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愛する上司は罪深き転生者(冤罪だけど)  作者: 安藤昌益
今度こそ

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19/25

幸せな日々?➁

 かつて、サロンに招かれたことは何度か、ベアトリーチェは何度かあった。最年少にして、女性、しかもすこぶるつきの美人、そして、学生時代の自治会会長として伝説ともなっている、そして、その当時聖アテナ騎士団騎士隊長として、次々に実績を上げ、評価がうなぎ上りであったから、招待してサロンの箔をつけたい、と思う身分ある或いは裕福な夫人達は思っていたものだった。サロンの評判は、彼女達の虚栄心を満足させるだけでなく、夫、家の評価を高め、人材、物が集まり、現実的なメリットをもたらしてくれる。また、評判の高いサロンに招待され、高い評価を得られれば、出世やその後の活動の場が広がる。かと言って、下級貴族の夫人が自分のサロンに、今を時めく有名人を招いてしまっては、いかにその場で高い評価を得られたとしても、地位の高い貴族達からの嫉妬を買ってしまいかねない。逆に無名に近い芸術家や学者等を招いていて、それが評判を呼び、高位の貴族のサロンに呼ばれて、これまた高い評価を得ると、彼らを発掘?してサロン、夫人は称賛されるだけでなく、その高位の貴族等との良い関係を築くことになる。招待される側も、そういうことを考えなければならないし、高位の者のサロンで寵愛されている者が下級貴族のサロンに出る場合は、招待する者にも、応じる者にも、周囲を納得させるような理由がないと、関係がこじれる場合がある。

 ベアトリーチェは、もちろんどこでも評判がよかった。


「私も将来結婚したら、サロンを主催しないといかない。どうも、実際に招かれたサロンのようにはできないような気がする。」

とワインを片手に、無理やり付き添わせてきたロレンツィオに言ったことがある。彼と並ぶと、彼女がより輝いて見えた、対比から。彼を同行させたことについては、彼女はそういうつもりではなく、彼がいないとそういう場が不安だったからだが。

「確かに、隊長殿には無理でしょうね。」

と彼はあっさりと言った。

「確かに、その通りかもしれないが、そこまで言われると傷つくぞ。どうせ私は、女っ気のない男のような女で、美人ではないが。」

とわざと泣きそうな、怒ったような顔をしてみせた。多少は本音でもあった。

「外見は大丈夫ですよ。でも、凛々しい騎士のイメージがどうしてもあり、そこから抜け出すのも、其のままでいるのも、その間にいるのも、周囲の方には物足りなさを感じさせるということですよ。」

 彼はね真面目くさって、本当に真面目に考えて言っているのが分かったから、彼女はさらに尋ねた。その時は、もう半分面白がっていた。彼はというと、本気で考え始めた。

「そうですね。まずは、正統なサロンの雰囲気をつくる。招待者やし好には、隊長殿本来の、或いは異質なのも用意する。宴がある程度進み、それらの番になったら、つい我慢できないとばかりに、凛々しい騎士である隊長殿の顔を出して盛り上げ、後半にはそれとは対照的な上品な貴族夫人の顔、立ち居振る舞いにもどり、つい本性が出てしまい、お恥ずかしい次第ですわ、と笑わる、というのはどうでしょうか?」

「それは面白いかもしれないな。では、具体的な案があるか?」

と虐めたくなって、いたずらっぽい顔をして、それがひどく魅力的な、男をそそるような雰囲気を醸し出していたことは、彼女自身は気が付いていなかった。それにゴクリと唾を飲み込んだロレンツィオだったが、直ぐに、真面目な顔で、

「例えばの例としてで・・・。」

と周囲を見回して、このサロンをどうするかでと、という風にサロン全体を確認する風をして、真面目に、

「まずは・・・。」

と説明しだした。彼も、多少酒が入っていて、口が何時も以上に饒舌となっていた。


「全く馬鹿馬鹿しいことまで、真面目に考える奴だ。」

と言いながら、彼女は帰ると、1人で笑い、呟いたものだった。

 そういうことが、何度もあった。真面目に受け取ったことはない。時には、周囲の者達まで集まって議論になり、サロンの主である夫人さえ交えて、所々の場面を即興で漫才の、笑いを取るような感じで演じることもあった。皆が、酒の酔いもあって大笑いで終わった者だが、それもなかなか好評で、評判にすらなった。もちろん、それはベアトリーチェの、ということで彼女の評判を高めるもので、ロレンツィオの名が出てくることはなかった。

 そのことに彼女は、後ろめたく感じ、彼に悪いと感じたものだが、

「あれは、隊長殿が咄嗟にうまく演じられたからこそ、面白おかしくなり、皆が喜んだのですよ。ほとんど隊長殿のやったことですよ。」

と彼は全く邪気もなく微笑んで返したものだった。


 そして、伯爵夫人となりサロンを主催しているが、それはかなりよい評判を得ているが、

「全てロレンツィオの言った通りやっているだけ・・・。」

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