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今年もよろしくお願いします。
「キャロライン様!!」
三人組はあわててアイリッシュからノートを奪った。
「なんでもありませんの。では、アイリッシュ様、ステファニー様、失礼いたします。」
そういって席に戻ってしまった。
「アイリッシュ様、ステファニー様、何かありましたか。」
「いえ、大丈夫です。」
そういうとアイリッシュさ、ステファニーを引っ張り扉の外へと連れ出した。
「ステフ、次からちゃんと断らなきゃ駄目よ。」
「でも…。」
ステファニーが何か言おうとした時、次の授業の教師が歩いてくるのが見えた。
「大変、授業が始まるわ。じゃあ、ステフ。またね。」
アイリッシュは教室に戻り、ステファニーは図書館へと向かった。
そして、ステファニーが教室に戻ってくると先ほどの三人が無言で睨み付けていた。
あの一件以来、ステファニーに挨拶をしてくれる人が減った。
普通に考えれば、ステファニーに宿題などを頼めないことが分かり、離れていったのだろう。普通に考えれば、この結果はステファニーの為には、良い結果だはずだ。
しかし、ステファニー本人は別の感想を持っていた。
(前は挨拶してくれた人が、今は挨拶してくれない…。あのとき、頼まれたことをやっていたら違ったのかしら…。前に戻りたい。)
ステファニーは、ただ寂しかった。前は一人で過ごすことなんて当たり前だった。しかし、人とふれあう温かさを知ってしまうと、それに執着してしまう自分がいた。そして、前より人との繋がりを求めてしまった。
「どうしましょう。また、忘れちゃったわ。」
ステファニーが教室を出ようとした時、そんな声がきこえた。ステファニーは、声の場所を探した。そして、声の主を見つけると、そこへと歩いて行き声をかけた。
「どうしたんですの?」
「あっ。ステファニー様、何でもありませんのよ。」
「もしかして、宿題忘れちゃったのじゃありませんか。私、次は空き時間なので代わりにやりましょうか。」
「そんな、いけません。宿題を忘れたのは私が悪いんです。それをステファニー様にやらせるなんてできません。」
「気にしないで下さい。私達クラスメイトでしょ。それに、いつも私に優しくしてくれているではないですか。お返しですわ。」
相手がどう答えていいかわからず困っているのに、ステファニーはまくしたてた。
「どうしましたの?」
そこへアイリッシュとブラッドリーがやってきた。
「アイリッシュ様、ブラッドリー様。実は私が宿題を忘れたのをステファニー様がかわりにやってくださるっておっしゃってくださったのです。しかし、さすがにそれはいけませんとお話したのですが、ステファニー様が納得してくださらなくて。」
クラスメイトの女の子はアイリッシュとブラッドリーに助けを求めた。
「そうでしたの。困らせてごめんなさいね。私からもステフには言いますから大丈夫ですわよ。」
「アイリッシュ様、申し訳ありません。ステファニー様もお気持ちだけ頂きますので。では、私、宿題をやらないといけないので、すみません。」
そういうと、その女の子は、自分の席へと急いだ。
ステファニーは、また友達の役に立てなかったと落ち込んだ。
「ステフ、ちょっといいかな。三人で話をしよう。」
ブラッドリーは、ステファニーに声をかけた。




