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惑星サイダー  作者: あろ
地球と火星のお話
8/18

3.ずっと夢を見ていたいから

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火星side/過去Story


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高校入学して間もない頃。


様々な部活所属の上級生たちが、

新入生歓迎の名目で部員を募集し、


1年生たちに「うちの部に入らない?」

と、声を掛け勧誘している。



そんな中で1年の火星は、

愛用しているベースを肩にかけて歩き出す。





目指すは、軽音部へ―――。





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「こんにちは!入ってもいいですか?」




火星は軽音部の部室を見つけ、

中に人がいるのか確認するために声を掛ける。


返事が返ってこないので、ノックしてもう一度声を掛ける。


「あ~?いいよ~」


すると、気だるい感じの声が返ってきた。

返事が返ってきたので、勢いよく部室のドアを開けた。


「失礼します!」


ドアを開けると、3人の男たちが座っているのが見えた。



「なに、…入部希望?」



おそらく気だるい感じで最初に返事してくれた人だろう。

そう思いながら、問いかけに答える。


「はい!入部希望です。見学してもいいですか?」


「今、忙しいから後にしてくんない?」


最初に返事した人ではなく、

その隣にいた人が少し睨むようにして言った。



「そうなんですか!邪魔しちゃってごめんなさい」



申し訳ないと思い、深々と頭を下げる。



「別に忙しくないし、いいんじゃないの~。

 ケレス、下級生に意地悪してもなんも特になんないよ~」


「意地悪じゃねぇ…」



ニヤニヤしている先輩?にちょっかいをかけられた

ケレスと呼ばれた人は少しイラついているようだった。


「じゃあ、何~?カッコつけ?ダッサ~。

 …あ、俺はベスタね。よろしく~。」


「よろしくお願いします!」


自己紹介してくれたベスタが、

最初に気だるそうにしながらも返事してくれた人だった。


「で、この意地悪でダサくてしょうもないのが、ケレス。

 あとこの無口なのがパラスだよ~。」


「悪口で他人を紹介するな」



ケレスは、若干うんざりしながらベスタに話す。



「2人とも通常運転だから気にしないで~」



ベスタはそんなことはお構いなしといったように

ケレスを華麗にスルーし、さらに話しかけてくる。



「君は、なんて言うの~?」


「火星です!皆さんは2年生?ですか?」


「そう~、部員は今のところウチラだけ」



ベスタと2人で和やかに話していると、

ケレスはジッと火星を見て冷たく告げた。




「俺、女ならお断りだから」




話していた2人は、ケレスの言葉に一瞬フリーズした。


そして先ほどまでの和やかな雰囲気とは打って変わり

一気に部室内は気まずい空気になったが、


火星は、勇気を振り絞り口を開いた。




「あの…俺、男ですけど……」




確かに俺は、長髪に中性的な顔立ちで小柄なのもあり、

私服だとたまに間違われることもある。


しかし制服着用時はズボンを履いているので、

まさか、学園内で女に間違われるとは思わず、


驚きと気まずさに伏し目がちになる。


「…」


「…ぷっは!!!何それウケる~!!!!アハハ~!

 見たらわかるじゃん!!!!!バッカじゃねぇの~!!!!」


今度はケレスがフリーズし、

隣にいたベスタは大笑いしながら揶揄した。



ベスタの大きな笑い声で、ハッとしたケレスは

瞬時に火星を見て睨みつけて「紛らわしいんだよ!」と怒った。



「アッハハハ~おもろすぎ~」


「お前もうるせぇぞ!」


大笑いしているベスタにもケレスは怒るが、

笑いが止まらないようでカオス状態になっていた。



「え、えっと、紛らわしくてすみません?」



慌てて謝罪しながらも、

疑問を感じたのでケレスに問いかける。



「なんで女の子だと入部ダメなんですか?」


「…別に関係ないだろ」



理由を言わないケレスに、

ただ単に苦手なだけかな…?なんて考えていると、


笑いをどうにかして沈めたベスタが、

代わりに答えてくれる。



「あ~、ケレスはこんな性格だけど、

 意外とイケメンだしモテるから」


「なるほど…トラブルを避けるため、ですね」



(モテると、大変なんだなぁ)



後々聞くと、実はこれが全ての原因ではなく、

過去ケレスの歴代彼女たちが手に負えない人たちばかりで


色々振り回されて大変だったらしい。


そして次第に女性と関わると、

ろくなことがないと感じるようになり、


この時には近づいてくる異性を、

わざと遠ざけるようにしていたようだった。



「いちいち余計なこというな……」


「別にいいじゃん~」


そんなケレスの事情は多分知っていたと思われるが、

ニヤニヤしながらベスタは、冷やかしていた。




「確かに、ケレス先輩はカッコいいですもんね!」




そんなことは何も知らないので率直に思ったことを話すと、

ケレスは気まずそうにそっぽを向く。



「照れてやんの~」


「…うっせぇ」



ケレスとベスタのやり取りに、思わずクスッと笑ってしまう。



(やっぱり、この部活に入りたいな)



「ケレス先輩、ベスタ先輩。あと、パラス先輩も……」



声をかけられた先輩たちは、火星に視線を向ける。

3人を一通りみて、さらに続ける。



「俺、入部届け出してきます!


 なので、よろしくお願いします」



軽く会釈して、微笑んだ。



「…勝手にしろ」


「はい!」



ぶっきらぼうに答えるケレスに、明るく返事した。



(部活、楽しみだな…)



―――これが、俺と軽音部の先輩たちとの出会いだった。



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