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学園に初めて登校する日がやってきた。ステファニーは、ガチガチに緊張していた。

「大丈夫かしら。何か変なところない。」

「大丈夫ですよ。ステファニー様、リラックスですよ。」

エイミーがひたすらリラックスと繰り返すが、ステファニーはかなり緊張していた。初めて大勢の人と会うというのも理由の一つでは、あるが、一番の理由はそれではない。

今日のステファニーは瞳を隠さず前髪をあげているからだ。


最初ステファニーは、瞳を隠して学ぶつもりだった。しかし、アイリッシュは反対した。

「ステフ、学園では瞳を隠さず堂々とした方がいいと思うの。」

「でも、この瞳を怖がる人がきっといるわ。そんなこと出来ない。」

ステファニーは、絶対に無理だと首をふった。

「怖がる人って黒い瞳の噂を信じている人でしょ。だったらむしろ隠さず、堂々としてそんな噂を蹴散らせなきゃ。隠せば隠すほど、噂が現実なのかと余計に怖く感じると思うの。ステフは、全然怖くないし、しかも癒しの魔法を使えるんだもの。ステフが遠慮する必要なんてないわ。何事もはじめが肝心よ。」

「ブラッドリーは、どう思う。」

「僕も、瞳を隠さず過ごしたほうがいいと思うよ。噂じゃなくて本当のステフを知ってもらうためには、目を見て話すことが大切だよ。最初はいろいろ言うやつがいるかもしれないけど、大丈夫だよ。僕とアイリッシュがステフを守るから。」

いつまでも瞳を隠して生活していくわけにはいかないことはステファニーもわかっていた。

(わかってる。でも、向けられる悪意が怖い。)

怖がるステファニーを挟むようにブラッドリーとアイリッシュは座ると片方ずつステファニーの手を握った。

「怖いよね。だって、ずっとステフは、瞳を見られてはいけないと隠してきたんだもん。でも、ステフにはありのままで過ごせるようになってほしいの。」

アイリッシュは、ステファニーの顔を覗き込むようにして話をした。

「僕もステフが外でも笑って過ごせるようになってほしい。大丈夫。ステフはとっても素敵な人だよ。ありのままのステフを受け入れてくれる人がたくさんいるよ。」

ブラッドリーはステフの背中をさすった。二人の優しさでステファニーは涙ぐんだ。

「二人とも、ありがとう。頑張ってみる。」


そんなわけど、ステファニーは緊張でガチガチなのだ。

屋敷を出るとき、両親だけでなく、兄も一緒におくりだしてくれた。

「ステファニー、何かあったらすぐ帰ってきなさい。」

「そうよ。何か言われたり、辛くなったら無理しなくていいんだかね。」

アルフレッドとマリアンヌは心配で胸が張り裂けそうだった。

「父上も母上も心配しすぎです。たかが数時間勉強してくるだけではないですか。」

セドリック、両親の様子に苦笑いした。

「ステファニー、顔がこわばってるよ。いってらっしゃい。」

セドリックは、ガチガチに緊張しているステファニーの顔を揉みほぐした。

「お父様、お母様、お兄様。行ってきます。」

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