   25口径12.7cm単装高角砲8基

   56口径40mm4連装機関砲4基 

   70口径13mm連装機関砲2基

   エリコン20mm機銃24門   

   ブローニング12.7mm機銃8門

   カタパルト2基

   水上機4機

装甲:舷側127mm

   司令塔125mm

   甲板51mm

   砲塔165mm(前盾)

      38mm(側盾)

      51mm(天蓋)


旧アメリカ合衆国のヴィンソン計画によって大量建造されたブルックリン級巡洋艦の1隻。同形艦は『フィラデルフィア』『ナッシュビル』『サバンナ』『フェニックス』『ボイシ』『ホノルル』他40隻。

 

旧アメリカ合衆国の主力巡洋艦にして、現在の米連海軍の主力巡洋艦である。

1943年の太平洋での戦闘によって太平洋方面に配備されていた20隻はほぼ全滅の憂き目に遭っている。


オールバニは大西洋艦隊所属であり、米氷同盟に基づいてアイスランド近海に派遣されて英国のトロール漁船を蹴散らしている。



※作者の個人的意見

太平洋艦隊のこいつは壊滅しましたが、大西洋では未だに健在です。

そろそろ新しい艦を登場させなきゃならんのですが、また名前で悩むことになりそうだなぁ(´ε`;)ウーン…






フェアリー ソードフィッシュ MK.4


全長: 11.22m

翼幅: 13.9m

全高: 3.8m

空虚重量: 2030kg

最大離陸重量: 4410kg

エンジン:アームストロング・シドレー マンバ ASM.6 軸出力1770馬力+排気推力

最大速度: 285km/h

巡航速度: 240km/h

航続距離: 2700km(増槽込み)

実用上昇限度: 8000m

乗員: 3名

搭載量: 2500kg

武装 7.7mm 機関銃 2門 モリンズM型57mm自動砲

航空魚雷 or 250ポンド爆弾4発 or 500ポンド爆弾4発 or RP-3ロケット弾16発 or 対潜ロケット弾発射機


円卓チートによって、15年ほど早く世に出てしまったストリングバッグ。

史実のソードフィッシュのエンジンをターボプロップに換装し、大出力に対応すべく機体の補強を実施した機体である。


Mk.3の改良型であり、潜航中の新型Uボートを撃沈するために対潜ロケット弾発射機とモリンズM型57mm自動砲の運用能力が追加されている。


1944年5月から9月にかけて、カナダ・ニューファンドランド島の南東沖の海域において対潜オペレーションに従事している。高性能化した対潜用レーダーASV MK.3は波浪状況下でも敵船の潜望鏡を探知することが可能であり、57mm自動砲によって多数のポーパス級を撃沈したとされている。



※作者の個人的意見

この時代に、単機でハンターキラー戦術が出来るオーパーツ的機体。

パイロットがレーダー手兼任、観測員がHF/DF要員兼任、後部機銃手がMAD要員を兼任というとてもブラックな機体ですw


何気にモリンズM型57mm自動砲が固定武装化されてたりします。

武装が増えたせいで、ますますブラックな機体になってしまいました(苦笑


さすがにこれ以上の高性能化は無理なので、そろそろ新型対潜哨戒機を出したいところ。みにくいアヒルの子でも良いけど、どうせなら計画倒れに終わった機体を出したいなぁ。






イリノイ


排水量:43200t(常備) 

全長:208m 

全幅:32m

吃水:10.1m

機関:蒸気ターボ電気推進4軸推進

最大出力:60000馬力

最大速力:23ノット

航続距離:12ノット/7000浬 

乗員:1120名

兵装:50口径41cm3連装砲4基

   53口径15.2cm単装砲16基

   50口径7.62cm対空砲8基  

   53cm水中魚雷発射管単装2基

装甲:水線345mm

   甲板64~89mm

   主砲塔457mm(前盾) 127mm(天蓋)

   司令塔406mm


アメリカ海軍が建造したサウスダコタ級戦艦の7番艦。

同型艦は『インディアナ』『モンタナ』『ノースカロライナ』『アイオワ』『マサチューセッツ』『イリノイ』『ロードアイランド』『ネバダ』『アイダホ』


ヴィンソン計画によって追加で建造されたサウスダコタ級戦艦。

これまでの運用実績により、7番艦『イリノイ』以降は小改良が施されているためサウスダコタ改級と呼称されることもある。


1944年5月中旬のグランバンク海域において、味方駆逐艦を真っ二つにしたあげくにレーダー砲撃で沈められた史上初の戦艦として後に有名になった。



※作者の個人的意見

メラ手形でおかわりが入ったサウスダコタ級です。

10隻で済めば良いんですけどね……(震


こっちもそろそろ新型艦が欲しいところですが、対地支援火力としてならこいつで充分過ぎるんですよねぇ。数を揃えるために装甲を削ってハッシュハッシュクルーザーは英国面……じゃなかった、ロマンだけどそれを実現するにはどうするかを考える必要があるなぁ。






フェルプス


排水量:1850t(基準) 2597t(満載)

全長:116.15m

全幅:11.28m

吃水:3.96m

機関:水管ボイラー4基+蒸気タービン2基2軸推進

最大出力:50000馬力

最大速力:35ノット

航続距離:12ノット/6500浬

乗員:194名

兵装:38口径5インチ連装砲4門

   56口径40mm連装機銃1基

   70口径20mm機銃6基 

   投下軌道2条

 

同型艦は『ポーター』『マクダガル』『ウィンスロー』『フェルプス』『クラーク』『モフェット』『バルチ』他60隻。       


ヴィンソン計画によって建造されたポーター級駆逐艦の4番艦。

サウスダコタ級戦艦『イリノイ』に真っ二つされて沈んだ駆逐艦として後に有名になった。



※作者の個人的意見

60隻も作ると艦名に困るというのは贅沢な悩みなんでしょうねぇ。

史実だとフレッチャー級が175隻建造してるけど、艦名に苦労したんだろうなぁ。かといって、無味乾燥な番号にしてしまうと士気に影響が出てしまいますし、難しい問題ですよね。


駆逐艦はそこまで沈められていないから、当分の間はこのままでしょうねぇ。

次の艦は史実のフレッチャー級かなぁ?






HMS エイジャクス


排水量:38500t(常備)

全長:210.8m

全幅:31.7m    

吃水:8.8m

機関:大型艦船用デルティック16基4軸推進   

最大出力:208000馬力

最大速力:31ノット

航続距離:15ノット/32000浬

乗員:1060名

兵装:45口径38.1cm連装砲4基(SHS対応)

   50口径13.3cm連装両用砲8基

   40mm6連装機銃12基

   40mm単装機銃11基


装甲:舷側330mm(水線部主装甲) 152mm(艦首尾部)

   甲板150mm

   主砲塔330mm(前盾) 279mm(側盾) 114mm(天蓋)

   主砲バーベット部330mm(砲塔前盾) 254mm(甲板上部・前盾) 178mm(甲板上部・後盾) 152mm(甲板下部・前盾) 101mm(甲板下部・後盾)

   CIC200mm(側面) 76mm(天蓋) 

レーダー:281型1基

     277型1基

     284型1基

     285型8基


大規模近代化改修(FRAM)が適用されたQE型高速戦艦。

適用艦は『ネプチューン』『エイジャックス』他10隻。


機関の換装、艦首の成形とバルバスバウの装備、砲塔換装によるSHS(スーパーヘビーシェル)への対応、箱型艦橋とバイタルパート内へのCICの設置、レーダーの装備、対空火器の増設などで完全に別物と化している。


箱型艦橋の設置に伴い、司令塔は撤去されている。

艦橋そのものは断片防御程度の装甲しか施されていないが、戦闘はCICで行うので問題は起きていない。


CICは従来のバイタルパート内部に配置されており、側壁200mm、天蓋76mmという重防御である。機関部の上に位置しており、甲板装甲とCIC、さらに機関部自体の装甲も合わせると、これを抜くのはかなりの困難である。


燃費に優れるディーゼルエンジンを機関に採用したことにより、従来の常識を超えた航続力を持つに至っている。世界各地に植民地や自治領を持つ英国にとって、これは非常に都合の良いものであった。


1944年5月中旬のグランドバンク海域において、濃霧で視界ゼロの状態で米連戦艦『イリノイ』をレーダー砲撃だけで撃沈することに成功している。米連側が箝口令を敷いたことで事実確認に時間がかかってしまい、認定されたのは20世紀も末のことであった。



※作者の個人的意見

原型よりも1万tほど太っていますが、CIC区画の挿入やらエンジン換装による軽量化やら、その他諸々で相殺した結果です。


足は速いわ、長いわ、しかも甲板装甲が鬼強いから逃げに徹されると撃沈は困難。

意識したわけではないですが、ポケット戦艦の超教化版になってしまいました。


FRAM適用のQE型を通商破壊に使用したら、敵対した側は悲鳴をあげるでしょうねw


WW1の戦中戦後も含めてQE型高速戦艦は37隻建造されています。

このうち10隻がFRAM適用艦で残りはモスボール化して保管されています。モスボールを解除してFRAM適用しようと思えば出来るのですが、金がかかるのでやっていないだけだったりします。

イキった米連が英国に喧嘩を売ったらボコボコにされましたw

基本的に1920年代に毛が生えた海軍だったのでしょうがないのです(´・ω・`)


とはいえ、ここからが米連の真骨頂。

より強大になって復活してくることでしょう。それまでにテッド君も復活出来ると良いですねぇ(他人事


>五体バラバラだったり、焼け焦げた死体が多数映っていたのである。

本編第110話『踊る黒い蜘蛛』参照。

ナルサルスアーク飛行場飛行場に不時着した機体から手に入る『チャーチル給与』目当ての現地民なので自業自得だったりします。近づかなければやられなかったのに…(-∧-;) ナムナム


>悪夢の民○党時代を思い出して嘆いたという。

左巻きの連中は必死に否定していますよね。

あの時代に悪いことなんかあったか?なんてほざいてますけど、悪いことばかりだったから言われてるんだよ!?(#゜Д゜)ゴルァ!!


>彼らが信じ込んでいた埋蔵金は影も形も無い。

事業仕分けをやらなかっただけ、こいつらは民主党政権よりはマシです。


>政治に関する知識もスキルも貧弱であった。

史実の〇〇〇な野党議員そのもの。

議員としてやっていけないなら別の仕事で食っていけばよいだけ。クラウドファンディングとかふざけているとしか思えない(#^ω^)


>レイキャビーク

昔はレイキャビクって教科書に書かれてました。

キエフがキーウになったり、最近はこういうパターンが多いですよねぇ。


>米氷同盟

氷はアイスランドの漢字1文字表記です。

今なら普通にカタカナで書くでしょうね。


建設工兵隊(シービー)

史実WW2で大活躍した海軍の工兵隊。

この世界の帝国陸軍の工兵師団のモデルになっていたりします。帝国海軍も似たような組織を持っていたりします。


>パンナム

パンアメリカン航空の略称。

一時期は航空帝国を築いたというのに、無くなる時はあっという間でしたねぇ(´・ω・`)


>ニューアーク

旧ニューアーク国際空港のことです。

現在はニューアーク・リバティー国際空港になっています。


>20年ほど前までアイスランドでは禁酒法が施行されており

史実だと1915年ですので、アメリカよりも早くアルコールが全面的に禁止されてたりします。その後段階的に緩められてはいますが、何故かビールだけは長らく対象外でした。ビールに恨みでもあったのでしょうねきっと。


21世紀のアイスランドの若者は、平日はアルコールを我慢して週末に弾けるのが流行りだとか。なので、あんなアル中描写になってしまいました(酷


>ダグラスDC-4

自援SS『変態アメリカ国内事情―ヒコーキ馬鹿一代編―』

裏社会の住民がエアレースに熱を上げたせいでエンジン技術だけは史実並みになってたりします。これに加えて、一部のマフィアやギャングがVIP的な大型機を要求したためにDC-4が出来上がっちゃたりしてます。


裏社会の住民が逃げ出した後は需要減が心配されましたが、米連国内の航空会社が大量に購入して主力機種として大量に採用されています。


>エコノミー症候群

クローズアップされたのは割と最近のことです。

症例自体は昔からあったと思うのですけど、昔の飛行機による旅行は豪華な設備が売りだったので問題が顕在化しなかったのかもしれませんね。


今回のケースはDC-4に詰めるだけ詰め込んで10時間超のフライト。

もちろん座りっぱなしで、さらにアルコールを飲み放題とか自殺志願者としか思えませんね(ノ∀`)アチャー


>トロール船

海中で袋状の網(トロール網)を引いて魚群を効率的に漁獲する漁船です。

海底を引く底引き網が主流で2隻で網を引くものや1隻で引くものがあります。今回登場しているのは後者の船ですね。


>マグロのトロでは断じて無い。

おいらもマグロのトロだと思ってました…(´・ω・`)


>ゲラ

ゲラ刷りの略。

本や雑誌の印刷前に行う校正用の試し刷り紙面のことです。


>問題や失態には報道しない事由を行使する。

これをやっても潰されないのに、なんで報道の自由度ランキングが低いんでしょうねぇ?(´・ω・`)


>ハースト・コーポレーション

裏社会とよろしくやってたせいでトロツキーに睨まれていましたが、ハーストが上手く立ち回ったおかげで現在でも有力メディアとして君臨していたりします。


>ハネムーン期間

新政権発足後から約3か月ちょい(100日)にわたり国民やメディアが批判を控え、支持率が高まりやすい蜜月時期のこと。


ハネムーン期間は、政権が政策を迅速に実行するための試金石とされ、野党も追及を緩める傾向があります。日本のハネムーン期間?あんな黒歴史思い出したくも無いよ!?( ゜д゜ )クワッ!!


>結局のところ、生活が保障されれば右も左も国民にとってはどうでも良い。

銀英伝とか見ると、なおさらそう感じてしまうんですよねぇ。

民主主義はしんどくて面倒。効率だけなら皇帝専制だけど、それだけじゃないみたいな。


>シュートサインを切ってきた

この表現って今時の子に伝わるのかな?

使い方は間違っていないと思うのだけど、ググってもバスケやAKBが上にきてしまうの…:(;゛゜'ω゜'):


>グランドバンク

中学の地理で習ったような気がします。

その時は魚がたくさん取れる場所くらいのイメージしか無かったですねぇ。


>モリンズM型57mm自動砲

英国面なロマン砲。

史実だとモスキートに搭載されて、ビスケー湾のUボート狩りに猛威を振るっています。


>ロングリコイルで大きく後退して反動を吸収する。

発射時に砲身が80cmも後退します。

電動ラック式の弾倉には22発が搭載可能で、弾頭重量は3170gもあります。


Ju88に命中した57mm砲弾は一発で機体をバラバラにしたらしいです:(;゛゜'ω゜'):


>船鐘

船の上で時を知らせたり、その他の伝統的な機能に使用される鐘です。

鐘自体は通常真鍮または青銅製が多く、通常は船名が刻印または鋳造されています。


SHS(スーパーヘビーシェル)

史実の米海軍が第二次大戦時に使用した従来の物より長く重い徹甲弾です。

重量増加で遠距離砲撃戦でも高い打撃力を維持出来ますが、発射初速の低下や弾道安定性の悪化といった欠点もありました。


お手軽に既存砲の威力アップが出来そうですが、砲弾が長く重くなるので場合によっては改修が必要になりそうです。重量増加で初速が下がるということは、射程は確実に短くなるでしょうし。なお、史実の帝国海軍はSHSなどには見向きもせずに素直に大口径砲を作ってます。

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 名前は大変だよな、タロウの時なんかZariba of All Terrestrialって辞書にも載ってない単語を引っ張り出して来る羽目になったし。と盛大に脱線して見たり。 今度の件はどう考えてもイ…
変態紳士VSヴァイキング回かと思ったら民×党政権への恨み骨髄回だったw アイスランドは女性ストライキの日で有名なところでもありますから、悪い事ばかりではないんですけどねえ。 我が国でもそうですがまっと…
某政党政権と違って正式な条約を結んでしまった以上、アイスランドは米連から逃げられませんねえ・・・。
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