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第27話(累計 第74話) 学院の闇その七:大きく動く事態! 事件の全貌が見え始めた。

「え、校長先生が自殺したって、父さん?」


「そうだ、マモル。昨晩、理事長室で首を吊ったらしい。残念だよ」


「あのふてぶてしい校長が自殺? 怪しいわねぇ」


 ……転入時に校長先生とは会ったけど、学院を自慢ばかりして偉そうにしてばかりだったものね。


 僕たちが襲撃されてからの翌々日。

 メールで今日は臨時休校という知らせが来ていたのだが、学院は大変な事になっているらしい。

 テレビではまだニュースにはなっていないものの、警察筋では大騒ぎ。

 父さん宛に速報が送られていて、僕とアーシャちゃんは急に動いた事態に酷く驚いた。


「父さん、詳細を教えてくれない? 僕、今回の事件は簡単じゃ無い気がするんだ」


「ああ、そうだな。じゃあ、二人とも。今から出勤して情報を集めよう!」


「ええ、お義父様」


 僕とアーシャちゃんは、父さんに連れられて第一機動強襲室第五係の事務所へ急ぎ向かった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「係長殿。学院事件の情報が、本庁から既に来てるでござるよ。(それがし)も沢山情報を入手して驚いているでござる」


「マモルはん。ウチもユウマはんから聞いてびっくりしてるんや!」


 事務所に来ると興奮気味のユウマくん、リナさんが居た。

 横では宗方(むなかた)真雪先生とソフィアさんが、呆れて途方に暮れている。


「まあまあ、落ち着いて。では、お互いに情報を纏めよう。というか、ユウマ。また勝手に覗き見したのか?」


「そこはまあ、良いでござろう、係長殿。某、情報を個人的に悪用した事が無いでござるよ。それこそ、某の矜持(きょうじ)でござる」


 そんなこんなで誤魔化するユウマくん。

 なるほど、それでソフィアさんが呆れ顔なのだ。


「ユウマくんはしょうがないわね。でも、違う筋からの情報を突き合わせれば正確さが増すの。係長、捜査会議を始めましょう」


「……分かった、アリサくん。とりあえず。ユウマの事はまた後にしよう。では、早速だが本庁からの情報を開示する。もちろん、他言無用だぞ?」


 父さん、いや係長はPCを起動し、情報開示を始めた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「学院って流行っているイメージだったのに経営が悪かったの?」


「そうでござる、アリサ殿。過去は政財界にスポーツ界などへ優秀な生徒を送っていたでござるが、最近は少子化に加え別事業への出資、財テクに失敗したでござる。不動産に手を出すなぞ、愚かでござろう」


 警察情報、及びユウマ君情報によれば最近の高天原(たかまがはら)月光学院は経営難の状況だったらしい。


「そこで新たに外部から理事及び資本が投入されたでござるが、薬物関連の噂が出たのが、それ以降でござる」


「ああ。警察でも最近までこの理事や資本について調べれていたんだが、分かったのが昨晩遅く。外資だったから足取りを掴むのに手間取った」


 どうやら外国からの資本と共に理事長が学院に来てから事件が怒った様だ。

 となると、その外資の正体が怪しい。


「父さん、いや係長。となりますと、その外資が本当の犯人では無いですか? あ、ま、まさか校長はその外資によって口封じを……」


「まさか、そんな事は……な。ん、ユウマどうした? 外資はEUの商社だったが別に怪しい事は……」


 ユウマくんの表情は硬く、顔色が青い。

 何か気が付いたのだろうか?


「係長殿。これは大変な事件でござる。某の情報と突き合わせた結果でござるが、『あの方』の仕業でござる。理事長らしき人物の写真を先程入手したでござるが、アリサ殿なら誰か分かるでござるな?」


「え? わたしが知っている人なの……!? み、ミーシャ、どうして!?」


 ユウマくんが見せてくれた隠し撮りというか、何処かの監視カメラ映像。

 そこには、学院に乗りつけた黒塗りの高級自動車から降りる細身の男性が映っていた。

 彼は銀髪の超絶美形少年なのが、荒い監視カメラ映像越しにも分かる。


 ……スラヴ系に見える美少年だね。あれ? ミーシャって最近聞いた覚えが……。あ!


「ミーシャって?? まさか、『あの』ミハイルなの、ア―シャちゃん」


「そう。わたしが最後に見てから五年くらい経っているけど、髪の色も目元の感じも間違いないわ!」


 ミハイル・アントノーヴィチ・カミンスキー。

 アーシャちゃんの幼馴染にして凄腕のエージェント。

 そして僕とも戦った『あの方』の騎士。


 ……この優男がミハイルか。そういえば男娼もやってたって言ってたな。


 ミハイルの過去、それは悲惨なもので同情すべき点もある。

 しかし彼は、僕やアーシャちゃんの敵として立ちはだかる。

 皆の幸せを壊しに来るのなら、倒すべき敵だ。


「理事長が外資商社から派遣されてきたのは警察でも掴んでいたが、まさかこの少年が理事長なのか?」


「まだ仮定ではござるが、テロリストが学院に侵入していたのは事実でござるよ。更にミハイルの学院に来た時間と帰宅時間が重要なのでござる」


 ユウマくんが示すミハイルの入退去時間。

 そこに何の意味があるのだろうか?


「あ、校長の推定死亡時刻と重なる!」


「そうでござる、係長殿。それと、校長殿の死体検案書に気になる事項が書かれているでござる!」


 ユウマくんがPCを捜査して、とある書類が表示される。


「おい! ユウマ。これは何処から盗んできた!? カメラ映像もそうだ。お前は何をした!?」


「係長殿。(それがし)、事件解決の為には手段は選ばないでござるよ。どうせ近日中には警察内部には開示される情報でござるし」


「もう、ユウマくんは何でもありすぎだよ。米軍の時もそうだったけど、何処からハッキングしてきたのやら」


 父さんが掴みかかる様にユウマくんに怒るが、それもしょうがない。

 本来、僕らが見ても良い書類では無いからだ。


 ユウマくんが取り出してきた書類、死体検案書。

 それは警察内の検視官が異常死をしたご遺体を調査した際に書かれるもの。

 検案書の段階で犯罪性が考えられる場合、司法解剖が行われると父さんに昔聞いたことがある。


 ……最近はCTやMRIを使った(オートプシー)(イメージング)で死亡原因を調べる事も多いんだってね。


「お義父様! これは自殺では無い、他殺ですの!」


「なんだ、アリサくん……? ああ、そ、そうか。ではミハイルが校長を殺したのか?」


「おそらくはでござるよ、係長殿。某が掴んだ情報を纏めたから見える事実でござる。早急にミハイルの指名手配を本庁に依頼するでござるよ」


「分かった! お前らは全員現状待機だ。それから、ユウマは後から存分に叱らせてもらう。お前はどれだけ危険を侵しているのか、親の立場から言わせてもらうぞ!」


 父さんは大急ぎで本庁に電話をし始める。

 またユウマくんに手伝ってもらい、捜査資料をメールしていた。


「マモルはん、一体どうなったんや? ウチ、分からんやん。先生はどないなん?」

「わたしもそうよ。大尉、分かりますか?」

「いいえ。わたしも他殺かどうかなんてのは、銃で撃たれたくらいしか分からないわ」


 急に騒ぎ出した状況に、事態が見えない僕、リナさん、雪野先生、ソフィアさんは首を傾げた。


「ユウマくん、教えてくれない? どうして校長が他殺だって分かったの?」

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