第六話 無制限に使い放題だぜ?
夜。宿の一室。若い男と女。
完全に目は決まっている女。しかし思い通りの展開にはならないもので・・・・・・
「魔王様。いよいよクエストの期限は終わってしまいますよ」
「あぁ。そのためには俺がドカンとすごい召喚をかましてだなぁ」
「そういって早二時間。何を出して下さいました?」
「なぁルファ。いつもの優しさはどうした?」
「だって魔王様!?ここにあるもの見てください!?」
「わかってるんだ!俺には才能がなかったんだよぉ」
「そんなはずはありません!だって事実私を召喚しているわけですし」
「そんな才能に満ち溢れた魔王様の結果がこれですか」
目の前に転がるいくつかの石っころ。
しいて特徴をあげるならそうだなぁ、
「丸くてかわいい石じゃないか!」
「もう、魔王様ったら・・・・・・」
ルファがちょっとだけ笑顔になった気がする!
・・・・・・え、なにこのダメ夫感。
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さて、まもなく空気は変わった。
「それにしてもおかしいのですよね」
笑顔は一転。真面目なできる悪魔モードのルファが口を開く。
「今この場で魔王様の召喚がうまくいってないのは事実です。
ですが、失敗を差し引いても明らかに魔力は回復していませんし、パワーも落ちてきています。
どうしてでしょか」
「さぁ?俺いつもこんなもんだしわからないなぁ」
「ま、魔王様はこの私を召喚するほどの魔法をおつかいになるのにそれを『こんなもん』というのですね!?」
「あ、いや!?それはその・・・・・・。ほぼ偶然だし今まで生き物の召喚にすら成功したことないからさ」
ねぇどうすればいいの?
俺もう何もできる気しないよ!?
「では、こうなっては最終手段ですね。これを召喚する作戦で行きましょう」
そういってルファがとりだしたのは・・・・・・。とりだしたのは?
「お、おいルファ??」
ルファは反応もなく、ただ一つのことに集中しているようだった。こうなっては魔法にまったく詳しくない俺は静かに見守るほかない。頑張ってくれ。
「はぁっっ」
「な、何かが成功したのか!?」
「で、できましたっ。やはり二千年前と比べて圧倒的に純粋な魔力は少ないですね。魔王様には少し感知しづらいのかもしれませんが、このあたりに純粋な魔力をかき集めました!」
そういってルファは両手をめいいっぱい使って場所のアピールをしてくれている。うーん、かわいい100点。
さて、俺にも作戦が分かった気がするぞ。要するにだ、俺は戦力にならない。なら誰が戦う?ルファしかいないであろう。ただルファは魔法発動の為の魔力がない。それに今日の感じでは洗浄でかき集めるなんてできないだろう。そこでやっと俺が役に立つことができると、俺がこの純粋な魔力を召喚することでルファに特大なのかましてもらおうって作戦だな!
ってことを伝えたら、ルファがめちゃくちゃ笑顔になった。
「さすがは魔王様!私の考えなどお見通しですね!」
悪い気はしないな!
「では、少々準備をしていきますね。私と魔王様だけのここでは魔法使い放題ですから!」
やっぱりさ、悪魔って恐ろしいことこの上ないよ。純粋な魔力なら無制限に使い放題だぜ?日本のビッグな会社のプランでもかなわない容量だよなぁ。
集中した様子で作業をするルファを横目に、俺もやらなくちゃなときを引き締める。
「なぁルファ、少しだけ俺も練習していいか?距離感には気を付けるからさ」
「いいですよ!申し訳ありませんもっと近づきたいと思っているのに・・・・・・」
「いやいや、結局明日はルファに頼るんだしさ、俺も頑張るから!」
「魔王様っ!」
決まった。俺ってばいい男!!
なんて一人で自画自賛に走りながらも、俺は練習を始める。
「ふぅぅぅぅう。こいっっっ!!!!」
いまだかつてない、いや、ルファの召喚に成功して以来の感覚がある。これは、いける!
「オルァァァァァァ!!」
少し離れたルファが驚いたように俺を見ているが今の俺には構っている余裕がなかった。
「ま、魔王様!もしかして、もしかして貴方様はっ」
「はっ」
一拍。
俺の目の前にはルファによる結界魔法で包まれた純粋な魔力の集まりが十個。ルファのもとにあったすべてである。
「魔王様、間違いありません。魔王様は今、召喚に成功しました。それも、空間ごとです。私の前の魔力がすべて持っていかれました。召喚しやすいよう個体として分けていましたが、空間の召喚がどれだけ難しいことかっ」
「や、やった。やっぱ俺すごいのか!??」
「しかも今、魔王様が使ったのは純粋な魔力です。召喚で動いた分とは別に、魔王様が魔法を行使する際にも魔力の移動があった。今までうまくいかなかったのは、そういうことだったのかもしれませんね」
なるほど?今回召喚に成功したのは事実。それに、俺が使えるのは純粋な魔力で?つまるところ悪魔たちと同類だということなのだろうか。
「な、なぁルファ?俺も少し戦力になれそうじゃないか?少なくとも足を引っ張ることはなくなったと思うんだが・・・・・・」
「す」
「す?」
「す、す、」
あぁ、言おうとしていることが分かったかもしれない。
「すごすぎますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!なんなんですか魔王様!?もはやその次元だったのですね!!足を引っ張ることがないなんてそんなもんじゃないですよ!!」
「お、おう!」
「やってやりましょう私の魔王様!!明日はゴブリンどもなんてケチョンケチョンですよ!」
確かに、話を聞く限りの悪魔というのは強すぎる・・・・・・。そんなレベルならもしかして俺強いかもしれないぞ!
「よっしゃルファ!純粋な魔力かき集めるやつ教えてくれ!!さっさと覚えて、寝て、明日に備えるぞ!!」
「はいっ!仰せのままに!!」
これが転生したときに言われた強い感じってやつだろうか。なんにせよ、俺も戦える。明日かっこよく決めてやるんだ!!
本日も読んでいただきありがとうございました




