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嵌められた首輪に繋ぐ鎖が、軽やかでいて重みを帯びた音を出す。

ジャラジャラ、そしてカラン。

骨が浮き出た手首にも、枷が嵌り、足首にも同様に錆が入った枷が嵌っていた。逃げられないように全ての鎖が一つに繋がっていて、一糸纏わぬ姿だ。

一応商品なので体に傷こそつけられていないが、奴隷商の気分次第では暴力もある。

何人もの、生きるのに絶望した奴隷が押し込められた狭い檻の中、上を向いてまん丸の月を眺めて、芦毛は明日が来てしまうんだなと、ぼんやりとそんなことを思った。

幼い頃に両親に金と引き換えに売られて、10歳になった今まで檻の中が芦毛の居場所だった。

けれど、ガリガリに痩せ細った体躯、歳の割に幼さを残した見目、髪は芦毛で茶色の瞳、雀斑が浮いた頬をした特になんの特徴もない平凡だった顔の芦毛は、誰にも買われることもなく檻の中で一日を過ごした。

けれど、もうこの命も終わるらしい。

昨日、店の主人が「お前、もう要らん。今日買い手が無かったら明日殺すからな」と言われていた。

命令は絶対。逃げることは出来ない。まるで家畜だった。

役に立たないモノは容赦なく捨てられて殺される。タダ飯喰いの奴隷など生かしておいても無意味だ。

奴隷の世界ではそれが当たり前。

芦毛が生きてきた中で、数えきれない少年少女達が奴隷商の主人に殺された。

あとは、暴力を振るわれて傷を悪化させ、そのまま死んだ者もいる。

運良く買われた者は、生き延びれば幸運、飽きれれば不運。

残酷な世界だった。

その残酷な世界の中、10年も生きられた芦毛は運が良かった。

死んだら、美味しいものを食べてみて、ふかふかの布団で一度でいいから眠ってみたいなと、そんな願わない事を考えて芦毛はもう見ることのない月を眺めながら微笑んで、人生の幕を閉じようとしていた。

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