3.生徒会と風紀委員会の関係性①
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水星side
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「暑っ…」
梅雨でジメジメしたこの季節。
授業が終わり、生徒会室に向かうのだが地味に教室から離れているため
廊下を歩くだけでも、汗で制服が肌に張り付く。
「ねぇ~…まだ梅雨明けてないのに、なぁんでこんな暑いの~…」
「俺が知るか…」
同じく生徒会室に向かうために合流した金星に聞いてみるが、
頭の良い金星でも知らないらしい。
「ああ~…本当ムリ…」
「あと少しだから、急ぐぞ」
うんざりしたような顔をした金星も、
この暑さのせいか俺に怒ることはしなかった。
(多分いつもならうるさい!と言われてただろうけど)
湿度が高く雨もぽつぽつと降る中、
俺と金星は急ぎ足で目的地に向かったのだった。
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「お疲れ様で~す」
生徒会室のドアを開けると涼しい風が顔に当たる。
その瞬間、さっきまで暑くてしんどかったのが嘘のように生き返った。
「うわあ~!めっちゃ涼し~!!!最高~!!!!」
「おま、声!でかい!!」
いつもの癖で元気よく言ってしまい、横にいた金星が耳をふさぐ。
「あ、わりぃ」
軽く謝ったが、金星は大きく溜息をついただけで
それ以上何も言ってこなかった。
「フフ、相変わらず元気ですね」
声がする方を見ると、先に来ていた木星が座っており
入口のドアにいる俺たちを見ていた。
「木星さん、お疲れっす!
…と、冥王星さんじゃないですか~」
「どうも」
木星の真向かいに座っていた冥王星は、静かに微笑んでいた。
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「今日は、風紀委員会ないんですか?」
金星は、冥王星がここにいるのが気になったようで問いかけていた。
「いや、あるよ。巡回中だったんだけど、ちょっと暑すぎてね…」
「ちょうど私が冥王星を見かけて、休憩するように伝えたんですよ」
体調不良になりかけた冥王星に、
心配した木星が生徒会室に連れてきたのだろう。
「さすがに暑すぎっすよね~」
この暑さに体調がおかしくなるのも分かる。
下手したら熱中症で、倒れかねない。
「そうだね、でも助かったよ。木星、本当にありがとう」
「いえいえ。回復したようで良かったです」
木星と冥王星は談笑している中、
冥王星も暑さに弱いのかな、なんてぼんやりと思っていた。
「そうだったんですね。
委員会…戻らなくて大丈夫なんですか?」
金星がまた問いかけると、
冥王星は思い出したように立ち上がった。
「うん…もう戻らないとだから、行くね」
「冥王星、戻るときも気をつけてくださいね」
ドアの方へ歩く冥王星に、木星は心配そうに声をかけた。
「うん、ありがとう。じゃあ、またね」
冥王星は再度、木星に感謝して生徒会室を後にした。
(風紀委員もこんな暑い中、巡回大変だな~)
風紀委員になれる素質はそもそもないが、
自分は生徒会のメンバーで良かったなと思ったのであった。
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「あれ?もう冥王星、行っちゃったの」
おそらくいつものようにお菓子を
作っていたであろう土星が、奥から出てきた。
「はい、先ほど行ってしまいました」
「そっか。お菓子食べてもらおうと思ったのに」
木星と土星が話しているのを見ている限り、
冥王星にもう少し居てほしかったのかな、なんて思った。
「てか、金星。あんな追い出すような言い方しなくてもよくね?」
それに引き換え、金星のあの言い方は
早く風紀委員に戻るように促したように思えた。
「そんなつもりはなかったけど、ここにいたら…」
「まあまあ、2人とも」
少しムッとした金星が俺に言い返そうとしていたが、
木星がそれを制止した。
「本来、風紀委員長以外の風紀委員は、
生徒会室に”立ち入り禁止”ですからね」
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「え?そうなんすか?」
そんなルールあったんだ、と思ったが
金星は知っていたらしく呆れたように俺を見た。
「おまえ…知らなかったのかよ」
「知らなかった…でも、元生徒会メンバーだしよくね?」
冥王星は、元々2年まで生徒会のメンバーであったが
3年になって間もないころに風紀委員会に移籍した。
これは、金星曰く異例のことらしい。
「”元”だからこそ、ダメだと俺は思ったのですが…
こういう場合は大丈夫なのですか?」
俺的にはそのくらい別にいいんじゃね?と思ったが
金星は、真面目すぎるところがあるから気になるらしい。
「こういう場合というより…
そもそも、そのルールが出来た理由はご存知でしたか?」
金星の問いには答えず、逆に木星は聞き返した。
「過去に、ある風紀委員の人間が生徒会室に忍び込んで、
生徒会の機密情報を盗み、その風紀委員がそれを利用した」
金星は過去のことまで知っていたようで、淡々と答えた。
「さすが、よくご存知で」
木星は、金星が予想通りの模範解答をすると見込んで、
あえて問いかけたのだろうか?
「そんなことあったんだ…」
「はい、残念ながら。
水星は、風紀委員と生徒会の関係性をどう思いますか?」
今度は俺に問いかけてきたが、正直よくわからない。
「ん~、今まであんまり考えたことなかったな」
「そうですね。おそらく風紀委員でも生徒会員でもない人間からしたら、
正直どうでもいいことですし意識もしていないでしょう」
実際、生徒会に入ったものの、
風紀委員のことなんて考えたこともなかった。
「仲、悪いの?」
「おい水星、タメ口になってるぞ…」
先輩…しかも生徒会の会長相手にフランクに聞いていたので
金星に小声で制止される。
「あ、やべ。つい」
「フフ…別にいいですよ。
”昔は”あまり良くなかったと思いますね」
複雑そうな表情をして話す木星に、
過去に色々とあったのだろうと察する。
「じゃあ、”今”は?」
「”今”というよりかは、”これから”は
…といった方が良いかもしれないですね」
木星は、苦笑して濁すように話す。
「要は…関係性を、改善していきたいということでしょうか?」
金星は、木星が本当に言いたいことをまとめるように聞いた。
「そうですね、ゆくゆくは。
それに正直な話、今機密情報を持っているのは
どちらかというと風紀の方なので、このルールも変な話なんですよね」
(色んな事情が絡んでいて大変そうだな~)
いつものように自信に溢れている木星が、少し溜息をついているのをみて
大変そうなのは鈍感な俺でもわかる。
「あと今回は、冥王星がこちらに来て休んでいたことを、
風紀委員長にも連絡して、了承も得ていますので大丈夫ですよ」
あまり見かけたことはないが話を聞く限り、
今の風紀委員長も寛容なんだろう。
「そう、だったんですね。すみません、俺…」
「いえいえ、金星は悪くないですよ。
…ルールには変わりないですから」
会長と風紀委員長の双方の同意があるとわかった金星は
改めて自分の発言を思い返し謝ろうとしたが、
木星はそれをまた制止した。
「でもそんなルール、いらないっすよね?」
「私もそう感じているので、これを機に風紀委員長と
この件で話合いをしようかなと思った次第です」
こんな意味がないルールがまだ残っていること自体おかしい。
木星の話を聞いて、絶対そうした方がいいと俺は思った。
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