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異端者との契約者

屋上での一件から数時間が過ぎ、俺は寮に戻ってきている。何をするわけでもなくただベットに腰掛けていた。


「あんまり関んねえ方がいいか」


フィラとの話を思い出しながら、これからの彼女との接し方を考えて、ベットに横になる。

もう今日は疲れたし寝よう。

そう思い目を閉じようとした時、目の前でいきなり「ポン!」という可笑しな音と共に何かが現れた。


「お久〜!レイ!」


現れたのは綺麗な金色の毛並みと、九つの尻尾を持つ小さな喋る狐だった。

俺は体を起こし、目の前の狐に向かいあった。


葛葉くずは……いきなり出てくんな」




葛葉


目の前の狐の名前であり、俺が契約によって手に入れた『妖怪ちから』だ。


契約という点からわかると思うが一般的な魔法使いからすれば神魔に当たるものである。しかし、神魔と妖怪は全く異なるものだ。




神魔の内、神や悪魔、天使は神界と呼ばれる所にいるらしく、この世界に存在するという者は基本的に居ないらしい。

契約の儀式の際に気に入った者に声をかけ、契約を行い、力を与えるのだ。

因みに精霊はこの世界にも存在しているが姿は見えず、人型のような者もいれば動物のようなのも居る。契約の仕方などは他の『神魔』と同じで、契約することで初めて姿が見えるようになる。


『妖怪』はこの世界に存在しており、個体数は少ないが種類は多く、精霊のように人や動物に似たものや、異形なものもいるらしい。しかしその殆どが人の世を避けて生活しているらしく、全くと言っていいほど姿を見ることは無い。そのため知っているものはほとんど居ない。

契約の仕方に関しては『神魔』とは逆にこちらから申し出て契約をする。そのため必ずしも契約できるとは限らない。


そう考えると俺が葛葉と契約できたのは運の要素が大きいな。




「ねぇねぇレイ?ここ家じゃないみたいだけど何処なの?」


唐突に葛葉に聞かれ、俺は思い出した。


「ああ、そういえばお前に言ってなかったのか」


俺はこの学園に来ることになった経緯簡単に説明した。すると葛葉は不思議そうな顔をしてきた。


「なんだよその顔?」


「ん〜。まぁ私が精霊ごときと一緒にされるなんて納得いかないし、他にも色々言いたいことはあるけれど、それはいいとして……レイって強くなるためにここに来たって言ったわよね?」


「ああ、サーシャさんは楽しんでこいなんて言ってたけど、まだ俺は弱いからな。あの人に追いつくためにも強くならないと」


「……そう。多分言っても意味がないからいいわ」


俺の言葉を聞いた葛葉は、呆れたような顔をしながら何か呟いていたがどんな事を言っているかは聞こえなかった。


「さて、もう疲れたし今日は寝る。お前もとっとと帰れ」


再びベットに横になり、俺は目を閉じる。

すると胸元あたりに何かが乗っかかるような感じがした。


「おい……葛葉」


「だって最近会ってなかったし、ちょとくらいいいじゃない」


「邪魔だ……」


「ひど〜い!昔はあんなに『葛葉さん、葛葉さん』ってくっついてたのに!

どうしてこんなに変わってしまったの?

優しかったあなたはどこへ行ったの?」


葛葉はコロコロと笑いながら話してくる。

納得いかねぇ。


「くっついてねぇし、変わった原因はほぼお前とサーシャさんだからな?」


ずぼらなサーシャさんとうっとしい葛葉。この二人と一緒に居たらむしろ色々変わって当然だろ。


「ハァ……とりあえずもう寝るから帰れ」


胸の上にいる葛葉を放り投げ、寝返りを打つ。その後、葛葉がブーブーと何か言っていたが、無駄だとわかると「じゃあねレイ!」と帰っていった。


やっと静かになったし寝るか。おやすみ。


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