森の中のエルフ5
かなり短縮してしまったのでいつか書き直そうと思います。
(これからは、話の終わりにENDを付けさせていただこうと思います)
ババババ!
空薬莢が宙を舞う。
発射された弾は全弾命中するが、着弾したところから怪物の体液らしきものが飛び散るだけで目の前の怪物は痛がる様子もなくこちらに少しずつ前進してくる。
「弾倉交換!」
仲間にカバーしてもらうため声を上げる。
慣れた手つきで永井は89式から弾倉を抜き、防弾チョッキ3型につけてある私物の弾入れの中にある弾倉と交換する。
・・・・あと少し!あと少しだけ前に出てくれ!
だが、彼の願いは届かず怪物は歩みを止めてしまう。
「なんだ?」
銃弾が少しずつだが効いてきたのか?それにしては、血があまりにも流れていない。
「永井!」
自分の名前呼んだ隊長のほうを振り向くと、こちらを指さしながら何かを言っていた。
「なんで・・・・・」
すか、と言葉を続けようとした。
その瞬間、体を衝撃が襲った。
・・・・・・・え?
状況が読み込めず、襲ってきた浮遊感に居心地の悪さを感じながら。
ドンッ!
永井は、地面に叩き付けられ意識を失った。
◇
「永井!!」
真志は彼の後ろから迫ってくる触手の存在を教えようとした。だが、時すでに遅く、彼は空中へと弾き飛ばされていた。
「玲奈!永井を連れて後方へ下がれ!」
落下の衝撃でか気を失っている永井を玲奈は引きずって下げていく。引きずっていく彼女を襲おうと触手が何本も伸びるがすべて真志と藤掛の援護射撃、シェリーの斬撃で叩き落されていく。
だが、どういう生命力をしているのだろうか。何本も何本も撃ち落とそうが切ろうが触手は生え変わり襲いかかってくる。
「くっ!!玲奈!パンツァーファウスト!」
永井が背中に背負っていた110㎜を手に取り、照準を定める。そこで彼女は一度照準器から目を離した。
「ですが隊長!この距離では!」
・・・・くそ、失念していた。
だが、このままではジリ貧。小銃も効かない、9㎜機関拳銃ではなおさらだ。考えろ、考えろ、考えろ。何をどうすればやつに決定的な打撃を与えられる?
コアを攻撃してください
それだ!
「全員、コアらしきものが見えないか!」
すると、全員から応答が来た。
「なにか光っているものが見えます」
「ちょっと!なんか動いてないあれ?」
よくグレイプニルの体を観察してみる。すると、光コブのようなものがやつの体から現れる。だが、一瞬のうちに消えてしまう。
「玲奈、あのクソ野郎を吹き飛ばせ!!」
「で、ですが!」
「かまわん!障害を今取り除いてくる・・・・藤掛、シェリー!援護頼んだ」
「「い、言われなくても」」
同じことを言う騎士と自衛官に心の中で苦笑いすると真志はグレイプニル、正確にはその後方に捕えられている少年に向けて走り出した。
弾切れが近い機関拳銃をその場に放り捨て、9㎜拳銃を抜く。
撃ちながら走る。
触手が襲ってくるが、後方の援護射撃とシェリーが囮になってくれるおかげでこちらに来た触手は一、二本程度しか来なかった。
゛巣゛の根元にあたる部分に来ると、真志はチョッキにぶら下げていた手榴弾を支柱にあたる部分に置き、ピンを抜いた。
爆風と破片を食らわないように伏せると同時に爆発する。倒れてくる゛巣゛からはバチンバチンとゴムが千切れるような音がする。
たまった埃が舞い上がりあたりを白く覆い隠す。
その中で真志は少年を必死に探した。
「げほっげほっ!」
せき込むような声を聞きその場に行くと、まだ幼さを残す少年がそこに倒れていた。
「大丈夫か!?」
呼びかけに少年はうっすらと目を開ける。
「お・・じ・・・ちゃん・・・だ・・・・れ?」
「大丈夫だ。そのまま寝ているんだ」
「あ・・・の・・・とき・・の・・・・・ひと?・・・さ・・が・・・し・・てる・・のは・・・あれ?」
少年がある方向を指した。
そこにあったのは、布にくるまれた89式小銃。「ありがとう」というと少年は静かに目を閉じた。
少年と89式を担ぎ、玲奈たちのところに戻る。
「隊長急いで!!」
・・・はっ馬鹿言うなよ。こちとら重い荷物抱えてるんだ。
幸い触手の攻撃は来なかった。
怪物は倒れた巣を呆然と見つめていた。
「玲奈、撃て」
あれほど抵抗していた怪物は110㎜個人対戦車弾が発射されても身動き一つ取らなかった。
あとに残ったのは、黒焦げた着弾地点と怪物が出した悲しい鳴き声の反響音だけだった。
◇
エルフたちの集落に帰った真志たちを出迎えたのは、感謝の嵐だった。
「コル!コルじゃないか!!」
気を失った少年を母親のもとに抱きかかえて連れて行くと、目に涙を溜め息子の帰りを喜んでいた。
一方、吹き飛ばされた永井は車両に帰って本格的に治療されたが、擦り傷以外は見当たらなかったそうだ。
「って痛!」
消毒に慣れていないシェリーは暴れて治療が大変だったそうだが。
「全員、乗車」
用は済んだ。迅速に任務に戻らねばならない。
3分も経たず、出発準備が整う。
「小隊前進!!」
彼らは集落を後にした。
◇
「ん・・・・」
あれ?ここは・・・・・
見慣れた自分の部屋だ。だが、なぜここにいるのだろう。確か洞窟に入って、それから・・・・・
「・・・・・あれ?」
その後が思い出せない。でも、
「誰かに助けてもらった気がする・・・・・・・・・・・・・・・・まぁいいや!」
誰かに聞けば分かるだろう。そう思い、階下にいるであろう母を呼んだ。
彼が、夕日の向こうに消えていく彼らに助けられたと知るのはまだ少し先の事になりそうだ。
◇
真志は、遠ざかっていく集落を見つめながらあることを考えていた。
コアを攻撃するよう言ったのは誰だろう。
戦いのさなか直接頭に響いてきたように感じた声をよく不審に感じなかったものである。
シェリーにしては、声が幼かった(十分彼女の声も幼いが)
玲奈?いやいやないだろう。
「・・・・・誰なんだろう」
「なにブツブツ言ってるのマサシ?」
しまった。どうやら口に出てしまっていたらしい。
「いや、なんでもないよ。独り言」
「そう、それならいいんだけど」
あの声は本当に誰だったのだろう・・・・・・・・
END
次回は、再び話が海自に戻ります。
陸自→海自→陸自→海自
って感じですね。




