【第48話】私には、分かるのですよ!
更なる設定が襲いかかる48話、お待たせ致しました( ˘ω˘ )
鐘が鳴り終わるころ、いかにも”上位の聖職者“という衣装を着たお爺さんが祭壇の前へ歩いて来た。
「ようこそ、10歳という節目を迎えた諸君。私はこの神殿の大司教、ベルラン。…君たちは今日、神の洗礼を以って魔法を授かる。神の祝福に感謝し、願わくば、世のため人のために役立てて欲しい。……それでは、儀式をはじめよう」
厳かな声の御仁だった。
(めっちゃそれっぽい!)
神から魔法を授かるのを利用しているのではなく、魔法を授かれる事を、神に感謝しているようだった。
本当に神を信仰しているのだ。
私が神頼みしたり、イケメンを神聖視するのとは訳が違った。
イベント的なことや困った事がないと、神様を思い出さない人が大多数の日本人とは、感覚が違うらしい。
世界が違えば当然なんだろうか?
(神の存在がないと説明できない事もあるしなぁ…)
魔法はまだしも、体型や、特に私の転生なんて、世界が違うと言うだけでは説明がつかない。
「それでは名前を呼ばれた者から前に出なさい。一人目…カイン・マルセール。前へ」
カインが呼ばれて壇上に上がる。
期待に満ちた顔で壇上に上がったカインは、大司教に指示を受けた後、祭壇へ向けて膝をついて祈り始めた。
すると、キラキラと天井から光が降り注ぎ始める。
(え、マジ…?まるで…エンジェルラダーみたい……)
雲間から差す光の柱のような、神聖さを見せる光がカインを照らしている。
どこからこの光が来ているのか、全くわからないが、これが神の洗礼というものなのだろう。
(こんなの見せられたら……そりゃ、神は居るって思うわけだわ!!)
私が神が居るのではと思っている理由は、”世界の設定“のようなものがあるからだったが、こんな光景を見たら、この世界の神への信仰心の強さにも頷ける。
光が細く集束して、最後にはフツリと消えていく。
それで洗礼は終わりのようだ。
「魔力を感じるかね?」
「……はい。何かが身体に宿っているのを感じます!」
「それが神から与えられた血統の魔力だ。無闇に振るってはならぬよ。後ほど診断があるので、それまでは他の者の洗礼を見ているように」
カインの番が終わり、次はお兄様の番だった。
どうやら、こんなところでも爵位の順で受けるらしい。
(ヤバイ!お兄様とステンドグラスと、その上エンジェルラダーな光とか、動画撮って!動画!!ああああ神様ああ!)
お兄様が壇上に上がった。
(っふぁあーーーーーー!!なんて神々しいの?!)
お兄様の銀に光る白い髪も、純白の衣装も、ステンドクラスの七色の光を浴びて、お兄様自身が七色に輝いているようだ。
そして祈りの為に、祭壇へ向かって膝をついて祈るお兄様の神聖さは、例えようもないほどで、私は涙が浮かんできそうだった。
(涙で前が見えないなど、許されん!光を浴びるところを目に焼き付けるんだっ!)
なんとか感涙を散らしていると、光が降り注ぎ始めた。
その美しさに、聖歌のようなものが脳内再生された。
さっきは何も聞こえなかったので、私だけその演出でこの光景を見ているのだろう。
(あぁ……ふつくしい……。貴方が神だ……)
ざわ…ざわわ……。
謎のどよめきが起こり始めても、お兄様から目を逸らす事は許されない。
一心にお兄様が光に照らされる姿を見つめる。
やがて光が収束して消え、聖歌のような曲も止まった。
我が脳ながら、良い演出を加えてくれたものである。
「皆にも聞こえたかね?神の強い祝福がこの者に授けられた。…誇りなさい。ユリシス・ハワード。そなたは神に愛されている」
「……ありがとうございます」
(………は?……あれは、神聖すぎるお兄様を見た私の脳内再生じゃなかったの?)
拍手がパラパラと起きて、実際に皆にもあの聖歌が聞こえていた事を確信した。
(マジかあああ!?流石お兄様!!世界一のイケメンが神に愛されるのは当然の事よ!!)
私はパラパラとした拍手に混じって、リアルにスタンディングオベーションした。
お兄様は私に気がついて、ふふっと照れたように笑った。
多分だけど、大司教の言うように、とても名誉な事が起こったのだ。
それなのに、気のないようなまばらな拍手しか起きていないのは、もしかしたら見た目のせいなのかもしれない。
そう思うと、私だけでも全力のスタンディングオベーションを送りたかった。
そうでなくとも、美しすぎる光景に大きな拍手を送りたかったのだが。
その後はカインと同じように、特に変わった事はなく、厳かにだが淡々と、儀式は進んでいった。
最後の子の洗礼が終わった後、診断をするので別室に移るよう言われ、会議室のような部屋へ全員が移った。
「お兄様、おめでとうございます!!神に愛されるとは流石ですね!!」
「ありがとう。アメリア…立って拍手してくれてたのが見えたよ」
「おめでとうユリシス。強い祝福は、きっとユリシスの助けになる」
「そうね、アメリアを守りたいって強い気持ちに、神が応えて下さったのだわ」
ハワード家の家族で、口々にお兄様に祝福を送る。
既に診断は始まっており、今はカインが診断を受けている最中だった。
衝立の向こうで行われているので、何をしているかはわからないが、弱く光が漏れたあと少ししてカインが戻ってきた。
「お父様!僕も炎の特性でした!!」
「おお、流石私の息子だな!して、魔力量はどうだった?!」
「5でした!」
「ほう…!そうか。王族には及ばないが、5なら公爵家として申し分ないな!精進するのだぞ、カイン!」
どうやらカインは炎の魔法特性で、魔力量も公爵家としても良い結果だったようだが、基準が分からない。
(5ってなんだろうか?凄いのか?)
次はお兄様の番だったので、呼ばれたお兄様は、衝立の向こうへ歩いて行った。
「お父様、魔力量の評価はどんな段階があるのですか?」
「魔力量は1〜10の段階が有るが、3〜4が並でほとんどの貴族がこの辺りだね。5〜6で素晴らしい素質と言える。王族には7〜8すら現れ、それは王者たる血統ゆえの魔力量だろうね。10まであるのは、歴史上、実際に10の方が居たからだ」
「なるほどぉ……!」
「でも、今は10の方はいらっしゃらないわ。長い歴史の中で、片手の数もいないの」
「そうなんですね…。強い祝福を受けたお兄様の魔力量はどうなんでしょうね?!」
オタクに言わせれば、神に愛されし者の実力がチートなのは、お決まりの流れだ。
公爵家の血統であるカインを超える事だってあるかもしれないなと、期待に胸が膨らむ。
家族で話していると、衝立の向こうが眩く光り、会場がざわついた。
皆が注目する中、びっくりした顔のままのお兄様が戻ってきた。
「ど、どうしたんだい?大丈夫かい?ユリシス」
「お兄様、何があったのですか?カイン様の時より、かなり光が漏れてましたが……」
「えっと、ご心配をお掛けして済みません。僕の魔法特性は神聖…?で、魔力量は9でした……」
「9ですって?!!し、神聖?も…聞いた事がないわね……何かしら??」
(キタァアアアーーーーーーーーーーーーーーー!!!)
どう見てもチートである。
血統的には、あり得ない数値なのではないだろうか?
爵位は実際の功績や失態で上下するが、その根幹には血統の強さがあるのかもしれないから。
お父様が王者たる血統とか言ってたし、マルセール公も公爵家に申し分ないとか言っていたのは、そう言う事だと思う。
そんな中での、王族超えの9である!
(神様ありがとおおおう!お兄様がチートなイケメンに進化したっ!!)
歴代最大値の10ではなかったが、十分すぎるほどのチートだ!
しかも神聖という魔法の特性は、お母様すら知らないようなのだ。
(これはまだ何かあるぞ?!)
「診断者が言うには、例は少ないけれど、治癒の特性の血統に、ごく稀に神聖という特性が出るそうなのですが、聞いた事はありませんか?」
「私が知っている範囲では……無いわね。実家ならば何か文献が残っているかもしれないけれど……。役に立てないようで、ごめんなさいねユリシス」
「いえ!そんな!神殿が把握している事は、聞けば教えてくれるそうなので!」
(分かったぞっ!私には分かるぞおお!神聖は治癒の上位互換でしょおお?!絶対そうだ!きっと治癒より万能な魔法特性に違いない!)
私の中の中二病が大暴れする。
(神聖なイケメンお兄様が、神聖魔法を使う……カッコ良すぎない??!)
「お兄様!神聖だなんて、お兄様にとてもよく似合っている特性ではありませんか!!おめでとうございます!!!」
「そ、そうかな……?アメリアがそう思ってくれるなら、嬉しい。アメリアを守るための魔法だから…」
(ピギャアアアアアアアア!!)
「うーーーっ!……お、お兄様、も、勿体無いお言葉ですわ…」
胸が詰まった上に、謎にかしこまる私に、お父様もお母様もはははっうふふっと笑っていた。
お兄様は甘く微笑んでいたので、私は立て続けに胸が苦しかった。
そんな私たちを、カインが憎々しげに見ていた事に、私は気がついていなかったーーーー。
読んで頂き、ありがとうございます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
”エンジェルラダー“とは、「天使のはしご」と呼ばれる薄明光線という気象現象です。
雲の隙間から何本もの光の柱が降り注ぐ、とても綺麗な現象です。
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とても励みになります( ˘ω˘ )g
書け次第投稿していきますので、不定期更新ですが次回もよろしくお願いします(*´꒳`*)




