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wars world 自衛隊戦記  作者: ほわいと
23/24

森の中のエルフ4

結構長くなリ始めた・・・・

日本時間 午後16時15分 正門付近



「押さないでください!ゆっくり進んでください!ああ、君どうしたの?はぐれたのかい?一緒に探すから泣かないで・・・・」


正面の門に集まる住人に隊員たちは若干押され気味だった。

最初は避難誘導に難癖付けてきたエルフの屈強な男たちも今は人の波に呑まれ姿が見えない。


「これぐらいの大きさの鉄の棒を持った少年見ませんでしたか?確か、これぐらいの背だと思うんですが・・・知りませんか・・・すいません、ありがとうございました」


一方、真志達数名も小銃を持って行った少年の探索を行っているがいい成果はでない。


「シェリーどうだ?見つかったか?」

「いえ、全然だめよ。人が多すぎる」

「そうか・・・シェリーも避難誘導を手伝ってくれ」

「分かったわ」


彼女なら自衛隊よりもこの世界に馴染んでいるため避難誘導も少しは楽になるだろう。


「ダメだ!くそー」


こうもなぜ事態が悪化するのだろう。


「最近、こういう役目ばっか。なんでかなー?」


空に問いかけてみる。

もちろん答えは返ってこない。ケチな神様だ。

気晴らしに石ころを蹴っていると、無線が入った。


「こちら、真志。どうした?」

『隊長、少年の母親らしき人物を発見しました』

「場所は?」

「村長宅からそれほど離れていない場所にある一軒家ですが、分からないと思うので村長宅で合流しましょう」

「了解」


一旦、村長宅に戻り隊員と合流した後、その一軒家へと向かった。


「お話をよろしいですか?」


目の前の女性は頷くと目を逸らす。

どうしたというのだろう?


「その少年は、鉄の棒のような物を持っていませんでしたか?」


また、こくんと女性は頷く。

ようやく見つかった確かな情報に少しだけ真志は安心した。


「その少年はどこに?」

「分かりません・・・・ただ、裏門の方に走っていきました」



声が震えていた。


「あの・・何もしませんから安心してください」

「あの子を・・・追いかけて来たんですよね?」

「え、ええ、そうです」

「あの子を見逃してやってください。お願いします・・お願いします!私どもはお金がなく貧しい身です。ですから、どうか!どうか!ご勘弁ください・・・あの子を殺すというのならば私が身代わりになりますから・・お願い・・・お願い・・・」


やっと分かった。

彼女が目を合わせられなかった理由が。


「・・・・・大丈夫です」

「え?」

「我々は、そんなことしませんよ。殺したりしません。もちろん叱りますけどね。はははっ!」

「けど!何か、しなければ。私の息子はあなた方の大切な物をと、盗ったんですよ?」

「それでも、殺す理由にはなりません。そんな事で殺してたらあっと言う間に世界から人が消えますよ」

「ふ、ふふ」


初めて彼女は笑った。

少し、照れくさくなり思わず微笑んだ。



日本時間 17時20分 車両の中


一通りの避難誘導を終えた隊員達は車両に戻ってきていた。


「お疲れ様」


聞き込みに行っていた隊員が労いの言葉をかけても「ああ・・・・」と脱力し切った返事が返ってくるだけだった。


「おおよその範囲だとこの辺りだよな。広いな・・・・・・」


高機動車の運転席では得られた情報で真志を含めた数人が少年がいるという範囲を絞っている。


「どうですか、隊長?」


玲奈が運転席の後ろからひょっこり顔を出して質問してくる。


「ある程度はみんなの協力もあって絞り込めたけど・・・・なにせ、範囲が広い」


手元の地図を広げて玲奈に見せる。

それを見た途端、玲奈が驚きに目を見開いた。


「ええっ!?10キロ!そんな範囲だと隠れ場所なんていくらでもありますね」

「しかし子供の足となるともう少し範囲は狭くなると思います・・・よっと」


隊員が広げてある地図にさらに付け加える。


「うーん行けても4,5キロってとこでしょうか?」

「確か、グレイプニルってやつが蘇った洞窟もその範囲内だよな」

「そうです」

「そこに向かったってことは・・・・ないか?」


真志の思わぬ発言に隊員たちが、その可能性もあった!、という顔をした。


「行ってみるか」


   ◇


「我々はこれより、ここから5キロの地点にある洞窟に向かう!君たちも知るように洞窟内には未知の生命体がいると思われる十分用心しろ!!」


それからだけ言い終えるとつめていた息を吐きだした。


「永井!110mm個人携帯対戦車弾(パンツァーファウスト)か84㎜無反動(カールグスタフ )どっち持ってきてたっけ?」


呼ばれた永井はその後の間抜けな質問にずっこけそうになった。


「隊長・・・携行品のリストぐらい確認してください!」

「いやぁー昼食の時に確認しようと思ったんだけどね・・・・あんなことがあったから、ね?」

「ね?じゃないですよ!まったく・・・我々が携帯している重火器は念のための110mm個人携帯対戦車弾が各車両一発ずつですね。つまり、3発です・・・・他にも必要ですか?」


軽く圧力をかけてくる永井。

こうゆう永井には手出ししない方が賢明だ。


「い、いや十分だ。ああ、それと洞窟の探索は軽装甲機動車に乗れる人数だけでいい」


隊員達が同時に「え?」と言った。

驚くのも無理が無い、だって言ってなかったから。


「隊長、同行させてください」


すると、どよめく隊員達の中から一人出てくる。

印象からすると若い。

頭は刈り上げられ、顔にところどころ傷が伺える。厳しい訓練を耐え抜いてきた証しだ。瞳にも強い意志が宿り、それだけなら限界まで自分を高めようとする自分に厳しい自衛官だろう。


こちらを値踏みするような鋭い視線を除けばの話だが。



「君はたしか・・・藤掛2曹だったか?」

「はい、今日この部隊に配属されました。藤掛守(ふじかけまもる)二等陸曹であります!隊長、同行の許可を」


とくに断る理由もなかったため、真志は頷くことで許可した。


         ◇



その後、真志を含めた5人が軽装甲機動車に乗り込む。

玲奈、永井、藤掛、シェリーというメンツだ。

藤掛に運転を任せ、車内で軽いミーティングを開く。


「いいか、村長の話によると洞窟はほぼ一本道だ。まず、入ると細い通路がありその先に例のやつが封印されている大広間がある。少年はもうそこに達してしまっているだろう・・・・・」


思わず、最悪の想像を口にしてしまった。


「隊長、希望はあります」

「ああ、そうだな・・・・全員の装備だが、玲奈は89式を持って援護に徹せ、藤掛もだ」

「「了解」」

「永井は110mm個人携帯対戦車弾を持て・・・お前の事だから絶対外さないと思うが、くれぐれも気を付けてくれよ」

「了」


本来の偵察任務があるため、一発しか持ってきていないことも理由にあったが、もし外してしまった場合爆風によって洞窟が崩れる可能性があるためでもあった。

そんな事になればみんな仲良くあの世行きだ。絶対そんな死に方はしたくない。


「見えました」


ぱしっと自分の頬を叩く。


「全員、降車!」


ばたばたばたと一斉に車の外に飛び出し、全員が油断なく銃口を周囲に向け警戒する。


「周囲オールクリア異常ありません」

「了解、これより洞窟内に突入する!状況開始」


完全装備の自衛官達と中世の鎧を纏った騎士が装備を鳴らしながら洞窟に入っていく。


   ◇



その様子を洞窟の上から見ている人物がいた。


「自らの運命に従うですか抗うのですか、異世界の騎士?選択は・・・迫っていますよ」


背には翼が生えていた。



   ◇


「接敵前進」

「了っ」


洞窟は想像していたよりも広い。

狭いところでは89式は取り回し難い。そんな懸念があったが、この広さならば大丈夫そうだ。


「おかしいわね」

「どうした?」

「普通、これくらいの洞窟なら魔物が住み着いててもおかしくないのに。魔物どころか虫の一匹すらいないわ。それにこの傷」


言われてあたりを見回すとでかい爪痕が見える。

猫の引っ掻き傷の10倍はありそうだ。


「どんだけでかいんだ・・・・・」


他の3人も爪痕を見て絶句している様子を見ながら前を向くと大きな扉が見えた。


「全員、安全装置解除。永井、110mmのプローブを伸ばしとけ」


110mmは事前にプローブと呼ばれる弾頭の先につけた信管を伸ばし貫通力を上げる。別に伸ばさなくても榴弾として利用可能だが、相手がわからない状況では過剰と言われようとも威力が必要だった。

永井にゴーサインを出す。

すべるように中に入っていくと周囲に視線をめぐらせ、状況を確認していく。


「隊長、何かいます」


永井に言われ、目を凝らすと確かに何かいる。

だが、影のようにおぼろけではっきりとは確認できない。


「なぁ、ここでライトを使うのはなしだよな」

「当たり前でしょ。反応してこっちに向かってきたらどうするんですか」


それだと110㎜どころか小銃の照準すらままならない。

暗視装置も無理して頼むべきだったな、と心の中で愚痴る。


「・・・・仕方ない。ここでやつを撃破する。玲奈、ライトの使用を許可する。俺がスリーカウントで点灯させろ。永井、一撃で仕留めろ」


玲奈を呼び捨てにしたということは彼の゛本気゛のスイッチが入ったということだ。

玲奈は懐からライトを取り出し、彼の合図を待つ。永井は後ろにいたシェリーを安全なところに移動させてからおぼろけな影に照準を定めた。


「1・・2・・3!今だ!!」


彼女はライトのスイッチを入れる。辺りを支配していた闇は一瞬にして取り払われおぼろけな影の正体と゛もう一つのもの゛を浮かび上がらせた。

それを見た瞬間、全員が言葉を失った。


「これじゃぁ・・・・・」


玲奈が手で口を覆う。

彼らの目の前には、蜘蛛の巣のような白い物体が張り巡らされており、それはどれも粘液質に光っている。

そして、その゛巣゛とでも形容すればいいものの頂上には・・・・少年が一人囚われていた。気を失っているのか少年は目を閉じ、身動き一つしない。

問題はその場所だ。あの位置にいられてはこちらの最大火力が使えない。


「全員、小銃で攻撃しろ!やつをこっちに来させる」


だが、その戦略もこの狭い空間では良策とは言い難かった。広いと言っても下がれるスペースがあまりないため壁においやられる事になる。だが、取りえる戦術はこれ以外なかった。

真志は部下から借りた9㎜機関拳銃の槓桿を引くとタコのような生物に向けた。


下がれるスペースはない。

110㎜を使えば少年に爆風が届く恐れがあるため、使用厳禁。

小銃による攻撃も少年に当たらないように細心の注意が必要。


こちらには多くのペナルティが課せられる戦い。状況は極めて不利。

・・・・勝てるのか?

緊張を覆い隠すように鉄帽を被り直し、銃の引き金を彼は引いた。





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