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クラスメイトの言葉を聞いた、ステファニーは悲しみと怒りがこみあげてきた。
(私が自分の考えを言わないのは、反論したり、ちょっとでも違った事を言ったら変な雰囲気になるから言えなかっただけ。そういう雰囲気にしたのはそっちなのに。なんで私だけ悪く言われないといけないの。ただ、仲良くなりたかったから頑張っていただけなのに。)
ステファニーは、その場を静かに離れた。歩きながら、ステファニーは、エドワードにものすごく会いたくなった。そして、図書館へと走り出した。
図書館の奥の方でエドワードの姿を見つけたステファニーは、声をかけようとした。しかしそのとき、エドワードが誰かと話しているのに気がついた。
「エドワード、これはどうゆうことなんだ。」
「どうしたんだ、クラーク。そんなに怒って。」
(あれは、確か副生徒会長のクラーク様だわ。)
「一年のステファニー・リッチモンドのことだ。この前まで二年生と仲良くしてたと思ったら、今度は一年生にまでてを出すなんて。節操がない。仮にもお前は王子なんだぞ。」
「待ってくれ、クラーク。人聞きの悪い。何か誤解しているんじゃないか。」
「誤解なものか。図書館や中庭など二人で仲良くしているのが何度も目撃されているんだぞ。しかも、婚約者候補なんて噂を自分から流しておいて。」
「あ~あれね。あれは、別の考えがあって流したんだよ。」
今、話をしているエドワードは、いつもステファニーが見ている彼とは違って見えた。いつも優しい笑みを浮かべたエドワードは、いなかった。代わりに不敵に笑う彼に、この先話を聞いていいのか、ステファニーは不安になった。
「別の考えってなんだ。」
「お前の幼なじみのキャロラインだよ。お前がなかなか紹介してくれないから、こっちに気を向かせるいい揺さぶりになるかなと思ってさ。全然効果なかったけど。」
「お前なんかに紹介するわけないだろう。だいたいなんで、キャロラインにこだわるんだ。」
「強い火の魔法使いだからだよ。」
「はっ?それが理由なのか。」
「そうだよ。僕は、各魔力の一番を手元に置きたいんだ。男は権力とかで裏切りそうだけど、女なら妃候補って勘違いさせておけば何かと言うこと聞いてくれそうじゃない。」
「お前、今まで噂になった女の子に対して恋愛感情ないのか。」
「何言ってるの。仮にも、僕は王子だよ。お・う・じ。そんなそこら辺の女の事、好きになるわけないじゃん。」
「まさか、今の一年生も…。」
「無いよ。」
「お前!道具としてしか見ていないのか。お前を信じてきた彼女達を騙してきたのか。」
クラークは、エドワードに詰めよった。
「落ちつけって。俺は彼女達に一度も好きとか、愛してるとか言ってないから。向こうが勘違いしてるだけ。」
「お前が、騙したんだろ。」
「嘘は言ってないよ。確かにステファニーには、君の事が気になるって言ったよ。そりゃあ、癒しの魔法使いなんて珍しくて気になるだろう。彼女は、違う意味でとらえたみたいだけど。」
「彼女が、誤解しているのを分かっていて、訂正しないのはお前が彼女を道具として手元に置くためだろう。最低なやつだ。」
「大丈夫だって。ステファニーとは、もう終わりにするし。」
その言葉にステファニーは、固まった。
(終わりってなに…。)




