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雫は血の味
次元の狭間に落ちていく
涙のように血、血、血
雫となって落ちていく
嘆きのように血、血、血
狭間は血だらけ
血の雫が浮かんでいる
夥しい数の
夥しい数の雫が
次元の狭間に転がっている
見える次元にも
聞こえる次元にもないのに
赤い雫は増えていく
雫はやがて海へと変わり
見える次元にも
聞こえる次元にもないのに
私たちにまとわりつく感触を残す
雫、雫、赤い赤い雫
愛おしいとすら感じていた雫が
鬱陶しい
鬱陶しい鬱陶しい
肌にまとわりつく感触が
こびりついて剥がれない赤い海が
そうして海は排斥された
見える次元にも
聞こえる次元にもないのに
見える次元にも
聞こえる次元にも
その身をさらさなかったのに