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ステファニーが花壇で花の世話をしていると、セドリックとブラッドリーがやってきた。
「お兄様、ブラッド。今日は二人でどうしましたの?」
「今日は、ブラッドリー殿に領内を案内してやってほしいと父上に頼まれているんだ。ステファニーも久しぶりに外へ行かないかい?」
「いえ私は、遠慮いたしますわ。ここで花に囲まれているのが好きです。」
「そうか、残念。あれ?水やりはまだかな?」
セドリックは花壇に水を降らした。
「お兄様、ありがとうございます。」
「セドリック殿は、水の魔法が得意でしたね。うらやましい。私の風の魔法なんて何の役にたつのやら。」
セドリックの魔法にブラッドリーは羨ましそうに言った。
「あら、魔法が使えない私には羨ましいですわ。」
「そうか、ステフはまだどんな魔法が使えるか分からないんだったね。」
ブラッドリーのステファニーは魔法が使えないのではなく、使える魔法がまだ見つかってないだけと言う言い回しに優しさを感じて嬉しくなった。
「そうだ。ブラッド、あれから屋敷にも花を飾るようになったんですよ。」
「みたよ。やっぱり飾って良かっただろ。」
「うん。ありがとう。」
「そうだ、帰りにまたよってくださる?綺麗な花がたくさん咲いたの。花束を作るからミルハント公爵婦人にお渡しいただけるかしら。」
「わかった。母上が喜ぶよ。」
そんな二人のやりとりに戸惑っている人が一人いた。セドリックだ。
「ちょっと待って。二人は、ステフ、ブラッドって呼びあっているの?」
「はい。大分前にそう話し合って決めました。お兄様いけませんでしたか。」
「大分前からなの…。いけないとかじゃないけど、兄より仲良しな感じが悔しいな。」
セドリックは、複雑な表情をした。
そんなセドリックの顔を見て、ステファニーは笑ってしまった。
帰るブラッドリーに花束を託した時も、楽しく会話する二人の姿にセドリックは、少し複雑だった。
「ステファニー、ブラッドリー殿とは友達なんだよね。」
「えっ。多分違います…。」
「違うの?まさか、恋人とか言わないよね。」
「何をおっしゃっているのですか。私とブラッドは恋人ではありません。」
「じゃあ、何なの?まさか、まだ単なる知り合いとか言わないよね。」
「…知り合いです。友達になって下さいってまだ伝えてないので。」
「ステファニーとブラッドリー殿はお互いを大切に思っていると思うんだけどな。」
(お兄様は、そういうけど。ブラッドは私を友達と認めてくれてるのかしら。友達になって下さいって言うのがこんなに怖いなんて。)




