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第12話 何故か、お見合いモード! 柊さんの秘密が両親にバレる。

「硬くならなくても良いのよ? 別に取って食べたりしないからね、アリサちゃん?」


「そうだね、ママ。俺達は柊さんの話を少し聞きたいだけだから」


「おねーちゃん! アタシも、おねーちゃんのお話聞きたいなぁ」


 いつのまにか帰っていた父さんも加えて、ワクテカ状態の3人。

 歴戦の戦士であろう(ひいらぎ)さんでも、こんな「戦場」は中々あるまい。


 ……僕が逆の立場だったら、完全に固まっちゃうよ。


 「なんとかしてよぉ」という柊さんの視線。

 でも、どうにも出来ない僕は、ゴメンと頭を下げた。


「ふぅ。しょうがないですわね。お父様、お母様。この度はお招き頂きありがとう存じます。わたくし、いつも植杉くん、いえマモルくんには学校でも登下校中でもお世話になってます。今回は、事件からも守って頂き、嬉しく思っておりますわ」


 ひとつため息をついた柊さん。

 即「お嬢様」の仮面をかぶり、令嬢ばりに僕の両親に話しかけた。


 ……あ! 僕の事を初めて名前で呼んでくれた!


「いえいえ、ウチのマモル。臆病なのに妙な時は大胆なの。アリサちゃんくらい美人さんなら、無理やり押し倒すなんてことはしていない……様ね。二人とも顔真っ赤にしちゃって、可愛いわ」


「ママ。あんまり二人をイジメちゃだめだよ。柊さん、ウチのマモルの何処が良かったのかな? 俺が言うのもなんだけど、悪い物件じゃないと思うんだが?」


 すっかりお見合いモードの両親。

 柊さんに主導権を渡さないようにしているのじゃないかと、僕でも気が付いてしまう。


「マモルさんはとっても優しい方ですわ。わたくしだけでなく、困った方を見たら助けに行ってますの。わたくしも何回も助けて頂きました」


「なるほど。で、今回もアリサちゃんや小さな女の子を助ける為に無茶しちゃったのね、マモル」


「うん。そうなんだ、母さん。もう同じ様な事は無いと思うけど、次は心配させる様な事はしないよ」


 母さんはニコニコ顔で僕と柊さんを見ている。

 父さんも笑顔なのだが、何かそわそわしている感じがした。


 ……何かあるんだろうか、父さん。今日は非番のはずなのに、さっきまで家を出てたのは気になるけど?


「という事だけど、アリサちゃん。どう? 貴方の『仕事(・・)』を思うに色々とこれからもありそうだけど? マモル、貴方はアリサちゃんを守ってあげられるの?」


「ママ! いきなり何を言うんだ? この子に罪はないんだから。幼い女の子に過酷な汚れ仕事をさせている政府が悪いんだぞ?」


「え!? 父さん、母さん?」


 突然、両親が爆弾発言をする。

 僕は一瞬思考が止まってしまうが、柊さんが顔が真っ青になる。


「植杉くん、まさか貴方?」


「ううん。僕は誰にも柊さんの事は言っていないよ! 父さん、母さん! 一体どうして柊さんを責める様な事を言うの? 柊さんに酷い事を言うんだっから、僕は許さないよ!」


 柊さんは僕に問い詰めてくるけれども、僕は誰にも柊さんの秘密を話していない。

 どうして両親は、柊さんの「仕事」の事を知ってるのか?


 ……もしかして父さんが今日居なかったのは、警察関係者から話を聞いてきたの?


 いくら僕の事が心配でも、柊さんの事を責める様な事は両親でも許せない。


 ……個人プライバシーを侵害するなんて言語道断だよ!


 僕は、怒りの感情を両親に向けた。


「あ! ごめんなさいね、アリサちゃん、マモル。これはわたしが勝手に分かっちゃったことなの。パパは別に調べてたみたいだけどね。マモルは、何も言ってくれていないの、アリサちゃん。貴方の存在すら、この間の事件でやっと教えてくれたくらいだからね」


「俺も別に柊さんを責める為に調べた訳じゃないさ。署長が妙に柊さんの事を庇うし、あの子は良い子だから大事にしてあげてねって言うから気になって知り合いに聞いただけ。ウチのマモルには勿体ないくらい良い子だよ。だから勝手に調べた事は謝る。すまない、柊さん」


 両親、共に柊さんに平謝りをする。

 悪意があっての調査では無かった上に、柊さんの事を褒めるので僕は安堵した。


 ……署長さんったら、個人情報保護が出来ていないぞ? いくら宗方(むなかた)先生経由で国家公安委員会から通達があったからってね。


「わたし、アリサちゃんの事は大好きよ。だから貴方を責める気は全く無いの。それにマモルの事だから、貴方をほっておけないに違いないわ。どっちかというとマモルの答えが聞きたいの」


「ママ。まだ友達関係の二人に無理を言ったらダメだよ。ただな、マモル。覚悟はあるんだよな。じゃないと、ナイフ持った強盗と戦わないよ」


「うん。僕は柊さんが大好き。友達でも良いから柊さんと一緒に居たいんだ。そこが戦場になるかもしれないけど、柊さんの背中に寄り添うくらいにはなってみたいんだ」


 僕は両親に、柊さんと付き合う覚悟があるって宣言する。

 そこが戦場だろうと、僕は柊さんの小さな背中を守りたいからだ。


「植杉くん……」


 真っ青だった柊さんの白磁な顔、今度は朱に染まる。

 そして泣き顔が嬉しそうな笑顔へと変わった。


「おねーちゃん、良かったね。おにーちゃんもやるじゃん! プロポーズだよね、ずっと一緒に居たいって?」


「あ、そ、そういえば……。ご、ごめん。柊さんの事を考えずに僕の考えを押し付けてしまったよ」


 僕は、告白をしてしまった事に今更気が付いた。


「ううん、良いわ。植杉くん、いや、マモルくん。わたしも貴方の事は好き、友達から始めましょ。わたし、こ、恋人なんて良く分からないから……」


 朱に染まった柊さん。

 視線を少し僕から逸らしながらも、友達からと言ってくれた。

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