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「ちょっとよろしいかしら?」
三人のところに一人の女の子がやってきた。
「私、クラス委員長のキャロライン・ラグーナと申します。ステファニー様は、科目等履修生ですが、同じクラスメイトですので、何かありましたら言ってください。」
「キャロライン様、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
ステファニーは、あわてて立ち上がると挨拶をした。
「では、失礼いたします。」
アイリッシュは、ステファニーにニコッと微笑むと去って言った。
(綺麗なルビー色の目だわ。)
ステファニーは、アイリッシュの印象的な瞳に心を奪われていた。
「ステフ、そろそろ迎えが来る時間じゃないの?」
ブラッドに言われ、ステファニーは我に返った。
「いけないわ。もう、いかなくてわ。」
「またね、ステフ。今度は、一緒にランチよ。」
「ステフ、またね。今日は、ゆっくり休んでね。馬車まで送れなくてごめん。」
「ブラッド気にしないで、大丈夫よ。二人とも、またね。今度ランチしましょうね。」
ステフは、二人に別れを言うと廊下を急いで歩いた。
すれ違う生徒達は、ステファニーを見て何か言っていたが、今のステファニーには届かなかった。朝の気持ちとは、反対に幸せの気持ちでいっぱいだった。
「おかえりなさいませ、ステファニー様」
「ただいま、エイミー。」
「楽しかったようで何よりでございます。」
「なんで分かるの?」
ステファニーは、エイミーに聞き返した。
「朝とはお顔が違います。今は、とても柔らかいお顔をしてらっしゃいます。」
エイミーは笑顔で答えた。
「とても楽しかったわ。」
ステファニーも笑顔で答えた。
その頃、アルフレッドとマリアンヌは娘が泣いて帰ってきたらどうしようかと気をもんでいた。励ます為にも今日、ステファニーが好きなものをたくさん作るよう料理長にも伝えていた。
「大丈夫かしら。何か言われたりしてないかしら。」
「もし、今日行ってステファニーが学園にもう行きたくないって言っても受け入れてあげよう。」
「そうですわね。何よりもステファニーが一番なのですから。」
そんな両親の会話を少しあきれた様子でセドリックは見ていた。
「心配しすぎです。しかも、父上は仕事を休まれるなんて。」
「そういうお前だって、大学を休んでいるではないか。」
「それは、たまたま今日は休講だっただけです。父上とは違います。」
そんな会話をしているところに、ステファニーが帰ってきた。
「ただいまかえりました。」
ステファニーの笑顔にみんなが胸をなでおろした。
(((よかった~。)))




