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「満月の夜、僕は学校で一番の美少女に拳銃を突き付けられた。~クラスで隣の席に座るアノ子は、超絶凄腕エージェント~」  作者: GOM
第2部 ボーイ・ファイト・ウイズ・ガンガール

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第29話(累計 第76話) 日常の大切な日々。僕とアーシャちゃんのデートその一。

「マモルくん。わたし何処か変なところ来ないかしら?」


「アーシャちゃん! 可愛い!」


 僕の前で、くるりと回って見せるアーシャちゃん。

 はにかみながら、僕に自分の姿がオカシくないかを無いのか聞いてくる。


「もー、おにーちゃんってば、もっとお姉ちゃんを褒めてあげてよ」

「そうよねぇ。オンナノコはカレシの評価はずっと気になるものだから。ね、パパ」

「……ママ。いつまで俺が失敗したことを言うのかなぁ。マモル、がんばれ!」


 そして、僕が可愛いとしか評しない事にチェックを入れる家族たち。

 一体、どっちが自分達の子供なのか疑いたくならないでも無いが、それだけアーシャちゃんの事を大事に思ってくれているのは、とても嬉しい。


「お義父さま、お義母様、それにミワちゃん。マモルくんを責めちゃダメなの。不器用なんだけど、わたしの背中を任せられるマモルくんには、これ以上を望まないんだから。ね、マモルくん」


「ごめんね、アーシャちゃん。もう少しキミを褒める言葉を言えたらいいんだけど。こういうの、ユウマくんが得意だったりするんだ。一体、何処で女の子の扱いを覚えたのやら」


 もうすぐクリスマス前の休日。

 まだミハイルの足取りや彼が何を狙っているのかは分かっていない。

 しかし、いつまでも神経を張りつめていてもダメだと係長、いや父さんからの職務命令で今日は強制休日。

 僕とアーシャちゃんでゆっくり遊んで来いと「おこずかい」まで二人分貰った。


「おにーちゃん。こんな時に他のオトコノコの名前を出すのはダメだよ? もー、ダメダメなんだからぁ。ホントならわたしもおねーちゃんと一緒に遊びに行きたいのに、態々おにーちゃんに譲ってあげたのよ?」


「……はい。ダメ男でごめんね、アーシャちゃん」

「ううん。こんなマモルくんだから、わたし大好きなの。では、行ってきます、お義父様、お義母様。ミワちゃん、お土産買ってくるね!」


「いってらっしゃい! 二人とも楽しんできてね」

「おにーちゃん、がんばれー!」


母さんと妹ミワの声援を背に僕らは玄関の扉を開く。

 そして、僕らのクリスマス前デートが開始された。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ホントにこんなとこで良かったの、アーシャちゃん?」


「うん! だって、中々行く機会なんて無かったんだもん」


 僕たちがまず向かったのは、スカイツリー。

 展望デッキに上って東京都の街並みを堪能した。


「マモルくん。あんなに家々が小さいの!」


「そうだね。あの一つ一つにも誰かの生活があるんだ。あ、あんなところに飛行船が飛んでるよ。ヘリウムが高価なのに、どうやって集めたんだろう? あれ、妙にカラスが多いね」


 今日のアーシャちゃんのファッション。

 白いダウンジャケット、淡い桃色な薄手のニットセーター、下はベージュのパンツ。

 長くて綺麗な黒髪を編み込んでリボンバレッタで止めている。


 ……ホントに可愛いなぁ。今日はカラーコンタクトも使ってないから、眼も綺麗な灰蒼。


 うっすら化粧もしているらしいが、僕には可愛さ爆発で眼を離せないというか、僕がじっと見ていて大丈夫かなんて思ってしまう。


「マモルくん。景色じゃなくてわたしの顔ばかり見て、どうしたの? せっかく高いお金払って展望に来てるのに?」


「だ、だって……。アーシャちゃんの方が綺麗なんだもん」


「ちょ、こんな処で変な事言わないでよぉ」


 僕の心の声がそのまま出てしまうと、アーシャちゃんは僕の服の裾を掴んだまま、赤面してしまった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 十分、空中パノラマを実感した後に赴いたのはスカイツリータウン内の「すみだ水族館」。


 ……確か、有名なアニメでもここが舞台になってたね。


「すっごいの! わたし、ペンギンさんを近くで見るのは初めてなの!」


 屋内プールで遊んでいるペンギンを見て、大はしゃぎしながらとても幼そうな笑みを浮かべるアーシャちゃん。

 その様子を見てて、僕は頬が緩んでしまうのを実感していた。


「えっと……。この子らはマゼランペンギンさんだね。へー、ココ生まれの子もいるんだ! そういえば、似た子にフンボルトペンギンさんなんかもいるんだったっけ?」


 僕は展示表示を横目で見ながら、アーシャちゃんの嬉しそうな笑顔を見ていた。


「ねぇねぇ、マモルくん。こんなにいるんだもん、一匹くらいお持ち帰りしても良いでしょ?」


「ダメだよ、アーシャちゃん。冗談だと思うけど、この子達はワシントン条約で保護されているから個人じゃ飼えないよ。昔は捕鯨船に乗り込んできて日本に連れてきちゃったこともあるそうだけどね」


「うー。可愛いんだもん。わたし、水族館や動物園で動物さんの御世話したいなぁ!」


 可愛い顔でダダをこねるアーシャちゃん。

 もし僕がアレクサンドルさんの立場なら、可愛い娘の為になんでも、それこそ国を相手にしたって戦っただろう。

 そして、今の僕もアーシャちゃんの為にどんな敵とも戦う覚悟はある。


「はいはい。じゃあ、後で売店でペンギンさんのぬいぐるみ買う?」

「うん!」


 まるで幼稚園の女の子みたいに眼をキラキラさせたアーシャちゃん。

 考えてみれば、幼少期から戦うことが当たり前。

 普通の暮らしを全く知らなかったアーシャちゃん。

 今、やっと失った時間を取り戻しているんだなって僕は気が付いた。


「じゃあ、他のところも見に行くよ」

「うん、マモルくん!」


 僕の腕に自分の腕を絡ませて、身体を密着させてくるアーシャちゃん。

 僕もアーシャちゃんの腰にそっと手を回し、共に水族館の中を進んだ。

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