マジュワ
新章突入
リュカと旅のお供ピカルは混迷する旅路を
突き進む。
二人は太い蔦をよじ登っていた。
「ここはどこなんだ」
「地下だ」
「なるほど」
「おいリュカなにか身につけて離さないものあるか?」
「そうだな、腰の《七つ道具》をしまうベルトくらいか」
「そうか、ならそれでいいや。」
「どうしたピカル?」
「俺達マンドラゴラは地上には出れない呪いなんだ、だから何か他の物になって過ごすんだ。だからそのベルト捨てやがれ俺がベルトになってやる。ありがたくおもえ!」
「そんなことができるのか。」
「そうしなきゃ生きられないんだよ、形を見せてくれ、ふむふむなるほど。だっさいデザインだぜ、俺がもっとイカすベルトになってやる。俺がこの姿に戻れるのは自然と火がある場所だけだ覚えておけ。ただお前とは念話で会話はできるから安心しろ。」
「そろそろ到着か?」
「なら俺様は変身だな。」
ドロンッッ!!
『ほうらこれからは俺様がベルトだ。落とすなよ。』
下は見るのも怖いくらいの高さに来ている。
「到着だ。ここは…」
『木の中だ、ほぅら外に出てみろ衝撃だぞ。』
駆け出して木々の根を越えていく、一つ二つと越える度に勢いを増す。
『見ろこれがお前達の罪だ。』
「なんてことを…」
そこにあったのはまさに焦土、何かが通った跡だけ綺麗に土をむき出しにしている。大地よりやや高いこの木の位置からはその通り道が眼前にはっきりと見えていた。
「また黒い歴史が重ねられたのか。」
『案ずることはねえ、いまやお前たちは世界の敵だ。全員敵だと思えばいい。嫌われ者なんだよ妖怪はな。国を失い、何者かに土地を奪われお前は次にどうするリュカ=オズワルド。』
「決まっている、俺が国を取り戻す。初めからやらなくてはいけないことは変わっていない。国を救い民を救い、己の運命に打ち勝つそれだけだ!」
『やっぱり面白そうなやつだ、これからは俺が全力でサポートしてやる。まずは?』
「そうだな、ライアン王のもとを訪ねよう。」
『…いやあそこはやめた方がいい』
「なぜだ!」
『いやいや行くべきではないな、理由は言わねぇよ無駄に命を失うべきではないぜ。』
「まずシェラと合流したい!!彼女は無事だったのだろうか、くそあの男が居なければ。」
『アシュラとかいう女だな、ならば心当たりがあるぞドワーフ族の聖地原生林マジュワに向かったと聞いた。女もお前を探していたようだぞ』
「なぜそれを?」
『妖精は情報通なんだ』
「そうかならばひとまずそこに向かおう。」
『良いのか?国を救うのでは無かったのか?女一人のために旅路を遠回りにしても良いのか?」
「遠回りしてこそ見えるものもある、それに彼女は旅の成功の鍵を握っている存在でもあるのだ。第一に私が彼女の無事を知りたい!」
『初めからそう言えばいい、行くぞリュカ!』
『そうだな移動にはこれを使おう、《森鹿》よ!』
そうピカルが唱えると大木の葉の中から草でできた玉のような物が落ちて来た、玉はみるみると形を成してゆき大きな鹿となった。
「すごいなこれが噂に聞く妖精の力か。」
『いやいや貴様ら妖怪の素晴らしさに比べれば大したことはない』
「それは嫌味か?」
『そんなことはない、ただこの旅路で見るがいいお前らの本質というやつを』
「行こう…」
一人とベルトになった妖精は木でできた鹿に乗り走り出した。
走り出してマジュワまで半分ほどの場所でピカルは話し始めた。
『そもそも傲慢だとは思わないか?我々知類は誰もが知能を有し世界を壊す力を持っているそのお互いが均衡を保つことで成り立ってはいるがその他の生物のことをないがしろにしすぎだ。』
「なんだいきなり。」
『思うわけさ、魚や虫や木それに知能が無いのはわかっているだからといって彼らをその均衡の輪の中に入れないのはどうなのか、とね』
「急にどうした怖いぞ。」
『今回のことでもそうだお前たち妖怪のせいで多くのものが国を家族を失った、お前たち知類の思考はそこで終わりだ。削られた大地やそこに巣食う虫や魚彼らの事はてんで考えていない』
「確かにそれは良くないな。」
『まぁそういうことだ、大地がな俺に語りかけてくるのさ。妖精の愚痴だと思って聞き流してくれ。』
「いやきちんと考えておこう。」
『そうだ!星達が話し合いをする時度々我らの国を使うんだけどな、その時にライアン王とは一度会ったことがある。彼は今の問いにこう答えたよ
「私は教える者としての立場上どんな問題にも自分なりの答えというものを持たなければいけない、そして持たない事柄に対しては考え何かしらの答えを出さなければいけないそういう役目なのです。ですからして私個人としては彼らはそこまで考える知性がない、よって我々が考える必要もないと考えますな。思いやりとは思考を持つもの同士の疎通であり彼らには申し訳ないが考える必要はないと、一票入れさせて頂きます。」
『と言っていたよ。面白い意見だと思うぜ。』
ピカルはそのあと話しかけても一向に話そうとはしなかった。
「ピカル!ここか?」
『着いたか問題はここからどう入るかだな。マジュワ原生林ここに入るのはちと骨が折れるぞ、奴らに平和な人だと示さねばならないからな』
木でできた大きなドーム状の何かは上からの侵入を拒み、入り口は控えめに言ってもこの正面の門しかなさそうであった。
「ピカルどうする。」
『今お前は妖怪丸出しだからな、ただドワーフ族はほぼ今回の事件の影響を受けていないからな。友好的である可能性はある。』
「行ってみるか。」
門番の近くへ歩み寄る。
「マジュワに用があり参った、入国を許可願いたい。」
「またれいまたれい!」
「またれいまたれい!」
姿がそっくりな二人のドワーフが声を揃えて言った。
「はいりたいと?」
「はいりたいと?」
「あぁぜひ頼みたい。」
「それならば。」
「それならば。」
「入る者は拒まず否でれる保証はなし。」
「入る者は拒まず否でれる保証はなし。」
「入りたまえーー。」
「入りたまえーー。」
こうしてリュカとピカルは新しい旅路を切る
旅は終わり新しき旅が始まる世の中とは
こうして区切りを付けてやらねば
渡るのに苦労するのだということだろう。
_____???
「ようやく来なすったか。」
リュカ
◉半妖の少年
◉ウキヨエ国では有名な戦士であった
◉持ち物:救国の七つ道具
ピカル
◉マンドラゴラ族、世間では妖精と呼ばれる。
◉地上では擬態しなければ生きられない
◉今擬態しているのはリュカのベルト