33/33
「エピローグ」
ここは〈夢の都〉――『夢』を冠する城塞都市。
終わりなき強制労働の解放を夢見る事だけを許される。
終わった魔法文明に夢うつつだけは許されない。
無我になって働け。夢中になって稼げ。
我を通すな。夢を見たら目を覚ませ。
夢を馬鹿にされても怒るな。夢を持たなくても馬鹿にするな。
寝れば誰でも見れる。目を覚ませば誰でも忘れる。
奴隷のように、馬車馬のように労働して疲れ果てて寝る事だけを夢見よ――
これら全てが〈ハーレー・クイーン〉のギルドマスターで〈カイン〉最高指導者のエンペラー・ブラックの言葉だ。
名は体を表すがこの男も黒は真っ黒な噂しか立たない。その噂も闇の中へと黙殺して葬り去ってしまえば健全な『統括者』の顔であるが、空に太陽と月の二つの顔があるようにブラックもまた『支配者』の顔を持つ。
魔物から神へと昇格したと語られる天狗の高く伸びた鼻は高慢の証し。
先の下剋上でブラックはテロ集団〈エヴァンジェリン軍〉との黒い関係を白日の下になる。
最高指導者の顔は泥だらけ煤だらけ。
国民からの支持も急低下で「折れた鼻は元には戻らない」と冷やかされている。
彼にとっての悪夢は始まったばかりだ――




