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魔女は竜と謳う  作者: Fe
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第五十七楽章 再会した親友

さて、幾らパーティを組んだとはいえ何も情報を得ていないダンジョンにいきなり乗り込むのは素人である。何はなくともまずは情報収集が先決だが、相手は荒くれ者の冒険者。流石に世慣れしていない小春や粗野な男との会話に慣れていない(貴族階級のお坊ちゃまと比べれば、アルベルトや聖四郎も十分粗野の範疇だが)セーラに任せる訳にも行かず、彼女達には町の宿で待っていて貰い情報収集はアルベルトと聖四郎と元信の3人で行う事にしていた。最初は忠勝も参加しようとしたが、言葉を話せない彼では会話が成立しないばかりか相手の冒険者がガチ泣きしながらダンジョンで手に入れたアイテムと換金して得た金を渡そうとしてきたので、やむなく不参加と相成った。


「まあ忠勝の図体でいきなり迫られたら、そりゃあカツアゲかなんかと思うわな」


「忠勝殿も好きで大きくなった訳ではないと思うでござるが……」


下手なサイクロプスやオーガのような巨人種よりも巨大なのだ。それでも侵入可能な辺り、どれだけ頑張ってダンジョンを作ったのかとアルベルトは内心ルキナに呆れていた。


「まあ流石にルキナがスコップ持って穴掘り返した訳じゃないだろうがな」


「……想像すると和むでござる」


微妙に寒気を感じ、アルベルトは少し休憩も兼ねて酒場へと向かう事にした。未成年の彼等では酒を飲む事は出来ないが、酔って口の軽くなった冒険者もいる為何気に情報収集には欠かせない場でもあるのだ。闇雲に聞いて回らなくとも、ダンジョンでの成果を声高に自慢する者もいる為立ち聞きするだけでも意外に収穫があったりもするのだし。


「こんちはーっと……おわっ!?」


「てめーら!今日の飯は俺の奢りだ!好きなだけ食いやがれ!」


『うおおおおおおおおおお!!アニキィィィィィィィィィィィ!!!!』


扉を開けた途端にとんでもない大声が轟き、流石のアルベルトも思わずよろめいた。


「良い返事だ!お前等、今日の戦果と冒険譚聞きたいか!?」


『聞きたいに決まってるだろアニキィィィィィィィィィ!!!!!』


「良いだろう。なら聞かせてやるぜ、このカイル・バスカークの血沸き肉躍る冒険の物語をな!」


(か、カイル・バスカークだと!?)


その名はアルベルトにとって余りにも懐かしく、そして彼に罪を突きつける名前。かつてアルベルトにとって憧れであった商人の娘、その弟であり親友でもあったのだから。


「……って、お?」


気配に気付いたのか、カイルが振り返った。あの頃と変わらない銀髪とあの頃は着けていなかった左目の眼帯、そして傍らには一抱えもある銛と錨がテーブルに立てかけられていた。


「どうした兄ちゃん?あんたも俺の武勇伝が聞きたいのか?」


「え、あ……ああ。あんた、カイルだよな?」


要領を得ない答えに、カイルの表情も怪訝そうなものになる。


「カイル、俺だ……サザンのアルベルトだ!」


「サザンの……?ああああああああああ!!お前生きてやがったのかあああああああ!!」


ひゃっほう!と叫びながらカイルはアルベルトを逃がさないとばかりに肩を組む。


「マジで心配したんだぜ!?親父と姉貴がサザン方面に行商に出てあの騒ぎだろ?多分お前も生きてないって思ってたけどさぁ」


「あ、アニキ?お知り合いですかい?」


「知り合いも何もマブダチだ!まあ彼是10年くらい会ってなかったけどな。つか生きてるとも思ってなかった」


「まあ、その辺は色々と悪運があってな。それで1つ俺はカイルに裁定を仰がないとならない事がある」


呆気に取られている聖四郎を紹介しつつ、アルベルトはカイルの向かい側に腰を下ろした。


「聞いてくれるか?俺が10年前に引き起こした惨劇の話を」


「あ、ああ。お前がそんな改まるって事は相当なんだろうしな……」


アルベルトの分も飲み物(未成年なのでジュースだが)を注文し、カイルは真剣な顔で座り直した。









話が終わった時には、日も西に落ちかけていた。カイルの子分なのか仲間なのかよく分からない集団を含め、聖四郎も完全に御通夜状態である。


「……だから、あの人を殺したのは俺なんだ。だからカイルは俺を憎む権利がある」


「あのなぁ……」


カイルはがしがしと頭をかきながらアルベルトの前に立った。


「まあそうだな、ケジメは必要だよな!」


「ぐがっ!?」


全力で頬に拳が叩きこまれ、アルベルトは椅子から吹っ飛ばされて床に倒れた。


「あ、アルベルト殿大丈夫でござるか!?」


「大丈夫だ……これくらい……!」


セーラがいなくてよかったと心底思う。確実に斬り合いになるからだ。


「お前が俺の姉貴を殺した、そりゃ確かに事実だろう」


カイルはアルベルトに手を差し伸べて言った。


「でもな、お前が俺のマブダチだってのも事実なんだよ。姉貴の事はさっきの一発で全部帳消しだ、それで俺は終わりにする」


「カイル……ありがとうな」


「良いって事よ。さ、辛気臭い話はこれで終いにして飯にしようぜ?折角だし俺のほうも積もる話があるしさ」


アルベルトを助け起こしながらカイルは笑う。アルベルトはどうした物かと迷っている聖四郎に目をやった。


「なら俺の仲間も連れて来て良いか?聖四郎だけじゃなくて皆」


「いいぜ!アルのダチは俺のダチだ」


「ありがとう。じゃあ早速呼んで来るよ」


しかしカイルはすぐさま知る事となる。アルベルトの言う仲間の大半が女性だという事を。










「おかしいだろ!何だよこの男女比!?ハーレムか!」


「まあ当たらずも遠からず、なのかこれ?」


「お前が分かってないんかい!」


小春達を見てカイルは思わず叫んでいた。殆どがむさ苦しい男達と生活しているカイルからすれば羨ましいどころではない。


「そうだな……皆大切なのは確かだけど、それが恋愛感情だとかと言われると自分でもちょっと分からないんだ」


「あー、まあそういう事なら分からんでも……ってお前等はもう少し行儀良くしやがれ!」


『へいアニキ!』


何とかお近づきになろうとする子分達を一喝しつつ、カイルはアルベルトのグラスに新しくジュースを注いだ。


「にしても、学校の課題で迷宮攻略ねぇ……俺はそういうの関係なしで生きてるからなぁ」


「今まで何やってたんだ?」


「親父と姉貴が死んで商売どころじゃなくなってな。お袋と妹や弟食わせる為に、しょうがないから海賊稼業おっ初めてよ」


「何でそうなった」


思わず呆れると、カイルは肩を竦めた。


「《西国》のヒューゴが結構裏で汚い商売やってるのは知ってたからな。だったらそいつからかっぱらえば良くね?と思ってやったんだが、まあ思いの外上手く行ったまではよかった。でも人様のモンかっぱらってこさえた金で食い物買っても、お袋が全然受け取ってくれなくてな。だったら魔物退治や宝探しならどうかと思ってこっちに鞍替えしたって訳だ」


「お前も苦労してたんだな……」


「なぁに。国ぶっ建てて魔王や国を相手にドンパチやってるよりはよっぽど気楽だ」


違いないと笑い、アルベルトとカイルはもう一度乾杯した。


「しかしなぁ、アル。お前自分がどれだけ恵まれてるか分かってるか?」


「どれだけって、まあ相当?」


「当たり前だろうが!東の巫女に北の錬金術師、中央の姫騎士さんにエルフにドワーフにリザードマンだぞ?」


この上魔王とも良い関係を築いていると言ったら、この気の良い親友はどういう顔をするのか。少しだけアルベルトは見てみたくなった。


「まあ、縁は多かれども……ってな。問題は俺達の力でこの迷宮をどう突破したもんか、ってところだ」


「だったら丁度良い。明日にでも冒険者ギルドに登録しておけ」


カイルの提案にアルベルトは少し眉を上げた。


「詳しい話は明日そのギルドで話す。今は野暮よりも久々に会ったダチと腹一杯食って喋りたいって所だ」


「やれやれ。相変わらずだな」


肩を竦めると、カイルは笑ってジョッキを掲げた。










翌朝。アルベルトが仲間と共に言われた場所へ行くと、カイルは約束通りそこで待っていた。


「よう。じゃあ早速登録と行くか」


「待て。俺はそもそもその冒険者ギルドが何なのかさっぱり分かってないんだが?」


「ああそっか。まあ簡単に言えば、此処で登録するとダンジョンの中にいる魔物を倒した数と種類をカウントしてくれるようになってな。そのデータに応じて賞金を払ってくれる施設なんだ。それ以外にもこの町でギルドに加盟している店で割引サービスが受けられたりとか、色々有利なんだよ」


「なるほどな。より冒険者達が効率よくダンジョンを攻略出来るようにする施設な訳だ」


「そういう事」


因みに魔物と魔族というのは以前ルキナに訊ねたところ、かなり明確なラインが引かれているらしい。彼女達の中で魔族と定義されるのは『一定の文化・モラルを持ち、他種族との交流を行える程度の知能を持つ魔物』を指し、魔物とは『本能の赴くままに行動する知性を持たない生物』を指している。例えばスライムやキラービーといった存在は魔物と定義され、ゴブリンやオークにサキュバスといった種族は魔族と定義されるという具合であった。今まではアルベルトも全部一緒くたに魔物と扱っていたが、今後は改めないとまずいだろう。


「じゃあ早速登録してくるか。全員のほうが良いか?」


「だろうな。まあ全員腕は立つみたいだし、大丈夫だろ」


一瞬セーラなんかはその立場上拙い事になるか……というアルベルトの心配は完全に杞憂(ギルドは実力主義で、一定の実力さえあれば貴族だろうが浮浪者だろうが海賊だろうが問題ないらしい)に終わった。


「よし、全員装備は1番良いのにしたか?」


「無論でござる」


「アイテム持ったか?」


「ポーションに毒消し、携帯食糧と緊急用のボムも準備万端だよ」


ケーナが出かけにミスティから渡された新兵器を取り出した。これはバリケードを破壊したり、敵の数が多過ぎる場合に纏めて一掃する為の魔導爆弾であった。


「では早速、出発!」


『おおーーーーーっ!』


「野郎共!俺達もアル達に負けず、一気に進むぜ!」


『もちろんさアニキィィィィィィィーーーーーーー!!!』


それぞれのパーティに分かれ、アルベルト達は一路ダンジョンを目指して歩き始めた。









「あれ、何の集団だ?」


ダンジョンの入り口に差し掛かる寸前、ちょっとした軍隊のような集団が遺跡に向かっていた。


「あー……ありゃ死んだかもな」


「は!?」


カイルのとんでもない一言にアルベルト達は凍りついた。


「いや、あのダンジョンには独特のルールがあるらしくてな。単独とか少数で行くとやたら魔物が大量に湧いてきて、逆に大所帯で入ると今度は無茶苦茶強い魔物がドカーッと出て来るようになってるみたいなんだよ。俺達も色々試した結果、最良なのがそこそこ実力が伯仲してるメンツが4人前後。このくらいが割りとスリルのある戦いを楽しみながら進めるんだ」


「なるほど。そういう意味では俺達は丁度良かったな」


「うん、何だかケーナもわくわくしてきた」


「私には踊らせる胸がないですが、それでも戦意は滾っております」


珍しくケーナが楽しそうに槍を準備運動の如く振るい、リリィも《アバリス改》を磨きながら不敵に笑う。セルヴィはそんな彼女達を微笑ましそうに見守りながら、弓の弦をそっと爪弾いた。


「じゃあ俺達は此処から別行動だ。頑張れよアル」


「カイルもな。色々助かった」


仲間と共にダンジョンへ入って行くカイルを見送り、アルベルト達も足を踏み入れた。









考えてみれば、このメンバーで行動するというのは始めてだったとアルベルトは今更ながらに思っていた。


「とはいえ、意外っちゃアレだが結構やり易いな!」


「そうですね。私も非常に援護し易いです」


向かってくる狼型の魔物を次々とリリィが掃射で動きを止め、ケーナの魔法とセルヴィの弓で纏めて消し飛ばす。それを掻い潜って迫る個体をアルベルトが《エクスピアティオ》と《レーヴァテイン》の二刀流で全て斬り伏せた。


「デッドリーウルフ5体、スライム7体の討伐データを記録と……」


「どうします?もう少しこのフロアを探索するか、それとも先へ進むか」


セルヴィの質問にアルベルトはしばし考え込む。


「そうだな、実はちょっと好奇心に勝てそうもない」


「だと思いました」


階段を見つけ、アルベルト達は奥へと進む。地下1階は遺跡の様だったが、2階はどうやって作ったのか植物の蔦が壁や床を構成する不可思議な空間となっていた。


「他の皆はどうしてるかな……っと」


ある程度進んでから周囲を見渡すと、元信達のチームが危なげなく魔物を仕留めている所だった。


「あれは……」


吉宗が巨大なゴーレムを前に臆する事無く剣を構える。一瞬の静寂の後、その左肩から右腰までを一刀で両断していた。


「どうしたのアル?」


「いや、あの剣に辿り着きたいって思っただけだ」


ケーナは納得したようだったが、リリィは怪訝そうに眉を顰めた。


「随分と小さいですね?やるなら追い越しましょうよ」


「そりゃいずれはな。でもその前に追いつかないと追い越す以前の問題だろう」


そう言いながらアルベルトは、吉宗がどの様に剣を振るうのかをしばらく見学していた。その時だった。


「おわっと!」


轟音と共に床が揺れ、階下で激しい戦闘が行われているらしい事が把握出来た。


「どうしますか?」


「行って見よう。小春達じゃなかったとしても、死なれたら寝覚めが悪い」


嫌な予感。それがアルベルトを突き動かし、4人は地下3階へ向かう階段を探して走り出した。









時間を少し巻き戻す。セーラ達の班は一足早く地下3階へ突入し、魔物を討伐しながら宝探しに勤しんでいた。


「セーラ様!」


「げ……」


どたどたと足音が聞こえ、ダンジョンに入る前に見た一団がこちらに走って来た。


「な、何!?」


「慌てないでコハル。一応顔見知りだから」


先頭に立っていたのは、一言で言えば典型的な貴族のドラ息子という雰囲気の少年だった。


「……確かテスタメン家のフィブルでしたっけ?」


「そうです!覚えて頂けてボクは忘我の喜びです!」


そりゃあれだけやかましく付き纏えば嫌でも覚えるわ。内心でそうぼやきながらセーラは自分の手を握ろうとするフィブルの手をさり気無く避けた。


「それで貴方が此処にいるという事は、ダンジョン攻略が目当てとは思うけど……何この人数?」


総勢30人程の傭兵団。ダンジョンの法則を知らない事を加味しても余りに馬鹿げた人数だと言わざるを得なかった。


「このボクがこうして魔物討伐に来るのですから、この程度の戦力は必要でしょう。彼等には十分な報酬を渡してありますし、何よりテスタメン家の剣となれる栄誉があるのですよ」


「……」


セーラは溜息をつきたくなる衝動を頑張って堪え、背後で苛立っているバレリアとマオを後ろ手で堪えるよう合図した。


「こうして出会えたのです。セーラ様、共に参りましょう。その様な下賎の輩など貴女と並ぶには相応しくない、このボクのような高貴な身分の者こそが」


反射的にセーラがフィブルを殴ろうとしたその瞬間、轟音と共に魔力が渦巻いた。


「な、何だぁ!?」


「っ!」


咄嗟に剣を抜いて構えると、フィブルは腰を抜かして後退りし始めた。バレリアとマオもそれぞれ身構える。


「コハル、強化お願い」


「分かったわ。何が来ると思う?」


「……この人数がひしめいてるのよ?禄でもないのが出て来るに決まってるわ」


その言葉が終わるか終わらない内に魔力は実体化し、大きさからして忠勝とほぼ互角の巨人が現れた。しかもその腕は6本、1番上の両腕には斧を持ち真ん中の腕には鉄槌、下は大楯を装備している。更に怒り・悲しみ・能面という三つの顔を同時に持つ魔人であった。


「流石にこれは予想外過ぎるわね」


《アスカロン》を構えて一歩前に出ると、魔人もセーラを敵と見定めたのかゆっくりと武器を振り被った。


「はあっ!」


小春の強化魔法が全身を包むと同時にセーラは跳躍する。自分でも筋力強化の魔法を発動しながら右肩目掛けて剣を振り下ろすと、一瞬の手応えと共に1番上の右腕が落ちた。


「セーラ左!」


「!?」


小春の声に咄嗟に飛ぶと、さっきまでセーラがいた場所が鉄槌で砕かれる。もう1体いたらしい。


(違う、4体か……)


1体だけでも厄介な魔人が4体。どうしたものかとセーラは思考を巡らせる。その横をマオとバレリアが走り抜け、時間稼ぎとして戦い始めた。


「せ、セーラ様!早く逃げましょう!!此処はボクの傭兵団とセーラ様の従者に任せれば」


「待って。誰が私の従者ですって?」


親友を従者扱いされた事に流石のセーラも頭に血が上る。その隙を突くように4体目が振り下ろした鉄槌がセーラを捉えようとしたその瞬間、咆哮と共にサラマンダーが体当たりでそれを押し返した。


「サラマンダー!?じゃあ、アル!」


「待たせたなセーラ!」


体勢を立て直した魔人の目に次々とセルヴィが矢を撃ち込み動きを止める。その無防備な腹をリリィの砲撃が貫いた。


「これがケーナの全力だよ!アルス・マグナ!!」


ケーナの膨大な魔力が直接殺傷力へと変わり、傷を修復しようとしていた4体目の魔人を一瞬で焼き尽くした。


「ごめんなさいアル。貴方の手を煩わせていては騎士失格ね」


「気にするな。たまには俺にもお前を守らせろ」


とくんと高鳴る胸を意識しつつ、セーラは幸せな気分で微笑んだ。


「傭兵団の人間は一旦下がれ!此処は俺達、《逆十字聖騎士団》が引き受けた!!」


2体目と3体目に蹂躙されかかっていた傭兵団は慌てて後退し、その代わりに追いついてきた忠勝達が前に出る。


「アル、他の敵は私が!」


戦闘に気付いたのか、徐々に雑魚とも思えない魔物が集まり始めたのに気付いてセーラは剣を構え直した。


「コハル。貴女の手も借りて良いかしら?」


「構わないわ。やりましょう!」


セーラは小春と肩を並べて魔物の群れへ躍り込む。何気にセーラと小春は戦闘だと良いパートナー関係を築いているのだ。


「ところでセーラ。あっちの奴はどうするんだ?」


「……セイシロウ達に守らせておいて」


本音を言えばもう会いたくない相手だが(小春達を従者扱いしたり傭兵を捨て駒扱いしたりとセーラはかなり神経を逆撫でされている)、だからと言ってフィブルを見捨てては自分がアルベルトの理想を踏み躙る事になる。セーラはそう考えていた。


「よーし、そうと決まれば遠慮は無しだ。皆行くぞ!!」


『了解!!』


結局何時ものメンバーで暴れている事に苦笑しつつ、アルベルトは二刀流で敵目掛けて飛び込んだ。














「何なんだ……」


傭兵団や聖四郎達に守られながら、フィブルは歯噛みしていた。


「誰なんだお前は。何でセーラ様を呼び捨てにしている?何でそんなに強い?何で……そんなに人が集まる?」


その理由と答えを彼が知るのはもう少し後の事である。











             続く

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