第0話 悪魔召喚!
よろしくお願いいたします!
「こ、これはっ!」
薄暗い洞穴の中、俺ことシュウが声をあげた。俺の持つ魔力は殆ど捧げた為、ふらつく体を叱咤し踏ん張る。
目の前の魔法陣から目を覆いたくなるような光が溢れている。
スっ、と光が吸い込まれるように消えた時、目の前に一人の少女がいた。
何も身につける物の無い、生まれたままの姿の彼女。純白の髪を腰まで伸ばし、金色の瞳で俺を見つめてくる。
やがて、俺に聞こえる声で言った。
「お初にお目にかかります。魔王様、私に名をお与え下さい」
「よし、お前の名はルファだ。よろしく頼む」
「よろしくお願いいたします」
俺は召喚前から考えていた名前を言い渡した。
そしてこの子、可愛いすぎる!
やっとだ、やっと召喚魔法を使えた。俺は右手を握りしめ高く掲げた。
「これで俺の生活に平穏がもたらされるのだ!」
これでクエストから安定した収入を得られる。ホームレス紛いなこの生活からもおさらばだ!
定住して美味しいご飯を毎日食べる。こんな幸せを手に入れたいっ!
右手を掲げたままの俺を見るルファはパチパチと手をたたいている。
間で苦しそうに揺れるのは二つの丘。大きすぎず、小さすぎずである二つの丘を見た俺は冷静さを取り戻す。
「と、とりあえず、服を着てくれ!?」
「申し訳ありません。今だ魔力が安定していない故、服を生み出すことは出来ません」
「おう、そ、そうか!分かったぞ、今持ってくる」
「いえっ、魔王様のお手を煩わせる事はありません!私は気にしません故、魔力の安定をお待ちくださいませ!」
・・・・・・気まづい。薄暗い場所で目の前に裸の美少女。反応しない男など居るはずが無いのだ。
勿論俺も例外でなく、この時間がなんと辛いことか。
何分たっただろうか。きっと五分程だろうが、俺には一日我慢した気分だ。もはやビンビン。ようやくルファは告げた。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません。今、服装を整えます」
彼女の周りを再び光が覆う。その後中から出てきたのは黒いドレスの様なものを纏ったルファの姿。
スカートにフリルは無く、長い脚元までスラリと伸びた形。
一見露出の少ないドレスでありながら、唯一開けた胸元は彼女のものを強調しており、より目立っている。
「・・・・・・可愛い」
俺は本音を漏らしてしまう。それだけ彼女は可愛くあり、美しくもあったのだ。
「勿体なきお言葉」
ルファは恥ずかしそうに顔を赤らめたが、直ぐに顔を改め、真面目な顔で話し始める。
「さて魔王様、この場は魔王城では無いようですが何かあったのでしょうか?」
「いや、ここは俺の部屋だ。特に何も無いぞ?」
もっとも、街の外、近くの洞穴で寝泊まりしているだけで正確に自分の部屋とは言えないが。
「では魔王様、他に配下の気配を感じませんが何かあったのでしょうか?」
「それはルファの召喚が初めてだからな。これから増えるかも知れないが、分からん」
俺、召喚魔法初めて成功したし、配下なんて夢のまた夢だ。
「・・・・・・失礼ながら魔王様、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「俺はシュウ。貴族でもなければ一流冒険者でもない。ただの冒険者だ。今はなっ!」
いずれ一流になってまともな定住地を手に入れると、そうも伝えた。
「・・・・・・・・・・・・」
しかしルファに反応はない。寧ろ考え込んでいるような、
あれ?俺、何かおかしな事言ったのかな?
「あ、そうだ。俺を魔王って呼んでるみたいだけど、全然違うぞ?俺とかちょー人間だし」
彼女の目が見開かれた。まるで得体の知れないものを見ているような目で俺を見ている。
尚、その顔も可愛らしい。
次第に彼女の顔が赤くなっていく。
いや、赤いだけじゃない。これはイケナイ顔になってるんじゃないか!?
俺がたじろいでると、恍惚の表情のままルファが話し始めた。
「そんなっ、魔王様でないのにこの私を召喚したと言うのですね」
「あ、あのルファさん?えーと、ごめんなさい!?」
「す・・・・・・す・・・・・・」
「す?はっ!直ぐに消えろと言うのですね!えぇ退出させていただきますから、どうか命だけは」
「・・・・・・・・・・・・」
「ルファさん?」
そして、彼女は叫んだ。
「凄すぎまずぅ!私の新たな魔王様。いえ、ご主人様と呼びましょうか!?魔王でないのに私を召喚するなんてなんて魔力の持ち主なのっ!」
なんて言うことだ。やはりいけない顔で体をよじらせ、遂には座り込んでしまった。
「ル、ルファ?」
「申し訳ございませんご主人様。私の無知故の御無礼をお許し下さいませ」
「分かった。とりあえず話をしよう。な?」
「承知しました」
あっという間に元の真剣な顔に戻ったルファと話を始める。
「──なるほど。ご主人様は普通の冒険者で、召喚魔法を使ったら私を召喚出来たと言うことですね?」
「そうだ。だから俺は魔王じゃないぞ。ついでにご主人様もやめようか」
ま、まぁ、悪い気分ではないな!
「いえ!自分で言うのもなんですが私は位の高い悪魔です。その私を召喚したとなれば、かなりの実力がありますよ!それこそ魔王に匹敵する程の!」
「そうか。・・・・・・ん?ルファ、今悪魔って」
「はい。私は大罪の一柱でもある悪魔ですから。実力には期待していただけると思います」
きっと今の俺は冷や汗でべっとりなのだろう。震える声でルファに聞いた。
「なぁ、悪魔って滅んだんじゃ?」
「ご主人様、いえ。魔王様が復活させたのです。
・・・・・・あぁ、凄すぎますぅ。尊すぎますぅ。」
ルファがまた危ない顔になっているが気にできない。
そういう事か。歴史上滅んだとされる悪魔を俺が召喚してしまったのか。
なら間違い無く・・・・・・
「俺、魔王じゃん」
「はい!魔王様、末永くよろしくお願いします」
少しドキッとするはずの言葉も今の俺には届かない。
お父さん。お母さん。聞いていますか?
俺、魔王になったよ
──魔王の復活。この事実は世界中に知れ渡るのだった。
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