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変幻G在! ~ゴーレム頼りで異世界サヴァイヴ~  作者: いけだけい


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ep93 求婚はお断る

"サザンカ工房"にてスレッタさん達が奥で採寸している最中、表の店舗で受付をしていたレインにビーナとの関係を問われた。


付き合っているのかという問いだったので俺は否定したが、同時にビーナは何故か肯定する。



「なんで否定するのよ」


「いや、なんで認めるんだよ」


「そりゃあ、アンタを狙ってる女なんて"金戦華(うち)"だけでもたくさんいるからね。これ以上増えたら困るじゃない」


「それなりにいるのはこの町までの道中でわかってるけど、お前が何を困るんだよ」



今のところ俺は恋愛をするつもりはないし、それはコイツにも言ってあるので影響はないはずだが。


すると、ビーナは少し顔を赤くする。



「それはほら……()()()()()()よ」


「あー……」



つまり、俺の相手をする機会が減るのは嫌だという意味か。


まぁ、"アイリス亭"で浴場を開くなんて話にもなったし、俺の暇な時間はだいぶ減ることになるから気持ちはわからないこともない。


ただ……



「それで嘘をつくのはどうなんだ?友達なんだろう?」


「ぐ」



出自や能力など、嘘をつきまくってる俺が言えたことではないが……後から嘘がバレて仲違いするよりはマシだろう。


俺はいきなりこの世界に来たのだから、いきなり元の世界に戻る可能性がないとは言い切れない。


こういう世界だし、友好的な関係をいついなくなるかもしれない男のせいで崩すべきではないはずだ。


そこまでわかっているわけではないのだろうが、ビーナはレインに対して気が咎めたのか前言を撤回する。



「ゴメン、さっきのは嘘よ。狙ってるのは本当だけど」



それを聞いたレインは……



「ああ、うん。それより……」



その嘘よりも気になることがあったようで、彼女も顔を赤くして聞いてきた。



「付き合ってるのかと思ったのは2人の距離感が近かったからなんだけど、さっきのを聞くともしかしてその……し、()()()の?」


「「……」」


チラッ



俺とビーナは目を合わせる。


誤魔化すか?という俺の視線に、彼女は首を横に振った。


まぁ、距離感から付き合っているのかと予想したのだし、さっきのやり取りで肉体関係がありそうなことにも察しはついているようだからな。


なのでビーナはレインに答える。



「まぁ……そういうことね」


「うわぁ……ど、どういう流れでそうなったの?」



興味深そうなレインはその経緯を聞いてきたので……商隊の護衛として同行することになったところから、黒いオークに攫われたビーナを助けてその御礼として関係を持ったところまで説明した。


それを聞いたレインはビーナを心配する。



「え、オークに攫われたって……その、大丈夫だったの?」



どうやら、彼女はビーナが俺と関係を持ったのが()()()だったからで、それをケアするためだった可能性に思い至ってしまったようだ。


だが、ビーナはハッキリ否定した。



「大丈夫よ。装備を剥がされて舐められたぐらいだし、その……挿入(はい)ったのはジオのだけだから」


「っ!?そ、そうなんだ、なら良かった……」


「「……」」



揃って顔を赤くしている2人。


俺も少々気まずいのでスレッタさん達が戻るのを期待したが、採寸してから鎧の細かな仕様を詰めることになっている。


もうしばらく時間は掛かるか。


どうするかな……と思っていると、レインがビーナに顔を寄せて小声で尋ねた。


まぁ、俺も近くにいるのでそれでも聞こえてはいるが。



「ね、ねぇ。それで()()だったの?」


「どうって、それはまぁ……よ、良かったけど」


「そ、そうなんだ……初めてだったんだよね?」


「そうね」


「初めては痛いって聞くけど、大丈夫だったの?」


「まぁ、挿入る前に気持ち良くしてくれたから……本当に最初のほうだけだったわね」


「へ、へぇ……」


チラッ



レインはこちらに一瞬だけ視線を向け、それをビーナに戻すと……こんなことを言い出す。



「ね、ねぇ。私もお願いできないかなぁ……?」



何言ってんだコイツ。


そう思ったのは俺だけではなかった。



「いや、なんでそうなるのよ!?」



問い質すビーナにレインは答える。



「だって強いんなら稼げるんでしょうし、ビーナがそこまで懐いてるんなら悪い人ではないんでしょ?」


「それはそうだけど……アンタは"総撃"のリーダーが好みなんじゃなかったの?」



"総撃"か、昨夜に続いて名前が出てきたな。


ギルドが指定する監視役というわけではないにしても、彼らの存在が素行不良の冒険者に対してある程度の抑止力になっているらしいが……



「好みとしてはそうだけど、フォスタード様は貴族でしょ?孤児院出身で出自がはっきりしない私なんて使用人にすらなれないわよ」



一定以上の力を持つと、外部から様々な形で内部情報を探られるからだな。


貴族なら権力争いなどもあるだろうし、その上で最大手の冒険者グループで代表をやっているのであれば……その対象として狙われるであろうことは想像に難くない。


貴族だと一般人と出会う機会は少ないかとも思えるが、先代の国王が決めた"貴族の義務"とやらでこの町ならそれなりに関わりを持つこともあるようだからな。


それ故、"アイリス亭"と同様に恋愛関係を利用した手段は貴族相手に使われる場合もあるのだろう。


なので孤児院出身のレインが実は何処かの敵対する相手と血縁である可能性を警戒されるかもしれず、それで万が一にもフォスタードとやらに受け入れられるとは思っていないらしい。


すると、ビーナは納得するもレインを止めようとする。



「それもそうか……でも、だからってジオじゃなくてもいいじゃない。うちの人間でも狙ってる人は多いのに」


「そうなの?」


「ファースレイからの道中で色々と見せてたからね。わかりやすいのだと野営のときに商隊丸ごと氷の壁で囲ったりとか、水やお湯を出して料理や体を拭くのに使わせてくれたり……」


「え、なにそれ!氷の壁も凄いけど、お湯をたくさん出せたりするの!?」


ガタッ


「え、ええ……」



レインが詰め寄り、その勢いにビーナが少したじろぐ。


カウンターに手をつき、前のめりのレインはぐりっとこちらを向いた。


目を大きく見開いていて、正直怖い。


そんな彼女が俺に問う。



「ジオさん!結婚しませんかっ!?」


「何故そうなる」


「ここはともかく、この時期に家で水仕事は大変だからですよ!」



鍛冶屋なら寒い時期でも比較的温かいが、家に帰れば普通に冷たい水で家事をやることになる。


これまでそれが普通だったとはいえ、それを改善できるのならしたくなるのもわからなくはない。


だからといって受け入れるつもりはないので……



「そうか、でもしないぞ。今のところは誰ともする気はないし」



もちろん断るが、それでもレインは食い下がる。



「私達とあまり変わらないでしょうけど、そろそろ考える歳じゃないんですか?」


「いや、俺は26だから君達より10ぐらい上なんだけど……」


「なら余計に考えなきゃいけない歳じゃないですか!10歳ぐらいは気にしませんよ?」


「それは俺の勝手だろう」


「えぇーっ?」



というか、そっちが結婚を考えるのって早くはないのだろうか?


いや、元いた世界でも昔は早かったんだったな。


文明の進み具合を考えれば、そういった点での意識はまだそこまで進んでいないのだろう。


まぁ、元いた世界と同じように進むとは限らないが……ともかく、レインには諦めてもらわねば。



「とにかく、結婚は考えてないからそれは諦めてくれ」


「むぅ……」



固辞する俺に返す言葉もなくむくれる彼女。


これで諦めたか?と思ったらこんなことを言い出す。



「仕方ないですね。じゃあ抱いてくれるだけでもいいですよ」


「「なんでそうなる(のよ)」」



再び俺とビーナの声が重なった。





「わぁ……本当に暖かぁい♪」


サワサワ……



レインは手に持ったそれを撫で回す。


それは小型の湯たんぽで、構造そのものはスレッタさん達に渡した俺特製のものと同じである。


小さいのはもちろん他人に見られにくくするためであり、彼女の手に収まるサイズとなっていた。


そのぶん温度を保つ時間は短くなるだろうが……それにお湯も入れてやり、断熱材で調整した暖かさを堪能している。


これをあげたのは俺を諦めさせるためだ。


俺の取り合いでビーナとの仲が悪くなるのは回避させたほうがいいからな。


これを渡しただけでレインは諦めると言ったわけではないのだが、とりあえずはその要求を収めてくれたので良しとする。


そんな彼女は、湯たんぽを手の平で包んだまま俺に尋ねてきた。



「そう言えば、肩に乗ってる鳥って生きてるんですか?」


「いや、これは俺が呼び出したゴーレムだ。氷で出来てるぞ」


フワッ、トトッ



鳥ゴーレムをカウンターに降り立たせ、動画で見たように首を傾げさせてみる。



クリッ、クリッ


「「ハァァ……♡」」



その様子にレインだけでなくビーナも声を漏らす。


この動きはシマエナガが目を動かせず、首ごと動かして索敵しているとかだった気がするが……このごく真剣な行動も、見るものによっては愛嬌を振りまいているように見えるということだな。


そんな感じで2人をあやしていると、奥から4人が戻ってきた。


その気配に気づき、レインに湯たんぽを隠させる。



「お待たせー、大体のところは詰めておいたよ」



そう言ったヴィオラさんがララの防具にについて聞いてきた。



「ルルさんのは作らなくていいの?」


「何かまずいですか?」



素人が作ったものなので何か問題があるのかと思ったが、それとは別の話だった。



「いや、スレッタ様達の防具が出来たらルルさんだけ別の物になるでしょう?そうなると1人だけ違うルルさんが護衛対象の貴族だと間違えられかねないかって」


「あぁ、確かに。ないとは言い切れませんが……ルル、どうだ?」


「別にいいわ。間違ってもらったほうが護衛としては都合もいいし」



これはララの身体能力を強化するスキルのこともあるが、彼女に持たせている"魔法を無効化させる剣"も含めてのことだろう。


単純に、他人を護るよりは自分を護るほうが戦いやすくはあるだろうし、あの剣があれば物理的にも魔法的にも自衛がしやすいからな。


魔法には標的を眠らせるようなものもあるらしく、それを受けても行動不能にならないであろう自分が狙われることは都合が良いというわけだ。



「んー……ならいいわ」



何か言いたげだったヴィオラさんだが、ララの意思が変わらなそうなのを察して話を変える。



「で、代金はいいとして納期のほうですけど。他の仕事もありますし……早くて3日、遅くても一週間以内になりますがよろしいですか?」


「はい、お願いします」



彼女はスレッタさんに確認し、スレッタさんはそれを了承した。


遅くて一週間か、こちらでは10日だな。


すんなり答えたということは普通の制作期間だということだろう。


となると、あと数日はスレッタさん達を待機させておかなくてはならないのか。


彼女達は義務としてこの町に来ているのだし、それを果たせなくなるのは家が困るから大人しく待機するはずだな。


だが……必要なものがあって買い出しに行くこともあるかもしれないので、俺が魔石を稼ぎに行ってる間はララに護衛をさせておくか。


そう考えつつ、俺達は"サザンカ工房"を後にするのだった。

お読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・誤用などがあれば報告をいただけると助かります。

よろしければ評価も付けていただけますと幸いです。

カクヨムで先行公開しておりますので、先が気になる方はそちらをどうぞ。

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