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僕が遺体を探してスコップで穴を開けていると、聞き覚えのある声が背中にぶつかった。頼人……とつぶやいた。「いたのか」
「ああ、いたよ」
相変わらずのふわふわとした声で答える頼人とは対照的に僕たちの顔は今日の空みたいにどんよりと曇っていた。
タイミング悪く、そのとき僕は掘り当ててしまったのだ、遺体を。
しかし頼人は遺体には目もくれず、「登山ですか? 奇遇ですね」などと登山について圭吾と話し始めた。僕はしばらくしていらだちを隠せなくなってきた。
なんで、僕はこんな思いをしてるんだ――。
その時圭吾が僕に目配せした。
「今の内、ブツを運び出せ」——。
目配せを、僕はそんな意味だと解釈して、登山道を、ゆっくり歩き始めた。頼人は話に夢中で僕のことを見もしなかった。
ある意味僕は遺体と一緒だな――僕が持っている遺体に、ほのかにあたたかみが宿った。




