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「危なかったな」
圭吾に言われ、僕は「うん」と肯定した。いつもの庶民のイタリアンの有名チェーン店。圭吾はいつものペペロンチーノ、僕はペンネ・アラビアータ。ちょっとかっこつけた。唐辛子を間違えて食べてしまい、僕はむせた。
いちおう、今は助かってはいるが、あと数時間か数日すれば、間も無く裁判が始まるだろう。どうしよう。そこに、頼人がやってくる。動揺を隠して、僕がいう。
「なんだ」
「知ってるんです」
「え?」
思わず僕はドリンクをこぼす。あそこと言ったら、ドリンクバーのドリンクまぜまぜではないか。白ぶどうドリンクと赤ぶどうドリンクを混ぜて、未成年が飲むようなワインもどきをちびちびとやっていたところだった。
「僕、誰が投稿したか、知ってるんです。逃げてください」
間もなく事情は理解した。なるほど。頼人は知っていたらしい。僕たちが、何をしでかしてしまったのか、を。
「だから、逃げてください」
「わかった。失礼する」
いつになく圭吾も慌てている。僕たちは一万円札を一枚置いた。ああ、今ので何円損失しただろう?
間も無く頼人もペンネを完食した。圭吾はすでにペペロンチーノを完食していたし、僕のペンネも残り3本くらいだったのだ。
「お釣りです、七千円!」
ああ、神様とはこの人のことか、と直感的に察した。




